オート・ルート第3日目

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SN33HR3_1.JPG 【4月7日 快晴】

 Praz fleuri 小屋2660m――Col du Roux 2805m(ルー峠)――long traverser――Tête Noire 2981m(テットノアー)――Cabane des Dix 2925m(ディス小屋)

 標高差登り514m 標高差下り200m 行動時間5h

SN33HR3_2.JPG 6時半朝食,7時出発。100人近い泊り客に対し、朝混みあうたった二つしかないトイレのことが気がかりで、私は6時前に起きてさっさと用をたして一安心し、その後食堂にいくと、トシも似た様な事情で早起きしていた。私は便通は非常にいいのでこういう健康体に産んでくれた両親に感謝しているが、混み合う山小屋で、朝食をとってから出発までの30分間というのは、誰にとっても強度のストレスで、特に便通の悪い人にとっては恐怖の時間だと思う。テルモスにお茶を入れて、使ったブランケットを片付けて、ザックの用意、ビーコン(雪崩探知機)とハーネスを装着し、スキー靴を履き、スキーにシールを貼り付け、日焼け止めクリームを塗り・・・と、トイレ以外にもやるべきことはたくさんある。集合時間に間に合わせるためには自分の行動を慎重にコントロールしなければならない。さすが、日本人グループである。ガイドのフィリップは「君達は早いなぁ!こんなに時間に正確なグループは初めてだ。」と言いながらいそいそとやって来て、出発前にタカヨに、「フィリップ、ピオレを忘れてない?」と指摘され、あわてて小屋に駆け込んでいた。なんだか、こういうガイドだから朝から皆で大笑い・・・本当に珍道中?!

SN33HR3_3.JPG さて、コルまで登った後、本日は『恐怖のトラヴァース』と呼ばれる、長い長いトラヴァースが私達を待っていた。朝は例のごとくカリカリで、しかも、前日の腐った雪の上に付いたがたがたのトレースの上を行くのはスピードが出ると怖い。雪崩のデブリの上をけっこうなスピードでトラヴァースしていると雪の塊に引っ掛かってバランスを崩し危ないので神経集中。常に、左斜面を突き進んでいくので、荷を背負った体のバランスを保つため重心は右の足にかかっていて、荷を支える右の背中の筋肉が収縮したままの格好になり、これが10分や20分ならまだしも、1時間以上も続くのである。しかも、下りだけじゃなく、登りもあるから汗だく・・・ふと気を緩めるとざざぁーと谷側に滑りそうになる。常にエッジを堅い雪に食い込ませていると、右足と、右の背がつりそうになる。こんな過酷なトラヴァースは初めてで、正直な話、後半部フィリップの速さについていくがやっとだった。そして、Dix湖に日が射し始め、もうトラヴァースが終わりかけると言う頃、わたしの顔が蒼白になっているのでアランにわたしの荷物を少し持てとフィリップに言われる始末であった。トホホホ

SN33HR3_4.JPG そのトラヴァースの後は、わたしの今回のオートルートの中で一番気に入ったパノラマが広がる。一目見て、誰の心をも惹き付けるほど美しいMont blanc de cheilon 3800m(モンブラン・ドゥ・シャイヨン)の北壁に向かってなだらかに登りが続くのである。私はこのピラミッド型の高貴な山の頂に6年前の夏、友達と登ったので一層思い入れがある。フィリップは、「うぅ?ん、美しすぎる・・・。」と北壁に目が釘ずけ。結局カズヤと来週あたり一緒に北壁を登る企画を立て始めた。まだ10時半頃だが今晩の小屋は200mも登るとすぐそこである。眺めのよいところで小休止・・・ポカポカと太陽の恩恵をうけ、「あ?幸せ」。今日は、移動距離が短いため、小屋の近くのTete noire 2981m(黒い頭)という小さいピークにおまけで登頂し、13時頃小屋に入った。

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