第6日('02.12.25) クインティン小屋からサンドフライ・ポイントまで22km

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【第6日】2002年12月25日(水) 終日雨 風強し

NZ_07.JPG(記録担当 才美)

ミルフォード・トラック 第4日 残り55km地点まで22kmの行程

クインティン・ロッジ――サンドフライ・ポイントまで

 トラック中最長のコースである。昨夜から降り止まない雨の中を何かに追われるようにただただ黙々と歩いた。サルオガセに似たゴブリンモスのまとわりつくほの暗い樹林の森に入り、息苦しくなるほど迫ってくる雪を頂く岩壁に身をちじませる。そんなことを何度繰り返したことか。

 昨夜来の豪雨のため、7:30早めの出発。

 岩肌の至るところに滝が出来、轟音とともに流れ落ちる。頂きはまた新たに雪が降ったようだ。昨日乾かした登山靴はすぐにぐしょぐしょになり足は靴の中で泳ぎ始めた。夏の気温ではない。雨具をしっかりと着けてはいるがすぐにぬれねずみだ。かなりのスピードで歩いているが暑さは感じられない。今日は22km余を歩き最終の3時15分の船に間にあわせなければならないので皆真剣である。荷をヘリに預けた人は快調な歩きだ。

 タンブリン・ハット(35.4km地点)にて小休止。トイレあり。立ち止まっているとサンドフライがわんわと集まってきてじっとしてはいられない。

 吊橋をいくつか渡りボート・シェット小屋着(40.9km地点) モーニング・ティーがうれしい。

 マッカイ滝を展望台からながめ、ベル・ロックの中に入り、これが自然の岩かと感心する。ただし 岩の中は真っ暗で7mの高さの実感はない。

 このあたりから歩行に差が出来、先頭、中間、後続と3グループに分かれて歩く。

 高低差の殆ど無い道は歩きやすいが、雨が降っていなければもっと心地よいのになどと思いながら何人かの人を追い越し、山肌を流れ落ちる何本もの滝に驚きの声を上げ、かなりのスピードで歩く。左右の山の頂きには雪が降っているようだ。岩を削った登りでは滑らないよう注意して歩く。すぐ脇を増量したアダ湖がとうとうと流れ、足を滑らせたら大変だ。標識のマイル数が早く33マイルに近づかないかとの思いがよぎる。

 ジャイアント・ゲート(48.0km)で昼食。屋根だけしかない。雨の食事には助かる。

 道が広くなってきたあたりで間もなく終点サンドフライ・ポイント着。やれやれ、お疲れ様、よく歩きました。

 小屋の温かい飲み物とストーブの火が全身をしずかに暖めてくれた。

 マイターピーク・ホテルの部屋の鍵を受け取り、3:15の船に乗る。乗船前にサンドフライ・ポイント標識の前で我々だけで完歩の記念撮影をした。後で見ると全員見る影もなく疲労困憊の体。第1日目に撮った写真との差は歴然だ。風雨は相変わらず激しかったが船は定刻通り対岸のミルホード・サウンドにむけ出港。

NZ_06.JPG ホテルはこのツアー専用のホテルのようだ。バスタブに湯をいっぱいに張り首までどっぷりとつかり、いささか緊張気味だったが充実していた4日間を思い返していた。

 木々や花や鳥やがキラキラと輝いて見えた晴れの日。頬を打つ霙にふるえた日。山の中腹に長い帯を真綿のようにかけていた白い雲たなびく国。山肌を垂直に落下するおびただしい数の滝。幻想的な暗き森。どしゃぶりの雨の中の歩行。ぐしょぬれになり重くなった登山靴。心地よいもてなしを受けたロッジでの時間。各国の人々との快い交流。つらく感じたことがなかったとは言えないが、未知なる物の発見とそれに続く感動ははかりしれない。

 6:15 全員がロビーに集まり、完歩証授与式が行われた。全員が頂けたのはうれしい。

 そのままの流れでクリスマス・ディナー。クラッカーが用意され中に紙の帽子が入っていた。そんな小道具でも嬉しくなるほどに皆はしゃいでいて何やらアジアンめいた集団が出来上がった。一つのテーブルに健ハイグループが集合する。ワインがたくさん空けられた。この夜は少々はめをはずしての宴会が延々と続いたのでした。

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このページは、akirafが2003年1月 6日 05:25に書いたブログ記事です。

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