オート・ルート第1日:オート・ルート始まる!

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SN33HR1_1.JPG 【4月5日 快晴・無風】

 Grands Montes 3220m 出発――Argentiere 氷河――Col du Passon(パッソン峠 3028m)――Le tour 氷河経由――Le Tour の村1453m 到着――神田さんのミニバスでWerbier の村へ移動――Hotel la Chable 泊

 標高差登り550m 標高差下り2305m 行動時間6h

 今年はアルジョンチエール小屋が改装をしていて使えないため、トリヨン小屋に予約が殺到し、私達のチームも他の多くのチームと同様ルート変更をせざるをえず、結局1日目は不規則な行程になった。ロープウェイを乗り継いで、グランモンテまであがるとさすがに空気は冷たく張り詰めている。ターンを連続して下り始めると普段より少し息が切れやすいと感じる。気持ちいい快晴に心はずむ。アルジョンチェール氷河まで一気にスキー滑走し、その後パッソン峠に向けてシールをつけてゆっくり登り始める。峠の取り付きから傾斜が50度くらいの急登になるためスキーを背負ってアイゼンをスキー靴に装着して一歩一歩登る。ガイドがアンザイレンしたのはカツだけで、残りのメンバーは自由。数珠繋ぎの込み合いで、のろのろ大渋滞のなか、私は69歳のトシのすぐ下を行く。彼は、本当に話し好きでこの急登中もずっと家族の話などして盛り上がっていたら、すぐ頭上の今にもくたばりそうな客をザイルで引っぱりあげているガイドの気に触ったのか・・・「シッ!静かにしろ!」とおこられてしまった。しかし、それにもめげず、また話し始めるのがトシであった(笑)。

 峠からはル・トゥール氷河上を1500m滑走し、3時過ぎには村に無事到着した。

 本日、カツの調子は昨日よりだいぶよくなり、ガイドは彼がもし駄目になった時は皆が荷物を持って助け合うと言う条件でカツの参加を許可してくれた。しかし、当の本人は、体力の限界を感じると言う理由でそれを辞退した。私は、彼の皆に迷惑をかけてはいけないという思慮とプレッシャーを推し量る想いで目頭が熱くなりそうだった・・・・。

 実は、彼は私が96年に登っているヒマラヤの『プモ・リ』という7000m峰を目指して2年前にヒマラヤの地を踏んでいる。登頂したしないは別にして、言うなれば私達は同じ山を目指した"同志"である。私と初めて会ったのにも拘わらず、永年の山仲間に久し振りに会ったように接してくれた彼のリタイヤは非常に残念に感じた。しかし、翌日からの行程を今思い返すと、それはよい選択だったように思う。山は情に流されて判断するようなものではない事を50年以上山を登り続けているカツ自身が一番よく理解していたはずだ。

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