No.218 丹沢縦断山行(丹沢山、蛭ヶ岳から道志)(2008.10.15-16)

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Tanzawajuso_1.jpg(記録担当 紘正)

【1日目】天候:天気回復するものち雨

 見上げると雲が一つ二つと千切れて、青空が、ゆっくりと広がっていった。「塩水橋」7時30分。渓谷沿いの狭隘なこの場所はジメッとしていて、今にも蛭が這い上がってきそうな気味悪さを感じて、どこで身支度をしようかと身構える。そんな時「俺なんか、スパッツからズボンまで、塩水で洗濯をしてきたんだぜ」と、善さんが何時もの口調で、その場の雰囲気を和ませてくれた。

 7時45分出発。暑くも、また寒くも無く絶好の登山日和に思われて、足取りも軽い。しかし、登山口を入り天王寺尾根の高みを巻くにつれて周りの空気が重く感じる様になった。この頃の蛭の風評で、絶えて人が入らないのか道が荒れているのである。そんなわけで、この季節の草木を愛でる余裕も無く、丹沢山を目指して1000mの標高差に神経を集中させた。

 30分に一度の水補給休憩を取るが、その都度、リーダーから「蛭に注意!」と掛け声がかかった。幸いにして、一回だけ、そのリーダーの水筒に小さな蛭が這い上がっただけで、その後は、姿さえ見る事はなかった。そんな、すこし重苦しい樹林帯の歩行であったが、堂平への分岐付近から、秋のやわらかい陽射しを全身に受けるようになって、身体が全ての景色や動きに楽しく反応する様になった。

Tanzawajuso_2.jpg 『丹沢でも特に静かな秋の尾根を歩く』リーダーが、計画書に掲げた誘い文句に偽りはなかった。この広い丹沢山塊に息づいているのは、我々四人と何処かに潜む数頭の熊だけではないだろうか、と錯覚におち入るほどの静かな心地良さであった。標高1300mから1400m?1500mの高みに達すると、丹沢山頂を取り巻く山々のブナやカエデが色づきだして、山頂に取り付く木道を歩きながら、才美さんが、赤い木の実を採って「これ、山グミよ」と言って、実の付いた小枝を差出して下さった。甘酸っぱい自然の味が口中に広がった。

12時45分 丹沢山頂に着いた。約4K 1000mの標高差を、無事に登った。但し今は通過点、手足を伸ばして達成感に浸りたい気分を抑えて・・・蛭ヶ岳まで辿る気力を奮い立たせた。15分ほど休んで、いよいよ待望の『丹沢主脈縦走』に足を踏み入れた。目線の上に、空と地の境をなすように大きな山塊の稜線が蛭ヶ岳の方向にある。足元からドンドン下降した径は、あまりの急傾斜に消えぎえになって、遥か彼方で、木道となって、その稜線に通じていた。しばらく、今までに見た事のない明るく伸びやかな景観を眺め上げていたが、それも一瞬で、状況は少しずつ悪化していった。今まで登った高度を全てはきだして、一息ついた所に休憩場(水場)があった。そこで水を補給して、不動ノ峰への登りに入った時、上空に雨雲が垂れ込めて、蛭ヶ岳を望みながら稜線を歩く楽しみは、糠雨に絶たれてしまった。(日本全土は晴れ)雨がまとわりついて身体をぬらしていく。もう景色も見えないし、ただ、ひたすら歩くだけだった。最後の数百メートル・・・・リーダーが「あと、小屋まで200mだ」と言って励ましてくれたが、その200mの長かった事、15時30分山荘に着いた。

 山荘は空いていた。工事関係者5人、大阪からのご夫婦、健ハイ4人といった按配で、至極快適であった。管理人さんが一人、細々と賄いをしていた。夕食はレトルト カレーであったが、疲労の極限までいった身体には、なかなか美味しい食材であった。夜中(2時頃であったという)勝巳さんが、善さんに「夜景がきれいだ」と囁いていたが、私は、この山荘の寝具がポカポカと暖かく、そのまま寝入っていた。

 

【2日目】天候:快晴

 リーダーが、「今日は長丁場だから飯を充分食べろ」と言う。今日の歩行距離約11キロ、徒歩時間約6時間。昨日の雨は、本当に気まぐれの雨だった。今日は晴れた空の下に、山肌が輝いていた。やはり富士山の美しさが際立っていた。寄り添うように残月があってそれを背景に唯一の記念写真を撮る。お馴染みの西丹沢の山々が・・・こうして場所を変えて山の山容を眺めるのも面白い。(右から)大室山、加入道山、奥に畦ヶ丸、手前に檜洞丸が夫々威厳を保つように連座していた。何時までも見ていたい景色であったが、6時20分出発する。

 標高1727mの山頂から、290mの焼山登山口(道志)目指して、ドンドンと飛ばす我々の視界からは、紅葉も、大室山も、右側に見え隠れしていた丹沢三峰も、間もなく消えて道筋や我々の気持ちはハイキングのモードに変わった。「姫次」を基点とする上り下りの道は、自然が一杯あって、緩やかな起伏が心地良く、健康ハイキングには最適の場所のように思われた。途中で会った鹿の群れも、のびのびと朝の散歩を楽しんでいる様子で、身体の疲れも癒される。しかしながら、焼山から西野々・焼山登山口までの約4キロの九十九折の急坂は疲れた。この最後の難所で、夏場に北アルプスで鍛えた3人と私の体力差が出たようであった。それでも最後は足並みを三人に揃えて、計画された所要時間で道志のバス停に到着できた事は、大きな自信につながった。12時30分到着。ほんの数分前に3ヶ木行きのバスが出た後であった。

 やはり、一般向きのコースとはいえ、2日間で15キロを超える徒歩距離は、身体の彼方此方に、歳相応の弱みを感じさせた。「これから、如何にケア」するか、秋景色を楽しみながら、我が身の自己認識をした山行であった。

  • 日時 2008年10月15日(水)―16日(木)
  • 参加者
    善右衛門、勝巳、才美、紘正、以上4名
  • コースタイム(着/発)
    【1日目】小田急線秦野駅6時30分集合秦野駅(/6:40)――(タクシー)――塩水橋(7:30/7:45)――天王寺尾根取りつき(8:20)――天王寺峠(8:55)――丹沢山(12:45/13:00)――休憩所右奥の水場で水補給――棚沢ノ頭(14:30頃)――蛭ヶ岳(15:30)
    【2日目】一部計画変更(柏原ノ頭から宮が瀬に抜けるコースは蛭と道路陥落の危険があるため、リーダーの判断で中止)
    蛭ヶ岳(/6:20)――原小屋平水場で水補給――姫次(8:20/8:35)――焼山(10:35/10:45)――路肩で昼食――焼山登山口バス停留所(12:30)その後はタクシーを乗り継いで、温泉(宮が瀬自然水)に浸かって、16時頃本厚木駅で解散

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このページは、akirafが2008年10月29日 16:54に書いたブログ記事です。

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