No.283 早春の下田街道、「伊豆山稜線歩道の原生林」と旧「天城街道」(3/29木―30金)

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(記録:勝巳)

  • amagi-1.jpg参加者:
    11名(男6、女5)孝儀、善右衛門、美保、龍太、勝巳、才美、貞子、吉生、幸子、茂子、達也
  • 実施日:
    3月29日(木)―30日(金) 一泊二日
  • 集合 :
    修善寺駅改札口3月29日10時35分
  • (参考)ジパングは横浜―片浜駅(沼津の先の駅)までの往復200kを購入

    3月29日(木)

    快晴。こんな天気は珍しい。TVの予報画面がお日様マークで占領されてる。修善寺から狩野川をさかのぼるバスは伊豆の春に包まれて制服の中学生の乗り降りがあり、おばあさんが孫を連れて乗っては降りていく。下車した天城峠のバス停から坂を一息でのぼり、旧天城トンネルに付く。石造りの、重厚で、質素で風格があり伊豆の象徴のようなトンネルだ。遊歩道は国道沿いに付いたり離れたりして、森と沢に挟まれた狭い平地にしっかりと続く。伊豆の踊子の碑のほかにも何故か碑がたくさんある。井上靖。穂積忠、横光利一、島崎藤村、与謝野晶子歌碑、それに、句碑も。所々にはワサビ畑が緑の葉を清流にひからせている。

    amagi-10.jpg道は、木漏れ日の中をゆるい下りが続き思い出したように観光施設につきあたる。道の駅での「ワサビソフトクリーム」は旨い。おばあさんが本当に生わさびを目の前で擦ってソフトクリームに乗せている。客が何人並ぼうが断固としてワサビを擦る。途中利用したバスからは本谷川沿いの見上げる斜面にワサビ畑が点在する、バスをおりた淨蓮の滝は水量も高さも見ごたえがある。周囲のマス釣り場や、お土産屋が風景を損傷しているがこれは、滝のせいではない。

    amagi-2.jpg急な石段を経て再び天城遊歩道に出る。発電所の古びた施設を過ぎ道は本谷川にかかる瑞祥橋を渡り、分かりにくい道の湯が島の温泉街に入る。集落内の道にわざわざ、「湯道」として周遊コースの道標を設けている。したたかだ。今日の宿は民宿としては大きい。温泉はぬるいが24時間の本物。

    翌日のコースの崩壊場所を民宿の主人から確認する。ありがたいことに現場に紐でルートに印をつけてくれていた。

    amagi-3.jpg天城街道を歩くと中学の頃友人と3人でテントを持って歩いた日を想う。小さな砂利道の村を過ぎた時、おばあさんが農家の庭から走り出て来て「兵隊さん休んで行ってください」と手を合わせんばかりに私たちを引きとめたのに休まずに行ってしまった。当時の登山の服装は米軍の払い下げが中心だったので兵隊と間違えたのだろう。70を過ぎた今でも、どうしておばあさんの申し出を受けてやらなかったのかと悔まれてならない。きっと、戦争から帰らなかった息子がいたのだろう。話を聞きたかったのであろう。この街道のどこの村かの記憶もない。一緒に歩いた友も逝ってしまった。遠い昔の埃だらけの夏の日差しの中のことだ。

    3月30日(金)

    思ったほど、天気はよくない。強い風の中雲が低く垂れこめている。それにしても朝の出発は見事だ。時間前にみんな揃った。宿の送迎(2000円)で仁科峠までは狭い道を登るが峠周辺は、広々として牧場が美しい。ここで、山に登らない3人と別れる。強風の高台にある「鍋石」から別行動で西伊豆に向かう車を見送る。

    amagi-5.jpg後藤山を越えると、アセビとヒメシャラのトンネルだ。健ハイで2002年に来た時は、雪の中だったが、いまは、アセビが 青々と美しい。火山の名残だろうが猫越火口池は水たまりの大きい程度で、美しいとか、神秘的な湖とは言えない。猫越山1034mは今回の最高峰。仁科峠が895mで、ほとんど登りはない。

    ここまで来ると橅の大木があたりを囲む。伊豆にこれだけブナの森があることは知られていない。伊豆の自然は、観光に毒された一部地域と全く違う様相を呈していることが多い。案外、伊豆の山は開けてなく、この稜線はその代表だ。ツゲ峠までの稜線は西風による倒木が根元から大穴をあけて道をふさいでいるが、豊かな森を静かに歩ける事は請け合いである。今回も6時間歩いても一人の登山者にも逢わなかった。登山道を外れれば何処へ下るにしても困難な藪漕ぎを強いられる山中でもある。

    amagi-6.jpg2002年の雪の中でここから仁科峠まで引き返した猫越峠に至る。右に入る道は、止めてある。かなりの難路であろう、気持のよい落ち葉の道を緩やかに登り三葢山を過ぎて待望の登山道崩壊現場に出会う。幅は10m、高さ20m程度だが傾斜と裂岩でホールドもない状態で一見して横切るのは危険である。現場の30mほど手前にある標識のビニール紐を頼りに右に高巻く。結構森の中には踏み跡があり混乱する。おおよその見当をつけて、崩壊現場を避け、登山道に飛び出る。高巻き個所としてはそんなに性格が悪くない。宿で脅されたせいか拍子抜けの感がある。

    amagi-9.jpgそれでも、山腹を巻き沢を越えるコースには特有の危険個所があり崖が崩れ込む谷底は思ったより急峻で深い。悪天候の時は嫌なところだろう。伊豆だからと、舐めてはいけない。難所を通過すればすぐに二本杉峠だ。ここがトンネルのできる前の歴史上の人物が全て通過した本物の「天城峠」である。峠は強風のため、少し下の森の中で昼飯。

    昔の天城峠だから、それなりに道も整備されていると思うのは間違い、稜線の道より荒れ果てている。観光から忘れられるとこんな扱いをされるのだろう。間もなく舗装道路に出て、一時間に1本のバスの後ろ姿を見送る羽目になる。ここが「天城遊遊の森」バス停だ。次のバスまで時間もあるので「滑沢渓谷入口」バス停まで国道を歩く。今度はバスを逃さず修善寺に向かう。昨日歩いた道がはるか下に見え隠れする。

    amagi-8.jpg特記事項 JR線と私鉄線の乗り換え時の切符購入時間に付いては注意すること。今回の「三島」駅――伊豆箱根鉄道「修善寺」駅。JR「大月」駅と、富士急電鉄乗り換えなどのケース。また、JRでも東日本と、東海では、使えるカードが異なる等注意。乗り遅れる危険がある

     

     

     

    • 第一日:
      (3月29日 木曜)徒歩4時間(踊り子歩道。天城遊歩道))修善寺駅10時33分着――バス10時40分発河津行き――天城峠下車11時30分――旧天城トンネル(昼食)12時――水生地下バス停13時――踊り子歩道――天城遊遊の森13時30分――滑沢渓谷バス停14時――道の駅(昭和の森会館)14時30分――バス7分乗車ーー淨蓮の滝15時――天城山荘15時10分――水恋鳥ひろば16時――瑞祥橋――湯が島温泉口16時40分着(宿泊)宿泊 温泉民宿「しきや」 0558?85?1377 8550円 
    • 第二日:
      (3月30日 金曜)徒歩6時間 7時出発――民宿の送迎車2000円――仁科峠7時20分出発――後藤山7時50分――猫越火口池8時20分――猫越岳8時30分――猫越峠9時10分――つげ峠10時15分――三葢山11時――崩壊現場11時20分――滑沢峠11時30分――二本杉峠12時30分――滑沢バス停13時50分着――バス14時18分発乗車―50分―修善寺駅15時15分――三島駅乗り換え――熱海駅――小田原――横浜
    • 持ち物 :
      第一日、第二日の昼食弁当、水筒、スパッツ、杖、懐中電灯、医薬品、非常食、雨具等、タオル洗面具等  費用約15000円(交通費、宿泊込み)(L)勝巳、(SL)才美    地図 「土肥」「湯が島」「湯が野」   

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