No.188 奥穂高岳(3190m)涸沢岳(3110m)登山記録(2008.8.5-8)

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Okuhodaka_1.jpg 参加者7名全員が3000m級に登頂

【第1日】8月5日(日) 《夜行バスで上高地まで》

【第2日】8月6日(月) 《上高地から横尾経由、涸沢ヒュッテまで》

(記録担当 善右衛門)

 5日午後9時30分横浜YCAT出発、新宿で夜行バス(グリンカー)に乗り換え午後11時に出発。目的地まで3回の休憩を挟んで翌朝午前5時10分に沢渡バスセンターに到着。早速朝食を取り洗面を済まして、午前6時30分に出発準備完了。

 第1日目の行程は上高地から涸沢ヒユッテまで、メインルートは距離にして16キロメートル。案内によれば、この行程は横尾までが約3時間、梓川沿いの平坦な森林帯シナノキの大木にかこまれた山道が続きます。

 明神にて明神池を拝観、拝観料300円神の降りたる池、澄みわたる湖面には明神岳が映し出され、人々の心を映す神の池と称されています。明神を出発して約1時間で徳沢園に到着。給水、洗面を済まして約1時間後に横尾山荘に到着。ここでも給水、洗面をすまして横尾大橋を渡り横尾谷に入ります。左手には屏風岩の大岸壁が迫力満点、屏風岩をながめながら昼食(朝食の残飯整理)をすまして本谷橋に到着。

 ここまでは平坦な道でしたが、本谷橋を渡ったあとは急坂が始まり難関な山道で様子も一変し、亜高山帯へと山容が変わった。休憩をはさんで約2時間30分、この急坂を登り切った所に、奥穂の真下の岩丘に建つ我らの宿泊する涸沢ヒュッテがあります。

Okuhodaka_5.jpg 午後2時20分に涸沢ヒュッテに到着、第1日目の目的は見事達成。

 宿泊室に案内され着替えと荷物の整理をしてロッジにて本日の無事を祝ってビールで乾杯。悲しいかな健ハイ2100の会、北アルプス奥穂高に挑戦したのは女性5名に男性は2名。穂高連峰を間近に見上げる登山基地、涸沢ヒュッテ、太古の氷河の名残をとどめる残雪の斜面に色とりどりの高山植物がびっしりとへばりつく。雪渓の上を渡ってくる冷気混じりの風に今日の疲れもいつの間にかいやされている。

 この風景は昨年のスイスアルプスに負けない景観です。涸沢ヒュッテに宿泊して知ったことは、奥穂高岳は標高3,190メートルで、日本で3番目に高い山であったことです。2番目の北岳とは2メートルしか差がないそうです。

 午後5時夕食、午後7時就寝。

 

Okuhodaka_2.jpg【第3日】8月7日(火) 曇り時々晴れ

《涸沢ヒュッテから奥穂高岳・涸沢岳登頂》

(記録担当 勝巳)

 例によって4時起床、5時朝飯、6時出発のおおよその計画だが流石に健ハイ、5時30分には出発可能。目標の奥穂高岳は雲の流れに任せている。天気は高山特有の朝曇。風は無い。朝飯は山小屋の標準だろうが昨日の残りご飯か、かなり硬いものが混じっている。一泊8500円(通常は9000円だが割引利用)。個室とは名ばかりであるが、仲間内のみの部屋なので気楽である。

 リーダーを先頭にゆっくりペースで遭難救助の警察官詰め所前から通じる道で雪渓を横切る。今年は思ったより雪の量が多い。雪渓歩きは夏の醍醐味である。振り返れば2年前に登った大天井山の周辺が屏風岩山越に朝日を浴びている。ゆっくり高度を稼ぐに従い、涸沢の小屋や色とりどりのテントが日本離れした氷河の見事なカールに花を咲かせている。シャクナゲ、チングルマ、イワカガミ、シナノキンバイが雪渓の周辺に咲き競う。順調な登りもやがてザイテングザラード(支稜線)にかかるころは慎重さを要求される急勾配の岩山のコースとなる。道は遠見では危険そうだが、穂高山塊全体にいえることだがかなり石組みが整備されていてゆっくり登ればさほどの危険は無い。やがて鞍部に奥穂高の山小屋の赤い屋根が真っ青な空を背景に見え始めるが例によってなかなか到達しない。立ち止まっては振り返り一歩一歩地面のみを見ながら高度を稼ぐ。さすがに風は涼しい。東京は猛暑と聞いたがここは別天地だ。

 平らな峠の鞍部に石に囲まれた小屋は建っていた。まだ時間が早いのか登山者も黙然として三々五々ベンチにいてのんびりとしている。この小屋は二階建てのこじんまりしたいかにも北アルプスらしい清潔さで、穂高山塊全体の風景に溶け込んでいる。この景色は昨年登ったスイスアルプスにも匹敵する。

 長く休んでから山頂を目指そうとしたがなんとなく全員がはやる気持ちからかたいした休憩もしないで、奥穂高の登頂を開始する。とっつきは急勾配の鎖、鉄梯子の連続で、この先思いやられると思いきや、その先は平凡な岩山の道である。とっつきにくい頑固親父の風格が奥穂高にある。途中、ジャンダルムの稜線を山頂直下で右に見る。なにしおう悪路だ。どこにも道らしいものは無い。ナイフブリッジ、先鋒、急峻な峪が連続し人を近づけさせない孤高の峰だ。警察の山岳救助隊の若い屈強な三人が戸惑う風も無くスタスタと重い荷物を持ってジャンダルムに入っていった。憧れるとしたらこの歳ではこんな人間にあったときだ。奥穂高の山頂は結構人が多く、狭いため写真を撮るのも遠慮しなければならない。2メートルほど北岳より低いので巌でかさあげしていたが意味の無いことだ。前穂に行く道に少し入り込み休憩を取る。峪深いかなたに名山「笠ケ岳」が青く黙然として鎮座している。前穂高への道は雲の中に消えている。帰路、すでにジャンダルムは雲の中であったが、一瞬の切れ間に崖に立つ登山者の姿が見えた。いや、岩陰かもしれない。

 小屋の到着直前の鎖場と梯子を下って着いたのが10時30分。少し早いが小屋で作った(1000円)弁当で皆で暖かい太陽の下で昼食にする。

 実はここで特記事項がある。穂高小屋まで頑張ってきたが調子を崩してしまった邦子さん、幸子さんの二人は小屋で奥穂登頂組みの帰りを待つこととしていた。ところが、その間になんと「涸沢岳」に登ってきていたのだ。涸沢岳の標高は実に3,110m。これは奥穂高より僅かに80m低いだけである。二人だけで相談してこの快挙を成し遂げたのだ。日ごろの淑やかさからは想像できない。高尾山を登っていた頃と比べて健ハイもここまで成長したのかと感無量である。何よりも二人のかけがえの無い記念になったことだろう。

Okuhodaka_3.jpg 大きな仕事を成し遂げたあとの開放感で巌の急峻なコースを降りるのは危険を伴うため、途中多くの休憩を取りながら朝来た道を下り始める。涸沢のカール越に常念や、蝶の山々が見え隠れして、正真正銘のヨーデルの聞こえるスイスの谷間だ。これから登る人の苦労がよくわかる。すれ違いで時間を食いながらゆっくりとカールに向かう。途中「涸沢小屋」に立ち寄り絶景のベンチで名物のソフトクリーム500円を食べる。時間は馬に食わせるほどある。目的は達成したし、明日は帰るだけだ。テント村を横切り涸沢ヒュッテに帰り着いたのがまだ日の高い午後2時前。部屋で昼寝と決め込んでいたら突然強風と豪雨になった。よかった。こんなときに歩いていたらずぶぬれになる。昼寝を決め込んで、雨も止み屋上の展望ベンチに3時に集合、当然ビールになる。夕食までの2時間、時間はゆっくりしている。雨上がりのアルプスは夕日に輝いている。登ってきた奥穂高は雲の早い流れにかき消されたと思ったらまた夕日に頂上が輝いた。

 なんといっても今回は全員が3,000mを越す山頂に立ったことは成功だ。計画は通常の行程の2倍。個室利用、往復のバスはグリーン車と、裕福なというよりも健ハイ向きのコース設定だったが、私達はこれで十分だ。そんなに多くの機会がこれからあるわけではない。行けるときは極めて限られているなら、ゆっくり余裕のある登山をしたい。明日は少し危険のあるパノラマコースを帰路に予定していたが安全第一の鉄則に従い横尾、徳沢、明神、上高地の通常のコースに変更し下山することとした。7時にはいびきの合唱にいる。

 

Okuhodaka_4.jpg【第4日】8月8日(水) 薄曇のち晴 涸沢ヒユッテから上高地、YCATへ帰着

(記録担当 幸子)

 前日に続き4時起床、5時朝食。早朝のひんやりした空気が心地よい。朝食の後、リーダーより今日の予定を聞く。当初予定していたパノラマコースは少し危険な所があるので安全をとり、登って来た道を下ることになる。

 雲行きが怪しいので雨具のズボンのみ着け、涸沢ヒユッテを後にする。

 急な下り坂は足元が悪く、雪渓は凍っていて滑りやすく慎重に下る。30分ほどで休憩。晴れ間が出てきたので雨具を脱ぐ。梓川沿いの急坂の登山道を登ってくる登山者と道を譲り合いながら一気に下り、本谷橋に着く。既に川原は大勢の登山者で賑わっているので吊り橋を渡り休憩。ここからの山道は歩き易くなり右手に迫力満点の屏風岩を見ながら、岩小屋跡を通り、滅多に見られないというモレーン(堆石)を見る。梓川の川原に下りモレーンへ登ろうとするとぐずぐずと崩れる。

 横尾大橋を渡り水を補給し、9:00新村橋で休憩。徳沢、徳本峠を経て、明神館で休憩。 明神橋を渡り梓川右岸歩道を歩く。緑が美しい静かな原生林の中、延々と続く木道、川や湿原もあり変化に富んでいる。うぐいすのさえずりを聞きなから爽快感を味う。大勢の観光客と行き交い岳沢湿原を経て、河童橋に着く。

※出会ったお花
イワカガミ、シナノキンバイ、マイズルソウ、クルマユリ、ナナカマド、ハクサンイチゲ、カニコウモリ、シシウド、シャジン、トラノウ、ヤチトリカブト、オミナエシ、ホタルブクロ、ゴゼンタチバナ等

 上高地アルペンホテルで昼食、しなの膳(1,500円)その後、お風呂で汗を流す。

上高地14時発のバスに間に合うようなので、急遽バスターミナルに向かう。リーダーがバス会社の窓口とバスの案内人との間を何度行き来し交渉していただいた結果、グリーンカーではないが6名キャンセルがあり、発車まで待ち全員乗車することができた。14:05上高地バスターミナルを出発。新宿で乗り換えなしで横浜まで直行と聞きほっとする。

 沢渡で乗り換え、中央自動車道を走り、八ヶ岳PA休憩。小仏トンネル辺りで事故があり30分くらい渋滞するがその後順調に走り、石川PAで休憩。新宿経由、横浜YCATに着き、解散。

  • 日時:2008年8月5日--8日
  • 参加者
    善右衛門、勝巳、才美、伊久枝、邦子、きみ子、幸子、以上計7名
  • コースタイム(着/発)
    • 【第2日】8月6日(月) 9時間行程
      上高地沢渡バスターミナル(/5:10)......シャトルバス上高地バスセンタ(/5:55)......上高地(/6:30)......明神(7:30/8:00)......徳沢園(8:50/9:05)......横尾(9:55/10:25)......昼食(11:00/11:25)......本谷橋(12:00/12:15)......分岐点(13:40/13:45)......涸沢ヒュッテ(14:20/)(泊)
    • 【第3日】8月7日(火) 8時間行程
      涸沢ヒュッテ(/5:45)......ザイテングラード経由......穂高山荘(8:20/)......奥穂高山頂(9:20)......穂高山荘(10:30/)......ザイテングラード経由......涸沢小屋......涸沢ヒュッテ(13:30/) (泊)
    • 【第4日】8月8日(水) 6時間行程
      涸沢ヒュッテ(/5:40)......本谷橋(6:55/)......横尾大橋(8:15)......新村橋......徳沢・徳本峠......明神館(10:10/)......河童橋(11:30/)......上高地アルペンホテル(11:40/昼食・入浴/13:30)......上高地バスターミナル(/14:05)......沢渡(14:45)......中央自動車道......新宿(19:20)......YCAT(20:30/) (解散)

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このページは、akirafが2007年8月15日 17:05に書いたブログ記事です。

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