No.254 猫魔ヶ岳1404m、西吾妻山2035m山行記録(2010.9.6--7)

user-pic
0

Nekomagatake_01.JPG(記録担当 勝巳)

 「西吾妻山」は吾妻連峰の最高峰。福島と山形の県境。リフトを使えば湿原の高原に2時間で達する。ついでに、名前は怖い「猫魔ヶ岳」の美しい山に登る。温泉泊。との計画だったが、台風の接近、前線の影響で9月7日は「大雨、洪水警報」が出て登山どころか、帰りの道が閉鎖されかねない状況が予想され急遽登山はやめて、桧原湖畔の散策路を。かろうじて、6日に猫魔ヶ岳には登ったが、夏疲れを回復するための良い温泉に入って軽くハイキングというところ。

【第1日記録】

Nekomagatake_02.JPG ともかくトウモロコシである。白布峠の入口の道端に何軒かのトウモロコシ売り場があったが、通りすぎてしまった。峠について予想通り後続の車からの非難ゴウゴウ。その場は、「まだ峠を越えると売ってる」といい加減なことを言ってなだめすかし、あとは、美しい景色に話題をそらす。

 景色は素晴らしい。森がいい。植林はほとんどなく、全山が自然林で山はムクムク太っている。なんとなく秋らしい気配はするが本当の秋になればこのくねくねと曲がる峠への道は錦に埋もれるだろう。深い谷の向こうの山も自然林に覆われてどっしりと構えている。見渡す限り、人家や、人造物らしきものは皆無で、さわやかな山風の中、さすが東北もここまで来ると本物であると感じ入る。

Nekomagatake_03.JPG 白布温泉は数軒の宿屋があるが、米沢の奥座敷らしく、高そうな宿が多い。我々の宿は、この中で最古の部類で温泉が出た700年前に出来たような宿である。屋根は、風呂屋の屋根のように巨大で、最上川源流の豊かな森林資源を使いたいだけ使って、内部は天然木のみがいたるところに丸見えし、天井は高く、部屋の欄間は昔の職人の技が垣間見える。風呂に至っては森を見渡せる全面ガラス、長方形で長さは20mを越えるだろう。そのかわり幅は3mと個性豊かである。もちろん24時間入れる純粋な天然温泉だが、この旅館にとっては当たり前のことかそんなことどこにも書いてもいない。言い訳の多いどこぞの温泉などと格が違う。

Nekomagatake_04.JPG 夕食も、やはり20mはある長方形の部屋である。隅っこの方に従業員が正座して給仕に控えているのがなんだか可笑しい。部屋は、大正ロマンを思わせるゆったりした次の間つき。もちろん、冷房などない。冬は火鉢かな。

 ところで。かの、トウモロコシである。「こだわりのなになに」と異名を持つ方が早速旅館の帳場(フロントではない)に行ってそこの従業員と話す。「トウモロコシがほしいので売ってくれ」「うちは農家でないからトウモロコシはない、しりょうにするのか?」「違うおれが食うのだ、一本1000円ぐら Nekomagatake_06.JPGいのだ」「そんな高いのか、やっぱり飼料用の1トンだろう」「そんなにいらない、食べるだけでいいのだ」「牛はうんと食うぞ」ここまでの会話がこのように書くと数分のようだが、実際は、30分はかかっている。なにしろ、わけのわからない吉川弁と、山形庄内の最深部の異国の民どうしの会話である。混乱を聞きつけて他の休業員も集まり「なんだべ」「この顔なら飼料だべ」というし、こちらからも、浴衣姿のほろ酔いおじさんが参加して「そもそも日本の農業政策は」と云いだして話を壊すし、帳場は大変な騒ぎになっている。

Nekomagatake_07.JPG 700年の伝統の旅館もトウモロコシと流暢な埼玉弁にはかなわないのだろう。やっとわかった「農家でないから、トウモロコシは売ってない」という平凡な結論を引き下げてトボトボと、かの君がお帰りになられた。私たち心やさしいものは、「きっと日本のどこかに売ってるから」「今日は、ビールでも飲んで早くねなさい」と慰めた次第である。時折通る驟雨の音と、沢の音のみがしている。窓の外は深い闇の森である。いびきの合唱前のわずかな静けさである。

Nekomagatake_08.JPG もちろん、トウモロコシに出会う前に「猫魔ヶ岳」に登っている。猫魔八方台の大きな駐車場には、トイレもあり、磐梯への一番楽な登山口となっているため、他県ナンバーの車が多い。登山道はかなり多く歩かれているようで、広く、しっかりしている。大した登りもなく、道はブナの巨木が空をふさぎ小気味いい日陰になっている。

 

Nekomagatake_09.JPG この森は、如何にも日本の森であり新緑や、紅葉の頃はさぞ美しい姿を見せるだろう。途中、猪苗代湖が展望でき、一度の休憩で岩の多い山頂に立つ。裏から全容を見せている磐梯山はあの、川上温泉に下るインデアンが出そうな荒野の岩肌を黄色く荒々しく見せている。遠く雲が湧き、明日登る西吾妻山頂は雲に隠くれているが、すそ野を広げている広大な森は夏の濃い緑に敷きしめられ波打っている。

 いつか、猫魔ヶ岳を雄国沼までをゆっくりと歩いてみたいと思わせる森の風景である。

 

 【第2日記録】

Nekomagatake_10.JPG 夜、雨が降り風が出ていた。宿の玄関でサルの群れが遊んでいる。なんだか、この旅館は、浮世離れしている。大きな5mもある看板で「健ハイ2100の会」と麗々しく書いてある看板の前で記念写真を撮る。ずいぶん多くの旅館に泊まったが、こんなに大事にされたのは初めてだ。すっかり、いい気分になり、従業員に別れ御挨拶を自然にする。

Nekomagatake_11.JPG 今日は幸いにも「大雨洪水警報」が出て登山は中止。もっとも、ロープウエーもリフトも動かないだろう。曲がりくねった峠道で何度かの景色休憩をして、あの白布峠を越えていよいよ、トウモロコシ屋に寄らねばならない。

 先頭を行く我々の車を突然抜き出て件のトウモロコシ屋の前で車が止まった。また、通り過ごされてはと不信感を一杯にして店に一散に駆け込んだに違いない。おばあさんから大根や、野菜もたくさん買い込み、念願のトウモロコシも買って、なんだか、自然に笑顔になって、これで帰りの様な気分になる。

Nekomagatake_12.JPG 帰りの駄賃に桧原湖の遊歩道を歩くため、国民休暇村前で車を降りる。なんだか分からないが3台の車で、遊歩道の5.5km先の出口である長峰舟付に車を廻し、一人も置き去りにされない方法を考え出して、見事解決。

 全員でレンゲ沼を出発する。地図をもらった休暇村の職員から「クマが出ます」といとも簡単に言われビビル。道は、舗装されて Nekomagatake_13.JPG幅もあり、勾配も少なく、家族での散策にも適するが、ちょうど、雨が降り出して雨具を着用する。ところどころに、桧原湖の入り江が見え隠れし、ジュンサイを浮かべた小さな沼も左右に点在している。森の中を静かなクマが好きそうな道がうねうねと続く。忘れたころ、クマよけのよわよわしい笛を吹くがこれでは、クマになめられるだろう。

 

Nekomagatake_14.JPG あずま屋で雨の中休憩、遊覧船が湖面を渡っている。出口近くなり、キャンプ場や、バンガローが出てきたが、ここまでは、舟でくるのだろうか。その方が、情緒があっていい、などと想っているともう出口である。

 あの、複雑な配車がうまくいって誰も取り残されることなく裏磐梯、川上温泉経由459号の道を帰る。猪苗代湖畔を過ぎ、途中、肉屋の出してるような、店に立ち寄り、昼食。

Nekomagatake_15.JPG あとは、ひたすら都心に向かうのだが、なんだかしきりに眠くなる。運転してるかたに悪いので寝ることができないため、余計にこたえる。帰ったらゆっくり寝よう。

 

  それにしても、下界はなんでこんなに暑いのか。あの寒いくらいの白布峠が今や懐かしい。

 

  • 日時:2010年9月6日(月)--7日(火) 1泊2日
  • 集合:二俣川農協裏 6日 6時20分(6時30分出発)
  • 役割:勝巳(リーダー・全記録)、孝儀(サブリーダー・車提供)、善右衛門、憲治(車提供)、三貴也(サブリーダー・会計)、幸子(会計)
  • 参加者:12名(男7名。女5名)当初15名から12名に人数変更
  • 車割り
    孝儀車(孝儀、多摩江、勝巳、才美)、善右衛門車(善右衛門、昭二、幸子、伊久枝)、憲治車(憲治、貞子、昭、三貴也)
  • 部屋割:男性2部屋(昭、善右衛門、昭二)(勝巳、三貴也、孝儀、憲治)、女性2部屋(多摩江、幸子)(才美、伊久枝、貞子)
  • コースタイム:(着/発)
    • 第1日 9月6日(月) 猫魔ヶ岳 1時間30分
      二俣川農協裏(/6:30)――(東北自動車道)――(磐梯山ゴールドライン)――八方台登山口(11:50/昼食)――猫魔ヶ岳山頂(12:40/)――猫魔八方台(13:30/)――(桧原湖西岸道経由)――(西吾妻スカイバレー)――白布峠――白布温泉(16:00/)
      宿泊先:白布(シラブ)温泉「中屋別館」0238?55?2121 9000円、登山後の温泉入浴無料。
    • 第2日 9月7日(火) 桧原湖畔探勝路 1時間40分
      起床(6:00)――朝食(7:00)――白布温泉(/8:00)――白布峠――早稲沢温泉近くのとうもろこし屋「みっちゃん」――桧原湖東岸道路――磐梯高原休暇村――桧原湖畔自然歩道(/9:20)――長峰舟付(11:00/)――(国道459号)――猪苗代湖畔(12:30/昼食)――(一般道)――白河IC――(東北自動車道)――蓮田SA(解散)――二俣川(18:30/)
  • 費用:16000円+昼食代(車の費用、宿泊1万円を含む)

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://kenhai2100.com/cp-bin/mt/mt-tb.cgi/231

コメントする

カウンタ

このブログ記事について

このページは、akirafが2010年9月10日 10:11に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「当面の活動計画(2010年9月--2011年1月)(9月3日版)」です。

次のブログ記事は「八ヶ岳秋の森逍遥(夏沢峠越えて稲子湯へ)(2010.9.27--28台風のため中止)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。