No.256 大鹿川から滝子山(1620m)へ(2010.10.26)

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Takiko_1.JPG(記録担当 紘正)

 集合場所の中央高速道「談合SA」を出てから、笹子の集落を通り抜けて道証地蔵に着いた。そこには森林工事用の車がUターンをするという空間があって、車を停めて身支度をするには格好の場所であった。

Takiko_2.JPG 時に9時頃であったが、くぐもった空は晴れる気配もなく、時折こまかい雨が顔を濡らす。こんな日は気が滅入って「山より早く温泉に入りたい!」と思うのが常だが、今日は違った。この場所に身を置いてから、徐々に身体の疲労や腰の痛みが薄れていくような爽快な気分になっていった。

 9時30分、駐車場より少し上方の登山道入口を入ると直ぐにズミ沢の瀬音が聞こえてきた。水音から推し量るに相当な水量の様で、今日の行程の大半をこの渓流が織り成す景色に目を奪われながら行く事になった。

Takiko_3.JPG そんなに山奥に入った感覚がなかったが、出発地点の標高は約700mで、周囲はヒノキの大木が天を衝いていた。道は比較的ゆるやかであったが、ヒノキの林が細り、ミズナラなどの落葉樹林に変わる頃には、渓流の水音が激しくなり、道筋には猪のぬた場を見かけるようになってきた。

 歩き始めて30分後、頭上を覆っていた樹林が開けて、渓流の水際に出た。三丈の滝や一枚岩を滑るように流れる滝の風景に暫く見惚れる。辺りには霧が漂って、未だ、みどり色を残す木々がおぼろげに霞んでいた。専門的な事は理解出来ないが、確かに、滝からマイナスイオンが、樹木からフィトンチッドが放出されて、この山域に充満しているように思えた。

Takiko_4.JPG 標高800mを過ぎる辺りから、渓流とはつかず離れず、道も険しくなってきた。10時30分、1回目の休憩を取って暫く歩くと、後方から、老若男女20人程のグループが追いつき、追い抜いて行った。確か、駐車場の1kmほど手前で追い抜いて、30分程我々が先行した筈であったから、凄い脚力の人々である。筋力逞しく、一点を見据えて行く姿は・・・登坂競技でもする人々であろうか。

 何時もは強い者に憧れて、羨望の眼差しで見てしまうのだが―――才美さんが呟いた、「私達は、自分たちの流儀で楽しみながら行きましょうよ!」 今日は、この言葉がストーンと胸に落ちて、山頂にこだわらない豊かさを楽しむ自分がいるような気がする。

 切石を越えて、渓流を眼下に見ながら行く。少し危険な径であったが、ザレた斜面をよじ登り、岩場を難なく(?)乗り越えて標高1200m地点に到着。この付近も、身体に良い粒子が充満している感じで、思わず深呼吸をする。2回目の休憩。時に10時50分。

Takiko_5.JPG 標高1300m付近で、憲治さんが、何かに気が付いたように言った。「川が、急に細くなりましたね」 本当に、つい今し方まで滔滔と流れていた渓流が、小川になり造林小屋跡では、些細な水場になってしまった。どうも、渓流は分岐をし、源流は更に北へ?我々は滝子山に取り付く尾根に向かっているようであった。暫く、熊よけの笛を『ピイ~ピイ?』と鳴らしながら落葉松の植林の中を、熊笹をわけて進んでいく。

 遅い?紅葉が標高1350m?1400m辺りを彩り始めていた。ダケカンバ・クヌギ・ナラなどの自然林に秋の深まりを感じ、一瞬の陽射しに映えたカエデの紅葉に気持ちが華やいだ。少し登ると、左に大谷ヶ丸への道を分ける尾根に出た。

Takiko_7.JPG せめて尾根道に出たら陽が射して欲しい、そして、周囲の山々を展望したいと願ったが、叶わなかった。12時になっても、13時山頂に立っても・・・・。雲が広く垂れ込めて、この山の立つ位置を確かめる事はさえ出来なかった。

13時15分、下山する。モミの木だろうか・・・異様に黒い木から雨滴がポタポタと落ちていた。一箇所だけ華やかであったカエデの森を抜けると、帰り道はドンドンと暮れていった。曲沢峠分岐に着いた頃には、渓流は霧に包まれだした。歩く道筋は夕闇の雰囲気だったし、対岸の木立が、ただ Takiko_8.JPG黒く見える幻想的な光景だった。15時30分過ぎ駐車場に到着。

 歩き終えてリーダーが言った。「だいたい時間通りに山頂に着いて、1、2分の違いで帰り着いた。約6時間を、たいした休憩も取らずに歩き通したのだから立派なものだ」 その思いは皆同じであったので、貞子さんが「思いのほか、楽勝でしたね」と応えると、一同から、同調したような、驚いたような爆笑が起こった。

 本当に、気持ちが豊かになる楽しい山行でした。

  • コースタイム:(着/発)
    談合坂SA(/8:30)――道証地蔵駐車場(9:10/9:30)――三丈の滝(10:00)――造林小屋跡(11:30)――大谷ヶ丸分岐(12:00/昼食/12:30)――滝子山山頂(13:00/13:15)――道証地蔵駐車場(15:30/16:00)――談合坂SA(17時頃)解散
  • 参加者
    勝巳(リーダー)、才美、伊久枝、紘正(車&記録)、ちよ子、憲治(車)、貞子、昭、幸子、以上計9名

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このページは、akirafが2010年10月30日 18:57に書いたブログ記事です。

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