No.540安曇野旅行 記録  

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安曇野という言葉の響きに、旅情。詩歌、情緒、民俗、文学的な香りと風景が漂う。 北アルプス3000mの雪山を背景にその麓の谷あいに伏し、溶け込んでいる。 高瀬川と、犀川に挟まれた狭い平野はやがて信濃大町を過ぎれば、分水の峠を越え雨飾の山を過ぎ姫川に沿い、糸魚川の日本海に至る塩の道を構成する。海上の民と、山上の民の交流の道。壮大な時空の世界を出現させる安曇野。風景の道は、すべて天候に左右される。予報は1か月前は雨、数週間前に曇り、直前にやっと晴れ間も期待されたが、実際の現地は好天。朝までは悪天候で豪雨、清水の安曇野の川が茶色の濁流になっている。実に運がいい。今回ほど天候が気になったことはめったにない。何しろ天高く春風、遠望の連山を愛でる爽やかコース。快晴は安曇野の真の姿を見せる。
この、千国街道沿いに祭られた道祖神は、五穀豊穣、子孫繁栄を願い、二十三夜塔は月待ちの祭りに、庚申塔は天帝の嫌猜を恐れ、要は、村に悪弊が入らぬよう、旅人の安全を願ったもの。江戸時代から村々で絹に包まれるように守られた日本人の心だ。なぜか、道祖神に出会うと人は合掌する。素直な心で。
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場所:  長野県安曇野周辺(北アルプス展望ハイキングコース。と安曇野散策)

実施日: 2023年5月8日(月)?9日(火)

参加者:(6名) 勝巳、才美、憲治、吉生、亮子、和子。

集合: 二俣川駅改札口5月8日(月) 6時40分  雨天決行
   切符購入(5月8日)月  乗車券―JR新横浜――JR柏矢町(はくやちょう駅)大糸線、特急券―八王子8時33分発(特急あずさ5号)――松本駅(5月9日)火、乗車券―安曇沓掛(あずみくつかけ)――新横浜、特急券―穂高16時発(特急あずさ46号新宿行)――八王子           

第1日:(5月8日、月)徒歩約4時間の安曇野散策、
出発時、横浜小雨が残る。相鉄線がこの春からの新横浜乗り入れ後初めての利用で、戸惑う。乗り換えが地下深くからの移動で、わかりにくく、時間がかかる、途中で構外を歩くので雨風に合う。乗り入れはこれでは便利になったとはいいがたい。従来の横浜から、八王子行の横浜線が便利と感じるのは年寄りの回顧趣味か。久しぶりの特急あずさは、相変わらずよく揺れ酔ってしまう。途中の風景は山が春爛漫。藤の花が咲き、樹木は青葉。甲府はブドウ畑が青々としているし、甲斐駒は残雪に屹立。松本乗り換えで昼食弁当購入。大糸線が出るまでにホームで昼食。天気快晴。遠足気分。大糸線も車両がきれいになった。途中まで単線は相変わらずだが。送迎車で、安曇野のど真ん中にある今日の宿へ。古く質素だが、広々とした森の中の構内は落ち着いている。とりあえず荷物を置きすぐ散策に。車で来たために、歩き始める出口に迷う。ともかく歩き始める。

azumi-1.jpgすぐに、昨日の大雨で濁流になっている「万水川」沿いの「せせらぎの小径」に出会う。土手の柳の緑なす木漏れ日の中。やたらに燕が飛ぶ。カラスが巣を守るために果敢に鷹と天空で戦っている。途中ワサビ畑が散在。日よけの黒い幕(寒冷紗)があるが覗き見ればその畑は清流。azumi-2.jpg多分、湧水公園からのもので、この清水なくしてワサビ畑ではない。大王農場に立ち寄る。もとは質素で、かなり離れて駐車場が一か所、今は、どうだ400台収容の駐車場あり、総合案内所、フードコーナー、レストラン、お土産屋、コーヒー屋、団体専用食堂などが軒を連ね、まるで「the 観光地」の様相。
ワサビ田も広くなり、水車小屋も橋も新設されている。ワサビ入りアイスクリームにワサビの味も香りもない、現地での生産ではなく大手メーカ製を販売か。どうも、変化した大王農場の風景に馴染めない。azumi-3.jpgでも、この農場は大正時代に、奇特の創業者が農閑期の農民を雇い、低地を開墾、土を掘り水流を整え、土手を築き、犀川の治水も完成させた苦労多い開発の歴史がある。できればこの風景をテーマーパーク並みに商業化しないで、安曇野の象徴としてのポプラやアカシヤに囲まれたワサビ農園を維持してもらいたい。ワサビは冷涼な気候を好む。それが美しい風景を生む。それだけでいい。人知を超えた究極の贅沢だろう。
azumi-4.jpg 大王農場を離れて、いよいよ、安曇野の集落を歩く。方向だけを頼りに好奇心に満ちて集落に。道は狭く複雑。もとより古くからの集落であれば当然のこと。誰にも出会わない。道にゴミ一つない。看板も、電柱も見当たらない。家はすべて豪農ふう。いや、別荘風。農家を連想してはいけない。庭先に農機具など見当たらない。どう見ても土に働く村には見えない。蔵がいくつもある黒い瓦屋根の鯱が光る家さえある。どの庭木も手入され、草花が咲き誇る。思い出したように道祖神がある。どれも二人の人物像が仲良くならんでいる。大切にされているのだろう、周辺に雑草もない。囲いや、屋根すらもある。
azumi-5.jpg 安曇野の集落にこんな深くゆっくり訪れる贅沢にやっと恵まれた。覗き見て、家々の生活を想像する。午後の春の日に家人は誰もいない。眠ったような庭先にただ草花が風に揺らいでいる。静かだ。ここからは山こそ見えないが、確実にあの心の安曇野だ。そのさなかにある。
夕方宿に帰着、誰もいない大浴場に入り、夕食。宿がすべての無料送迎をしてくれたので、その分のタクシー代を夕食に回しハイキングにはふさわしくない豪華?な夕食。反省会と称し、雑談。9時には眠くなる。

二俣川駅発6時59分(特急新宿3丁目行き)4番線――新横浜着7時14分(この乗り換えは時間がかかり、わかりにくい)――7時26分発JR横浜線八王子行き――八王子着8時15分(「8時33分発、JR特急あずさ5号南小谷行き、4番線――松本着10時37分(大糸線乗り換え。昼食11時20分発)――柏矢町駅(はくやちょうえき)11時43分着――宿送迎車で12時着(荷物を置き安曇野散策約4時間)――大王農場――安曇野集落――宿帰着16時ごろ

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宿泊: ビレッジ安曇野(0263?72?8568)巨大な集会場がある公営施設。温泉ではない。前日まで、連休料金だったが今日からは一人5000円安。柏矢町駅出迎えはともかく宿から30分もかかる滝沢近くのアルプス展望コースまでの無料送迎はありがたい
11800円(カード恩田一括払い後清算)部屋は全3室。洋室、部屋割り A: 勝巳、才美  B:憲治、吉生 C:亮子、和子 ?

(参考):2万5千地図「信濃池田」「明科」「有明」「大町南部」「豊科」
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問い合わせ先: 池田町観光協会。安曇野観光協会。大王農場。など。
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第2日:(5月9日、火)徒歩5時間。北アルプス展望の道。暑い。 早朝、朝食前にわさび田湧き水公園に。朝霧で柳が墨絵のように幽玄。滔々と湧水。遥か北アルプスの常念岳、蝶が岳あたりが源流らしい。水が冷たい。霧の中で散歩の人に出会う。広島県から移住してきた人。この辺は移住者が多いとのこと。

azumi-7.jpg 快晴。宿の車で、アルプス展望コースの滝沢集落センターまで。途中コンビニで昼食準備。上着を脱ぐ。左側はすべて雪山を背景にした安曇野の山また山の壁。その手前は、田植えの水が満々とし重層する田に雪山が水田に映る。風なく微動だにしない。右は日の当たる民家の散在。時間は十分余裕をとっている。
azumi-8.jpg快晴、無風、道よく、道標もある。淡々と、塩の道を行く。集落と集落の間は、木陰もない大展望の道が続く。遥か遠くで田植えの姿が小さく見えるが耕運機の音は聞こえない。道祖神があり、たまに人家に出会う。庭先の花はすべて満開、庭で手入れしている人と話し込む。この人も、川崎から移住した人「この辺は移住者が多い、隣も、裏もそうだ。車は一人一台ないと生活できない。冬は雪が少ない。すべて小谷周辺の山が防ぐとのこと。なんだか住みたくなった。現実問題など度外視して、良いことだけを信じて夢を膨らます。そんな景色だ。雄大な空間。そびえる雪山。北アルプスの名峰が連続する。手前の平野には、鎮守の杜。火の見櫓があり、点々と白壁の家。何も動かない。カエルの声だけ。この風景は5年前の夏と全く変わりない。おそらく、50年後も変わらないだろう。
azumi-9.jpg好きなところで、好きなだけ休んで、三々五々、道草をほしいままにする。縁側でもあれば、座り込みぼんやりアルプスをひなが眺めていたい。この風景は心象にすると密かに決める。鬼の古墳への道が三島神社方向と違ってのぼりだったため省略。行きはぐれた。前回眼鏡を忘れていたので、回収したかったが残念、次回にする。国宝、仁科神明社は立派。巨木の神木も見事。夏日のような熱さの中。駅への時間を見てもタップリあるので昼食、大休憩。
それからが長かった。まっすぐな道をはるかな先のつり橋めがけて延々とテクテクと歩く。途中、休憩は田んぼのあぜ道。日陰は全くない。倒れこむように草いきれに寝転ぶ。空がまぶしい。太陽が熱い。宮本橋を渡ってやっと自動販売機。そういえば今までそんなものはどこにもなかった。下界に下りてきたのだ。駅は無人。汽車が来るまで誰もいない。来ても誰も下りない。駅前は、田んぼを挟んでお墓。自転車置き場は鍵もかかってない数台があるだけ。駅小屋には、忘れ物のような座布団。のんびり汽車を待つ。それしかないからだけではない。贅沢な時をいただいた。それでも汽車は来る。穂高から特急に乗り換え帰る。駅前で自転車を借りて夕方の穂高の街に消えたもう一泊する人の後ろ姿を見送って、程よい疲れとともに安曇野を去る

azumi-10.jpg 7時30分朝食―8時30宿の送迎車発――池田町「道の駅」となりコンビニで弁当購入――滝沢交差点右折――滝沢集落センター(北アルプス展望コース)歩行開始9時――長福寺周辺9時30分――花見神社10時――千本木――中島11時交差点――宮本、神明宮(昼食)13時30分発――宮本橋14時――JR安曇沓掛駅着14時30分(15時01分発)――穂高15時20分着(16時0分発、特急あずさ46号――八王子18時30分(解散) 

持ち物: 雨具(傘有効)。懐中電灯、なれた靴、杖。菓子類(パンなどの非常食)。水筒。

担当:  勝巳(リーダー、記録)。吉生。(写真)。憲治(会計)。

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