サロン74 鎌倉散策 (11/22 晴れ時々曇り)

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(記録:達也)

  kamakura2-0.jpg早朝の鎌倉駅での人身事故の影響で列車の運行遅延はあったが、予定時間通り全員が北鎌倉駅に集合出来た。昨夜の雨でしっとりと濡れた鎌倉街道をちょっとだけ(250m)歩くと、直ぐそこに縁切寺法で女性たちを守り抜いた寺・通称"駆け込み寺"の東慶寺があった。

kamakura2-2.jpgこのお寺の開山は北条時宗夫人覚山尼。1285年開創で五世後醍醐天皇皇女用堂尼以来松が岡御所といわれ、明治迄は男子禁制の尼寺であったが、今は円覚寺管長釈宗演禅師を中興開山とする男僧寺。山門の石段の右下には漱石参禅百年記念碑(1994年建立)が在る。漱石は円覚寺の禅僧・釈宗演に参禅し、小説"山門"にその時の様子が描かれているが、2度目(1894年)に参禅した時、宗演は禅・臨済宗の東慶寺の住職であったとの事。山門を入った左手には創建時の梵鐘があり、晩秋の青空に紅葉と青竹が冴え、足元の苔むした庭には姫蔓蕎麦と竜胆が咲き、落ち着きのある境内だった。黒塀の中門を入ったところに六十余坪の書院が在り、十六菊花紋章の格天井からは、このお寺が宮内庁の管理下にある事が分かった。

kamakura2-3.jpg本堂にはご本尊の聖観音立像(国重文)が安置されていた。本堂西奥廊下つづきに水月観音堂(県重文)が在る。この堂は加賀前田家の持仏堂を移建したとの事で、円窓の仏壇にはぴったりと水月観音像が安置されているが、予約無しでは拝見不可。我々は多摩江さんの計らいで事前予約をして居り、本日一番乗りで素晴らしい御像を拝見出来た。寄せ木造り、水晶の玉眼入り、元々は白衣をまとい、岩座の上にゆるやかにやや斜めに腰を掛け、水に映る月を眺めるので、水月観音と呼ばれるとの事。その眼はとても慈悲深く、視角によっては凛として厳しく、拝見者の心を見透すような鋭さが有った。離縁が認められない当時、この尼寺に掛け込む婦女子の覚悟は並大抵ではなかったとの事。

kamakura2-4.jpg参道の奥手には岩タバコが生い茂る山肌に囲まれて歴代墓塔が在るが、先に触れた後醍醐天皇皇女用堂女王墓、更に豊臣秀頼公の息女・天秀尼の御墓は群を抜いて大きい。墓所から左の山裾には山茶花の垣根に囲まれた檀家の御墓が在る。こちらには多くの著名人・文士の方々が眠っている。(出光石油の創業者出光佐三、安宅産業の創立者安宅弥吉、岩波書店の創業者岩波茂雄、西田幾多郎、鈴木大拙、谷川徹三、和辻哲郎、小林秀雄、高見順、太田水穂、前田青邨、等)

kamakura2-5.jpgとても良く手入れがなされた境内でふと見た足元には野葡萄が小さな実をつけて居り、叉 色鮮やかなモミジやイチョウの下に佇む東慶寺が、女性救済のお寺としてだけでなく、昭和以降の近年に至っては著名な方々が眠る静寂な魅力ある墓地であると知り、若かりし頃の乏しい教養を思い出しながら改めて感銘を深める事となった。

健ハイ・サロンならではの知的散策を満喫しながら東慶寺を後にし、自然の美しい山歩き・ハイキングコースに入った。紅葉の散見される坂を30分ほど登りひと汗かいた頃、葛原岡神社にたどり着いた。隣接する"こもれび広場"のベンチで一休みしている時、突然キャーと言う声がした。多摩江さんが提供して下さった美味しいクッキーを、待ち構えていたかの如くカラスが奪い取って舞い上がったのだった。 kamakura2-6.jpg山頂に雪を戴く富士山を眺望し、疲れが治まってから出発。ここから大仏迄は1.5Kmほどだが木の根が張って歩き難い山道。団体の中学生たちは身軽に根っこを飛び越えて行くが、老体には危険がいっぱいだった。二度目のキャーが聞こえて振り向くと、落ち葉に足を取られて滑った中年の女性が恥ずかしく且つ悔しい顔をしていたが、こけずに済んで何よりだった。最後の難関は大仏切り通しの真横を下る急激な階段で、手すりに捉まりながら慎重に歩を進めた。幸いにも全員無事に高徳院(大仏寺)に到着し、拝観料は納めずに外から大仏様を拝見させて頂いた。

 

kamakura2-7.jpg12時半近くなりお腹がすいたと感じた矢先、目の前に老舗の中華料理屋が見つかり、恐る恐る確認したところ一品料理でもOKとのことで、全員で入る事となった。生ビールとシュウマイをちょっと味わい、夫々は五目焼きそば、蟹チャーハン、肉饅頭等を戴き、暫しの談笑で英気を養う事が出来た。

 

kamakura2-8.jpgその後、天平8年(736年)開創と伝えられる古刹の長谷寺を訪問し、観音堂に安置された高さ9.18mで日本最大級の木彫仏・御本尊の十一面観音菩薩像を拝見。境内の南面には相模湾に突き出たテラスが在り、全員でゆったりと三浦半島を眺望しながら休憩した。晩秋ののどかな日和で小汗をかき、知的な好奇心も満たされ、楽しいサロン活動であった。

  • コース:北鎌倉駅(9:00)集合 ―東慶寺(9:15-10:40)―大仏ハイキングコース散策 浄智寺(10:50) ―こもれび広場(11:10) ―高徳院・大仏拝見(12:15) ―昼食@華正樓(12:30-14:00) ― 長谷寺(14:25-15:00)―長谷駅(15:30)解散
  • 参加者:10名 多摩江、洋子、龍太、美保、勝巳、才美、伊久枝、吉生、茂子、達也
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