し・か・し、毎年、必ず、そんな気持ちを吹き飛ばしてくれるかのように、快晴の週末が『ポッコリ』とやってくる。その週末を堺に、冬型の寒波がドカーンとヨーロッパ大陸を覆い、本格的な積雪が始まるのである。
今年のそれは、11月16日で、この日が今年最後のハイキング日和になった。
今日は、ジュネーブの街の真横にそびえるサレーブ山へ、日本からやってきた客人と共に行くことにした。
サレーブ山の取り付きは、わたしの住んでいるところから車で15分でいける。夜の10時頃まで日が長い夏は、会社が終わってからザイルをかついでここにやってきて、数ピッチのロッククライミングの練習をする事も出来る。また、この山は、シャモニーよりも、もっと前からアルピニズムが発祥した山として有名である。
確かに、ここのメインルートの岩は、ホールド(足先を置いたり、指でつかまったりする岩の突起しているところ)がもう、つるつるに磨り減っており、何回冷や汗を流したことか・・・・。何百年も前から、どれ程多くのクライマーが同じ岩壁を同じホールドを使って登ってきたかを暗示している。ロッククライミングのルートから、子供も歩けるハイキングルートを合わせると100ルートを越えるこの山の標高は1,380mあまりである。ジュネーブの住人にとっては非常に親しみのある存在なのだ。
小さいジュネーブの街と、噴水の上がるレマン湖を眼下に眺めながらゆっくり登る。程よく汗をかき、頂上を極める。プラトーでだだっ広く開放感100%!後ろを振り向くと、そう!!真っ白に雪化粧したモンブラン山群が眼前に広がっているのである。皆、息を呑む。
こんな近くで、こんな感動的な景色を見られる場所は、ここしかない。
下りながら、山肌に秋の太陽に照らされる木々たちの囁きが聞こえるようだ・・・。もう、日が傾きかけて来た・・・・静かに時計の針に目をやると、まだ3時半である。今年最後にふさわしい最高に美しい秋のハイキング日よりであった。
写真の私が持っているのは、ギイという植物である。リンゴの木や、その他の木に寄生して、かわいい白い実がなる。スイスの人は、自分の好きな人に告白する時に、木の下でこのギイを渡すのだそうだ・・・・。秋のロマンチックな逸話である?!ムフフフ
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