青春切符の旅(1泊2日)鳳来寺と秘境駅 (2016.12.14~15)

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CIMG0286c.JPG今回は、飯田線に乗ることに加えて、1425段の石段を登り仏法僧の鳴く鳳来寺を訪ね、また秘境駅で下車し周辺を散策。此の厳冬にあやし気な振る舞い。艱難汝を玉にすの意気込みのある奇人変人の参加する旅。
予報は雪だったが、2日間全くの快晴。横浜よりも温かく紅葉もいまだに健在。それでいて雪山の輝き。総じて列車は車中での飲食も許される程度の混みよう。

実施時期;2016年12月14日(水)~15日(木)。
参加者;8人(男性3.女性5)。勝巳(リーダー、記録)、才美、三貴也(サブリーダー、会計)、美奈子、幸子、亮子、邦子、善右衛門。
集合;横浜駅中央改札口(JRの緑の窓口がある近辺)12月14日午前6時20分。 切符の性格上、参加者全員がこの改札口から一緒に。切符は5枚単位で4枚購入(11850 円×4)。一日一人片道で1枚使用(2370円)。
DSCF370c.JPGコース
  • 第一日(12月14日)(水)快晴
      横浜発6時36分――熱海7時59分着――静岡9時20分着――掛川10時07分着――豊橋11時17分着(11時42分発飯田線)――本長篠着12時43分。
      (宿の送迎。全員好天に誘われて鳳来寺の石段を上る)――鳳来寺(本堂、東照宮)再び宿の送迎で山上駐車場発15時30分――宿着16時(泊)
      宿泊 民宿旅館「川合」本館 0536-36-0047、携帯 090-8678-0270川合真史氏。送迎実費(3,000円)は別。
      一泊1万円(税別)2食付 5部屋 (勝巳、三貴也、各1部屋2人使用。邦子、幸子、1部屋2人使用。善右衛門、亮子、各1部屋1人使用。全館貸切。
  • 第二日(12月15日)(木)快晴
      宿泊発6時10分(朝食は弁当。昼食は途中のコンビニで購入)――本長篠駅発6時55分発――田本駅(秘境駅)着8時47分――田本集落、竜田吊り橋等周辺散策(3時間)――田本駅発11時50分――天竜峡12時10分発――茅野駅16時32分――小淵沢17時04分着――甲府17時48分着――高尾19時38分――八王子19時55分着(切符の関係上二手に分かれて解散)。
費用;交通費5000円+宿泊費、送迎分担金。昼食2回分 約計17,000円
持ち物;登山一般用品。傘と雨具、医薬品。懐中電灯。水筒。非常食。(パンなど1食分以上。ないと接続時間の関係で食いはぐれます)カメラ。携帯等。
DSCF3674c.jpg第一日 気になること3年。やっと来た鳳来寺東照宮は一部の立て替えた建物を除き予想をはるかに超えてさびれていた。階段を上る途中の全ての建物は石碑にそのあとを留めるのみ。山上の宿坊らしき大きな建物群もはるか昔にすべてが無人。登り口のかっては賑わっただろう観光目当ての店も旅館も多くは閉店。もちろんそこに住む人もいない。2車線で立派な道を有する大きな山上の駐車場はこの快晴でもほとんど空。石段途中で崩れかけ苔むす脇道を入れば奥に地蔵と古い墓らしき碑。何年も人が訪れて居ないのだろう。一体、何があったのか。徳川家に関連する重要文化財の本殿や、拝殿なのに。かって仏法僧がなく神秘の場所として賑わったのにこの地に何が起こったのか。巨大な杉並木はその変遷をどんな風景として見守って来たのか。うっすらと陽が差し込む古い石段を噛みしめて登った。此の奥三河の地は、山は高くないが、奥は深い。巨木や手つかずの原生林も残っている。そんなところにあるのにどうして寂れてしまったのか。山上の道標の不備や、案内図、案内板のわかり難さなどの問題ではないようだ。かっての賑わいを復活させるには行政の積極的な関与は避けられないが政教分離が関係してるのか・どうも解せない。短時間でこれほどの凋落した観光地はめったにない。(50年前は賑わっていたという、その証拠に、無人化している建物は全ていまだに使用可能な程度に見える。)
宿は、里山の只中にある。かなり大きな目立つ建物だ。日当たりがいい。前には鮎の泳ぐ川が流れ、旅館横の水路は、夏に蛍が飛ぶという。長閑で、ゆったりした時間の中にある。暗い。当たり前だがあえてそう言う。山の端を登った満月が大きく白い。天空にどっしりと冷徹に地上を照らしている。静かだ。この辺りには鮎の川以外何もないという。だが最も大切なものがある。空気と、美味い水。陽の光と静寂。こんな贅沢な村は無い。民宿と言ってもレベルは料金を除いて旅館そのもの。歯ブラシ一つとっても、寝間着の紐一本とっても、一流ホテルを凌いでいる。清潔で、大きな風呂を始め設備は申し分ない。熱心な宿の主人と、無口だが、誠実な奥さんが一生懸命に尽くしてくれる姿が何よりのサービスだ。面倒な送迎にも快く応じてくれた。こんな宿なら何度も来たい。全館、貸切状態。めったに出会わない宿だ。
DSCF3708c.jpg第二日 何をもって秘境駅とするかはいろいろ見解があるだろうが、此処を秘境駅と言わずにどこに秘境駅があろうか。天竜川の流れを低くみて、急峻な崖にへばりついている。列車を降りてもどこからホームを出るのかさえ分からない。探し当てた僅かな道が駅から何処かに通じているらしい。枯れ葉の細い凸凹道が森に消えている。もちろん、ホームに案内地図などない。トイレもない、小さな雨避けの待合室らしい建物が端にしがみついている。清流とは程遠い大河が瀬音もなくホームのはるか下を悠然と流れ下っているのみだ。
駅にて不安になること夥しい。夕方こんなところに一人立ったら耐えられない不安に襲われるだろう。危なっかしいジグザグの山道を辿り、ともかく上を目指す。人家は全くない。畑もない。くどいようだが何もない。やがて上に冬支度の疎林を透けて道が見え始める。やっとたどり着いた田本の集落だ。安心がかくもうれしいことを今更のように気づかせる。陽に輝く斜面の村だ。墨で描いた食堂の看板が不自然に存在している。暫く冬田のあぜ道でこの晩秋の寒村の静粛に浸る。田は僅かに氷が光って眩しい。小学校やハイカラな名前の施設の看板があるが人影はない。農家の庭先で吠える犬さえいない。施設の名前が妙に力んでいるように見える。本来リックの集団など歩かないのか我々に同情した通行中の方がわざわざ駅に戻る道を案内してくれた。登る途中で重たい荷をデポしてあるため二手に分かれて駅を目指し田本集落を離れる。集合地点は竜田吊り橋。なのに待ってもなかなか来ない。道に迷って熊にでも遭遇したかと心配する。吊り橋から天竜川の滔々とした速い流れを足下にする。転ずれば山深く小さな集落。あんなところに行く道は何処にあるのか。でも、そこの斜面だけ陽がいっぱいに当たり天上の楽園に見えて仕方ない。突然ホームに列車が来て夢から現実に戻る。なんだか幽玄の世界をさ迷っていたようだ。私たちが乗るとすれ違いに小さな女の子と母親が降りた。このホームから落ち葉の深い小道を親子はどこに行くのか。その親子に心を寄せながら列車は去っていく。秘境駅とはなんであるかが突然わかったように思った。
DSC00807c.jpg日暮れは早い。車窓から中央アルプスや南アルプス。八ヶ岳の雪山が見え始め、暮れゆく夕日と共に紫の空に雪の山が茜に輝きだす。やがて光が点滅して人家と知る風景が流れる。列車の旅は何時も終わり行く夕暮れが美しい。大きな満月が移動して隠れたところが山である。又出てきた。月が出てきた。

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