(記録担当 才美、邦子)
ドゥブ湖をぐるり周遊、秋のお花畑の岩稜コースを楽しみつつ、クレードルマウンテンの岩稜直下をトラバースし、クレーターレイク、ツウィストレイク、レイクハドソンなど湖を見下ろす6時間コース
7:30 朝食 ビュフェスタイルさすがにヨーグルトやソーセージが美味
9:00 出発 車で7?8分でドゥブ湖駐車場。
車道に沿って左手樹林帯の中を木道が続いていた。緩やかな起伏のある沢沿いの道は、朝日に白く光っていてとても快適そうである。車道脇の林間、日の当たる所々に、茎が赤く赤紫色の可憐な花が咲いていた。タスマニアン・エバーライトか。ロッジの前庭には朱赤の花の集合体が三角形になっているマウンテン・ロケットという草花もあった。
はじめの駐車場のあたりまで来ると視界がパッと開け、右手草原の向こうにクレードルマウンテンの姿が現れた。思わず声が出る。釣り尾根を挟んで左右に切り立った岩稜を持つその姿は日本の戸隠山と似ていなくもない。草原の中を1本の長い道が伸びている。ここは4日間歩き続ける85km、横断コースの起点とか。大きな荷を背負った1人の登山者の姿が平原の中にあった。
湖畔の駐車場はかなり広く、屋根のある無料休憩場とトイレがある。トイレは斜面を利用して回りの景色の中に埋もれるようにして設置されてある。水洗、清潔。これ以後どの公衆トイレも水洗であった。(日本のそれとつい比較したくなってしまうのが残念)
駐車場から湖に僅かに下る。湖は初秋の深い静寂の中にあった。
雲行きがあまり良くない。時々さーっと小雨が降り、また太陽の光が射し込むといった激しい変化の繰り返しだ。湖畔に、半分朽ちかけた木の板で屋根を葺いたボートハウスガ立っていた。写真撮影。このポイントは絵葉書にもあった。足元に地を這うようにして咲く黄色い五弁の花が咲いている。蕾は茶色のひし形、葉は人参に似てほそい。Hibbertia Procumbens
ここから湖畔を離れての緩やかな登りとなる。左手前方にクレードルマウンテンが雲に見え隠れしている。誰かの声に目を上げるとクレードルマウンテンを背景に大きな二重の虹がかかっていた。ウエルカム ブリッジ!
左右の草地には株なす細い葉のボタングラス。株は50?80cm位と大きく、硬く力強い感じだ。長い茎の先に2?3cmの丸い実をつけている。昨日バスから遠くに見た草原はこの植物であったらしい。根からタンニンを排出し、それが湿地帯に浸透し、川や海へ流れ出てタスマニアの赤い海となるとか。温泉地の流れのように川を赤く染めている。
Honey Suckle 樹木 ブラシを立てたような灰色の花がら 小鳥が葉隠れに囀っていた。人問の鶯の鳴きまねにいちいち応えていたのが愛らしい。
- Persoonia Gunnii 樹木 ゆりに似た白い小さな4弁の花 実は先端に1つの角のある赤紫色
- Snow Berry 樹木 マシュマロのような白い丸い実
- アルパイン ビークレア 2m位に伸びるマヌカに似た白い花 葉は細
- Cyathodes Petio1aris 透明な赤い実を沢山つけている。
9:45 マリオンズ ルックアウト着 眺望はない
ドゥブ湖の右岸の岩稜コースを、風雨の中ひたすら黙々と歩く。
季節を終わったとはいえまだ花々は咲いていて、雨に小さく震えている。稜線であっても小さな沢があったり、湿原や数々の池塘がある。晴れていればさぞかし歓声の上がるコースのことでしょう。少し残念。ハイカー数人とすれ違う。
- Gentian 陽が射さないので花はとうやくりんどうのような蕾のまま湿原に咲く20cmくらいの茎
- Small Snow Daisy 日が射さないので花は開かず
- クッション プランツ 苔 その名のごとく 花は終わっていた
- Pime1ea Sericea 樹木 白い花の集合体 葉は硬い
11:50 キッチンハット着 無人避難小屋 冬用の8畳程度の2階あり
昼食 雨、悪天侯のため小さな小屋は世界のハイカーで溢れていた。
急な梯子を上り私たちだけの場所を確保し昼食とする。ポットの温かい紅茶が冷えた体を温めてくれる。手袋、帽子がぐしょぬれ。皆余り意気が上がらない。若い娘さんの元気の良いハイカーに見送られ雨中を12:30小屋出発。
急な登り下りが続く。右手にクレードルマウンテンの岸壁が迫ってくる直下のトラバースは怖ろしいまでに圧倒されるコースであった。雲間から時々その姿を現す岩頂群、釣り尾根、巨大な岸壁。
急な下りを過ぎると無人小屋があった。緊張を解いてしばらく休憩を取る。ここからはドゥブ湖が左手に位置する、上り下りを幾度と繰り返す箱庭散策コースとなる。ふと見下ろすとドゥブ湖の奥深い位置に何とも可愛らしい島がある。ハネムーンアイランドとか。
この頃になると雨は少し小止みとなる。左手にはドゥブ湖、右手にツウィスト湖、レイクハドソン湖など変化に富んだ地形から、太古氷河期はどんなであったろうかと思いを馳せつつ箱庭の景色を楽しんだ。この後にちょっと緊張する鎖場が待ち構えていることを知らずに。
雨の中ずぶぬれになってキッチンハットに到着。外国人の先客で座るところもなかったので、細い急なハシゴを登り二階へ。ベンチがないので立ってランチを食べ、12:30出発。5分程でマウント・クレイドルの山頂へ向かう道とクレイドルの周りを87kmも歩くというオーバーラウンドの分岐に着いた。私たちはクレイドルの真下を歩くコースヘと進む。途中、1年間に1ミリしか成長しないクッションプラントというコケの群生地を抜ける。このコケは素手で触ってみると、石のように堅かった。
リトルホーンの真下を南極ブナの林とマヌカの花を見ながら進むと霧の晴れ間から鋸のように切り立ったクレイドルの山容がすぐ頭上に見え、圧倒された。間もなく道が二手に分かれ私たちは左手の急な下りを雨にぬれた石に足を取られないよう慎重に下る。15分程でレインジャーハットに到着。30分休憩後、左手のドゥブ湖のハネムーン・アイランドという小島を見ながらアップダウンを繰り返し進むとハンソンズピークに到着。休憩後、歩き始めてすぐに湖に飛び込むようなとても急な鎖場を下り始めると下から外国人の男性2人が難なく登ってくるのに出会った。私たちは強風に吹き飛ぱされないよう細心の注意を払いながら下る。左側の湖の対岸には朝、写真を撮った船着き場の小屋が見え、カヌーが二隻湖水に映えていた。駐車場の休憩所に予定通り4時到着、雨具を脱いで整理していると、迎えのマイクロバスが到着。クレイドルロヅジに4時半到着後、個々のロッジに入り、ぬれた雨具やくつを赤々と燃える暖炉で乾かし、7時のディナーまでゆっくりとシャワーを浴びてくつろぐ。
夕食の前菜はアスパラガスと水菜風のサラダ、もう1品はホタテのクリーム仕立て
メインディッシュはラムとマスから選ぶ。
デザートはクリームブリュレ。
ワインで乾杯!
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