(5月10日)火 晴れ、曇り
(記録担当 勝巳)
第一日(5月10日)火 晴れ、曇り
レンタカーチェックアウト11時30分――LA出発12時――ユマ着20時ごろ
蒸し暑い成田空港は閑散として照明も薄暗く、ひと昔前の共産圏の空港のようである。巨大地震の影響は明らか。いつもとまるで違う風景である。言われている程出入国はうるさくなかった。ロサンゼルス空港の長い通路の移動は毎度ながらうんざりする。レンタカーの手続きは実に見事。さすがレンタカー大国である。車も大きさも十分だし、新車並み。この旅行中、車には満足。いわれのないアメリカ車の中傷誹謗は日本の自動車メーカーの陰謀かと思うほどだ。
町を出ると待ってましたとばかりの砂漠。そんな中で街路に花咲き、緑陰の街並みが続き、電柱一本ないパームスプリングスは見事な街といえる。その近郊の風力発電の風景は壮大を越えて不気味。経営上問題を起こしたエンロン社の大発電地帯で砂漠の見はるかすまで全て風力発電である。初めてここを見学に来た時も恐怖の様な不思議な感じを受けた。砂漠の静寂の中で風車のカラカラという音が耳を離れなかった。やがて巨大な人口の水路に至る。やはりここは砂漠なのだ。この人口を維持する血のにじむ努力を見たようだ。
スーパーに立ち寄る。この大きさはどうだ。誰が、どこからこの砂漠の中を買いにくるのか。それにしても駐車場が異常に大きい。うっかりしていると自分の車に帰れないことは間違いない。大きなクリスマス用の一抱えもある不思議なおもちゃを買う。なんでも中にキャンデーを入れてバットで割るのだそうだ。今年のクリスマスはさぞかし子供たちが喜び、これからの10日間持ち歩く苦労が実ることだろう。
途中、急に貧しい風景に出会う。数台の使い古したトレラーハウスが集合し、周辺はごみに満ちている。かってアメリカでは移動式の住宅に住んでいると知り憧れた事を苦く思い出す。この辺でトイレを借りるため店員に聴くのもスペイン語の方が通じるらしい。
見るからに貧しそうな年寄りがいきなりレストランに入ってきて、コーヒー用のミルクを店員や私の存在など無視して両手一杯持って行ってしまった。プアーホワイトの現実を目のあたりにする光景だ。
どこのモーテルも広く清潔で快適、しかも安い。この4階の部屋は、やけに換気扇の音が大きく、風呂タブの水が流れないことさえも、アメリカらしい大雑把な点がむしろほほえましい。
近くのショッピングモールでハワイアンの夕食、日本より30%は確実に安い。1000円出せばまともな夕食だ。でもファストフードのためか、慣れていないためかおいしいとは言えない。アメリカに料理らしい料理はない。ましてや、これから先の砂漠地帯では当然である。時差で眠い。アルコールは今日はなんとなく無し。無事旅行のスタートを切る。天気は申し分ない。ここユマは「荒野の決闘」に出てくる西部劇の無法者の街だった。
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