第4日('04.3.16) ドゥブ湖、マリオンズ展望台―デボンポートからタスマニアを去る

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【第4日】2004年3月16日(火) 晴れ

(記録担当 伊久枝)

 ビュッフェスタイルの朝食も早々に済ませ、出発までにパッキングをして9時にトランクを渡す。ロッジからマイクロバスに乗り、昨日と同じ道を走る。駐車場まで続く木道は魅力的で一度歩いてみたい誘惑にかられた。ウエスタン調の昨日のドライバーと異なり、今日はお年に似合わぬ元気な声の人。

 既に数台の車と人がドゥブ湖畔にむれている。昨日は雨で全容を眺められなかったクレイドルマウンテンが、ドゥブ湖に影を映し紺碧の空を一層際立たせている。記念撮影のあと左にドゥブ湖を見ながら歩く。緩やかな坂の目の前にリラ湖。昨日の雨を含んだ草叢はスパッツが必要かなと思ったが危倶に終わる。

 このコースもオーバーランドトラックの一部とのこと。トラックを外さないように歩くこと、珍しいものがあってもとってはいけない等天野さんの注意を守り、岩陰に咲く可憐な花を見つけては喜び、素晴らしい眺めに出会っては歓声をあげ、昨日の静かな山歩きとは打って変わった賑やかさ。雨をものともしないメンバーではあるけれど、やはりこの景色は晴れた青空の下で満喫したいもの。

 10:15 分岐点の前に架かる橋の上から眺めたクレイドルマウンテンはまさに一幅の絵。反対を眺めるとボタングラスの草原は草紅葉のようになり、その周辺をユーカリの新緑が埋めている。ここから暫らくは階段状になった木道を歩くが、真中に網が張ってあり滑る心配がない。登りつめると鏡のように静かな湖(ウォンバットプール)がボタングラスの根から出るタンニンによって赤く染められている。休憩と撮影をしていたら日本のお嬢さんが声をかけてきた。ホームスティでもしているのか。緩やかな登りが続くが周囲の景色があまりにも雄大なので自然と足が動く。

 10:55 見晴台到達。鎖で大変だったマウント・ハンソンその下にドゥブ湖、その左手前にリラ湖、右端にはクレイドルマウンテン、後は峰々と360度の展望。少し登ると稜線に出、右下にクレーター湖が見える。湖を囲むように稜線が見えその一角に滝があるらしいが見えない。前方にチョット険しい坂があるが階段状になっている。この辺りは白い石が目立ち草花はあまりない。細いルートなので登る人が待ったり、下る人が立ち止まったりと、譲り合いながらとなる。晴天の故か、結構な人数である。

 11:40 マリオンズ展望台に着く。何も言うことなしの大満足の景色にただぼんやり! 昨日は別のルートだったがここからぼんやりと山容を眺めたらしいが、展望がきかなかったのでうろ覚えである。旅行会社の宣伝には格好の場所であり、早速天野さんがカメラを構える。"皆さん後をむいて!"に健ハイの美女?達は大むくれ!???

 サンドイッチのお弁当は美味しく、タスマニアのリンゴはそれを上回るほどの格別な美味しさ。時折登ってきた人たちがシャターをきっている音だけ。

 12:15 展望台を後にして同じ道を下る。クレーター湖を左に見ながら登ってきた時の分岐点まで来ると、珍しく大勢の学生たちで賑わっている。そのままボー卜小屋まで下る。

 12:45 風雨にさらされた小屋の風情が気に入つた勝巳さんが、一人一人の写真を撮ってくれる。澄んだ湖の底の石までが手に取るように見え、小魚が泳いでいるのにビツクリ! 手を入れてもサッと逃げずに手の方に寄ってくる。木の上でそんな様子を見ていたのか、カラスが舞い降りてきた。僕も仲間に入れてくれとでも言うように足元近くまで平気でやってくる。名残惜しいがバスの時問もあるので13時出発する。

 この辺りからは木も茂り展望はきかない。階段状の下り坂の途中に滝もあり、細い川となっている。タスマニア特有の椰子のような木・パンダナスが沢山生えている。水を好むのかもしれない。小さな橋の上で小休止をする。拓けた所に出るとボタングラスが一面に広がりその中に一本の道がついている。川の流れに沿って両岸にパンダナス、その先にはバス乗り場が見えている。広い木道を思い思いに歩いていたら、ウォンバツトが昼寝。もっそりとしたぬいぐるみの様で目のあたりを僅かに動かす程度。われわれを追い抜いた日本人らしき男性が指差す方には、大きなハリネズミが土の中に顔を埋めてしきりと動いている。黄色と黒の長い針に驚く。こんなに簡単に希少動物が見れたことに感動!

 14:00 予定時間ぴつたりにバスが来て、われわれも全員が揃いロツジに帰着。大急ぎでトランクを開け、トイレで着替えをし、必要な物だけ持ってトランクを閉める。

 15:00 ロッジに別れを告げる。何故かまたすぐに来るような気分でゆったりとは名残を惜しむことはしなかつた。2日前のアルバン氏が迎えにきてくれた。同じ道を走るが来た時と異なり帰りは早く感ずる。シェフイールドという町で降りアイスクリームを食べながら一回りする。この町は商店の壁に絵が描かれているのが特徴。小さな物ではなく家の外壁一杯にきれいにペイントされている。その前に立つと絵の中の一部に見える事もある。この町から道路が変わり港方面行となったので、来た時より町らしい所が多くなる。花も山の中とは異なり、色とりどりで種類も多く季節に関係なく咲いている感じ。

 17:20 デボンポート到着。既に港には SPIRIT OF TASUMANIA が停泊しているが乗船時間までが長すぎるので、町の最先端にある灯台で遊ぶ。デボンポートはタスマニアで3番目に大きな町ということもあり、信号機があった。きれいに整備された周辺にはジョギングをする人、散策をする人、浜辺で泳いでいる人と様々。ツリーのようにきれいな木のテッペンには十字架が飾られている様で、土地の人に尋ねたらノーフォークアイランドパインとのこと。インドネシアの方から入ってきたとの説明に、エッと驚いたが地図を思い描けば確かに近いのだと納得。夕日が水平線上に落ちるのを見たいと思つたが、太陽はまだまだ上の方。30分ほどしてから町の中に行き、歩いてみたが商店は4時に閉めてしまい、あまり用のない店がたまに開いていた。乗船の時間までアルバン氏がマイクロを走らせての大サービスにちょぴりはらはらしながら、感激してしまう。

 東デボンポートの旧い街並や、丘のうしろの大牧場。デボンポートは野菜が特産で赤土は野菜に良いとのこと。ずっと気になっていたあの赤土は粘土質ではなくサラサラしているのであった。低所得者層の住んでいる家は日本のアパート風。時問ギリギリまで走り、5分前に港に来たら車の渋滞、フェリーは一日一往復なので寄港・出航時はこみあうのであろう。7時半乗船が始まるとあちこちから人が集ってきた。トランクを預け、手荷物検査を受け、エスカレータで客室に向かう。2段ベッドが2つと大きな鏡、セットバスのこじんまりした4人部屋。トランクが来るまで船内の散策と、夕食を済ませようと8階の客室から7階に下りる。売店はお土産品ばかりではなく生活用品等いろいろ扱っている。

 夕食はカフェテリアスタイルで好みの物をトレイに取り、レジで清算。トレイの中身は様々なのに何故か金額は大差のないもの。21時の出航にあわせデッキに出てみる。

 小高い丘の街は家の灯りがきらめき、空には星がまたたきはじめている。束の間の街デボンポートは離れがたいタスマニア島にサヨナラすることでもあり、忘れがたく感慨無量。食後に部屋に戻ってもトランクはない。考えてみればフェリーなので車ごと乗り込んでいる人、外国旅行者、国内旅行者と雑多な人々が乗っているのだから、下船するまでトランクは出し入れのない場所に保管されて当然。手荷物と着のみ着のままの一夜を過ごす。寝る前にバーやカジノに行って船旅の楽しさも味わう。距離はあっても湾内なので揺れも穏やかで一定の振動が規則正しいからか、船酔いもなく過ごしやすかった。

 思い出いっばいのタスマニアにさようなら! おやすみなさい!

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このページは、akirafが2004年4月19日 14:12に書いたブログ記事です。

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