No.253 白山(2702m)山行記録(2010.8.21--23)

user-pic
0

Hakusan_01.JPG「白山」総括雑感記録

2010年8月26日

(リーダー 勝巳)

 白山、鳥海、剣、月山、岩木山も海上の山である。太平洋沿岸にすむ者は、北に壁のごとく立ちはだかる山ととらえるが、実は、海上に浮かび出る山でもある。また、信仰の対象として、古来、尊ばれ、敬われ、どこの山頂にも社が祭られ、弥陀ヶ原には仏や、神がおわすと信じられてきた。

Hakusan_20.JPG 信仰と求道の古道は遥か麓から延々として続き、沢を登り、峠を越え、峰を渡り、山頂に達した。そこが神々の庭だから。日本海の民は、遥か海上から、雪に輝くとびぬけた高山を神の居る場所として日々仰ぎ見ていたに違いない。苦しい農作業や、命をかける漁民の生活の中で、輝く白銀は救いだったことだろう。

Hakusan_17.JPG 今回、私たちは、座席指定の新幹線を使い、最奥まで車で入り、何でも揃っている山小屋に宿泊して、一気に標高差1500mを登り切ったが、なんだか、古の人々を冒とくしたような感じがする。山ガールが最新のファッションで闊歩し、商業ツアーが列をなして押しかけ、百名山等と云う大衆迎合的登頂の対象としてこの山を汚していないか。

Hakusan_18.JPG 「山頂」は山の極く一部にすぎない。 登り始めから、すべてが山登りである。長い、炎天下の苦痛の尾根歩きも、重い荷物を持って、登っては降りる労苦の連続も、山である。峠の薫風も、遥かな沢音も、湧き上がる入道雲も、夕日や満天の星空や、朱色のねっとりした朝日も全てが山である。深い森も、急峻な谷も、山頂の池塘も、そして、登山する仲間も山である。

Hakusan_19.JPG 山頂を踏まずに引き返し、神々の庭を汚さないのも山登りだ。もともと、征服するなどと云う考え方がおかしい。私たちの歩く登山道など、ほんの、地図上の拡大された標記点線でしかなく、実際の道は表現すら出来ない幅だろう。億年を蔵している山に立ち向かうことなどは、山の自然に最も適さない近代西洋文明の効率という悪癖に染まりきっている。山に謙虚であることは山を理解することの当然の帰結である。

Hakusan_21.JPG 私たちが登った信仰の山「白山」は、改めて登山のなんたるかを問うている。何のために永く人間が崇め、繰り返し登ってきたのか、今登る自分はそこで何を求めているのか、登山そのものの本質は何かを問うている。

 

 

 

【第1日】8月21日(土)晴れ

Hakusan_02.JPG(記録担当 善右衛門)

 東京駅に参加者11名が7時30分に集合。MAXとき307号定刻7時48分に出発、1時間20分弱で越後湯沢駅に到着。接続する特急はくたか4号に乗り継ぎ、金沢駅に11時59分到着。

 今夜の宿泊先、金沢駅から5分の金沢セントラルホテルに荷物を預けた後、12時40分市内観光に出発。

Hakusan_03.JPG 金沢市内周遊1日500円のバス券購入、12時55分金沢駅東口から周遊バスに乗り、橋場町で下車。どことなく繊細な情緒のある浅野川、別名女川の橋を渡り「ひがし茶屋街」を見学。

 橋場町バス停に戻って再びバスに乗り兼六園下で下車。金沢城石川門を右に見て、日本三名園の一つにあげられる兼六園に入る。65歳以上は無料で、入場料を払ったのは11名中4名だけ。

Hakusan_04.JPG テレビのニュースなどで報じられる冬の風物詩、池の廻りの雪吊りの松を見学。聞くところによると雪吊りは池の廻りだけでなく観光向けに公園全体にするらしい。

 石川県立伝統産業工芸館に入館、加賀藩では手厚い保護育成の下で、美術、工芸の技が育まれてきた。会館には数多くの工芸品、加賀友禅、加賀繍、九谷焼、金沢漆器、金沢仏壇、金沢箔などが展示され、国の伝統的工芸品に指定されている。

Hakusan_05.JPG 美術館前から再びバスに乗り、香林坊下車、長町武家屋敷跡を見学。藩政時代に加賀藩の上、中級武士が暮らしたところで、細い道路や土塀、長屋門は往時の姿を留めていた。2年ごとに土塀の修理を金沢市の費用で実施しているとのこと。

 香林坊日銀前バス停から金沢駅東口に戻り、市内観光終了。

 全員で午後6時からホテル3階の居酒屋で夕食。市内観光と明日の標高差1500メートルの白山登山の話題を楽しみながら7時30分に打ち上げ、翌日のため解散。

  • コースタイム(着/発)
    東京駅(7:30/7:48)――(MAXとき307号) ――越後湯沢駅(9:04/9:14) ――(特急はくたか4号) ――金沢駅(11:59/)――金沢セントラルホテル(12:20/)――金沢駅東口(12:40/12:55) ――(市内観光バス出発) ――橋場町(ひがし茶屋街、梅の橋) ――兼六園下(金沢城石川門、兼六園) ――石川県立伝統産業工芸館――香林坊(長町武家屋敷跡) ――金沢駅東口(17:00/)――夕食(18:00/19:30)(解散)

 

Hakusan_07.JPG【第2日】8月22日(日)晴れ

(記録担当 善右衛門)

 5時起床、各自朝食後、6時前に金沢駅東口1番乗場に集合。リュックを置き、山で不要の荷物をロッカーに収め、6時45分発のバスに乗車。

 車場に到着、トイレ休憩10分。白峰から33号線に入り市ノ瀬駐車場8時30分到着。市ノ瀬駐車場から大勢の乗客が乗り込み狭い山道をぐんぐん登って別当出会に8時50分到着。

Hakusan_08.JPG 登山装備とトイレを済まし、9時ちょうどに登山開始、最初の休憩地点の中飯場までは穏やかな歩きやすい道だ。最初のウォーミングアップにはもってこいといったところか、急がずマイペースで登る。

 中飯場に9時45分到着。水を補給、休憩の後、次の休憩ポイントの甚の助ヒユッテ(避難小屋)まで水場がない。何度か立ち止まり、10時35分に別当覗に到着。休憩すると谷を挟んで対岸の観光新道の稜線が見えた。

Hakusan_09.JPG 何とか甚の助ヒユッテに11時35分に到着、水の補給とトイレ、昼食を済まし、12時00分出発。続々と下ってくる人たちとすれ違ったが、リーダーの指示に従い、立ち止まらずに進み、全員が先頭に遅れずについてきた。

 南竜馬場の分岐で水分補給程度の休憩。だんだん花の数も多くなってきた。私は花の名前にとんと疎い。どの花が有名な花なのか、珍しい花なのかさっぱりわからないが、きれいだなって思った花、シモツケソウ、カライトソウ、ハクサンフーロ、イブキトラノオ、アキノキリンソウ、トリカブト等。

Hakusan_11.JPG 分岐から 先は何度か沢を渡る。この山は水場には苦労しない道だ。沢に差し掛かると空気も涼しくなったように感じる。この先100メートルは落石の危険がありと書かれた看板から曲がりくねり、ここから一番きつい登りだったが、又ここが一番きれいなお花畑だった。

 おかげで辛い登りも苦にならず、そして霊峰白山の延命水で全員喉を潤して休憩。楽しみながら黒ボコ岩に到着。ここは観光新道との分岐点でもある。

Hakusan_12.JPG ここから弥陀ヶ原は平らな広い笹の原っぱだ。石がごろごろ敷き詰められた道をずんずん進むと、南竜からエコーラインの分岐点。ここから室堂への最後の登りとなる。わずか300メートルほどの距離だが一番辛いところだ。

 最後の急登を頑張ると、行く先に御前峰(白山山頂)が見えてきた。この坂を登りきるとそこに室堂ビジタセンター。受付を済ませて、こざくら荘に案内される。

 予定時間より1時間早く室堂に到着したので、荷物を最小限に整理して、霊峰白山御前峰に登拝を決定。

  2時30分に出発、途中高天ヶ原で休憩、3時30分に霊峰白山奥宮に参拝、御前峰2702メートルの標識の前で記念撮影。山頂でしばらく時を費やし、下山。山荘着4時30分。

 案内によると、霊峰白山登拝道は別当出会、市の瀬に至る3000へクタール余の地域はすべて白山奥宮の境内になっているとのこと。

 夕食を5時に済ませ、各自就寝。

  • コースタイム(着/発)
    起床(5:00)――(朝食各自) ――金沢駅東口(6:00/6:45) ――別当出合(8:50/9:00) ――(登山開始) ――中飯場(9:50/10:00) ――別当覗(10:35/10:40) ――甚之助避難小屋(11:35/昼食/12:00) ――南竜馬場分岐(12:35/12:40) ――延命水(13:20/13:30) ――黒ボコ岩(13:35/13:40) ――室堂ビジタセンター(14:00/宿泊準備/14:30) ――(白山奥宮拝観道) ――高天ヶ原(15:00/15:05) ――白山奥宮御前峰登頂(15:30/16:00) ――室堂山荘(16:30/)――夕食(17:00)

【第3日】8月23日 晴れ

(記録担当 幸子)

Hakusan_13.JPG 昨日、山頂(御前峰2702m)を往復済ですので、今朝はご来光を拝むため、防寒着と懐中電灯を持って5時前に小屋から歩いて少し高い所で日の出を待つ。 東に遠くアルプスの山並み乗鞍岳、御嶽山、雲海に浮かぶ山々が墨絵のように美しい。日の出は雲に隠れ残念ながら見られません。

 5時30分から朝食、昼食のお弁当(1000円)を受け取り、身支度をする。

 6時20分、勝巳リーダーから今日の予定の説明があり、高低差のあまりない最短距離のエコーラインで別当出合バス停まで5時間位でゆっくり下りることになる。室堂センター前で記念撮影をして6時30分室堂センター(山小屋)を後にする。

Hakusan_14.JPG 昨日は疲れた体に五葉坂の大きな岩の階段は大変でしたが、下りは快調です。

 10分位歩いて上着を脱ぎ5分休憩。6時45分、エコーラインに入り、木道を歩いて間もなく先頭のリーダーが「おこじょ」(エゾイタチ、毛色は夏は茶、冬は白にかわる、体長20cm)がいるとの声。何人かは見たようですがすぐに木道の下に隠れてしまった。 ここ、弥陀ケ原は広大な草原でハクサンフウロ、シモツケソウ、カライトソウ、ウスユキソウ、オトギリソウ、ミヤマシシウド、ハクサントリカブト、イブキトラノウ、タテヤマアザミ、ニッコウキスゲ、ミヤマリンドウ、コバイケイソウ、アキノキリンソウ、イワギキョウ、タカネナデシコなど色とりどりのお花が一面、短い夏に咲き競い高山植物の宝庫です。チングルマの花が終わり穂が朝露に濡れ朝日を受け輝いている。

Hakusan_15.JPG 上の方ではお腹が白い大きなホシガラスの鳴き声、振り返ると白山奥宮の屋根が遥かに見え、爽やかな雲も一つない真っ青な空、ここでしか味わえない至福の一時です。

 お花畑の中をジグザグに下り、7時40分、南竜道へ出て休憩。下の方に甚之助小屋が見える。早くも登って来る人があり、今朝 車で来て白山に登り日帰りとの事です。15分ほど休んで、出発。南竜道分岐より砂防新道へ入り、昨日登って来た道を下りる。

 8時30分には早くも甚之助避難小屋に着く。冷たいお水を補給し、時間調整のため木陰のベンチでゆっくり休憩して9時再び出発。尾根の樹林の中の道は狭く、ここで仕事に携わる人達が休み明けのためか、大きな荷物(食糧や道具)を持って登って来る人とすれ違うのでしばし立ち止る。9時半別当覗に着いて15分休憩。 

 ダケカンバやオオシラビソの樹木が多くなり、左手に不動の滝や砂防工事現場を見ながら下り、水場に着く。昨日登りの時に飲まなかったので、冷たいお水をたっぷり飲み10分ほど休憩する。

Hakusan_16.JPG ちょっと下って中飯場の広場に着く。時間調整のため、ここの木陰で30分休憩。もうこの辺りはススキの穂が風に揺れ、暑さは厳しいですが秋の気配を感じる。 白山の登山道は、各休憩所にトイレや水場が完備していて本当に有り難い。再び出発。ブナ林を下り、別当谷に架かる吊り橋で記念撮影をしてから、11時30分には別当出合バス停に着く。

 直行バスの出発までまだ2時間ある。リュックをバス乗り場の先頭に並べ、この間休憩所の縁台座り、ゆっくりと休息を楽しむ。登りに5時間でもかなり苦しかった道のりを、下りでは休憩時間を除くと3時間15分で下ったことになる。

 ここで昼食、宿のお弁当は炊き込みご飯の押し寿司でずっしり重く美味しい。 

 やっと休息時間が終わり、13時30発の金沢駅行のバスに乗車。車内はほぼ満席で発車間際に乗車する人もいる。2時間余りの長いバス旅行を終えて、金沢駅に着いたのは15時45分。駅西口のアパホテルの日帰り温泉で入浴して汗を流す。料金は1時間で1000円。とても忙しかった。

 17時ホテルの出口に集合、リーダーから18時までお土産や夜食のお弁当などを購入するため自由行動とし、18時にJR金沢駅改札口に集合するように指示がある。JR金沢駅18時23発の「はくたか25号」に乗車、越後湯沢で新幹線MAXとき350号に乗り換え、22時28分、東京駅に到着して解散。

 参加者全員で白山に登頂、安全に下山出来、無事東京駅に着き大満足です。お疲れ様でした。3日間大変お世話になりました。有難うございました。

  • コースタイム:(着/発)
    起床(4:30ころ)――(ご来光)――朝食(5:30/)――室堂センター(/6:30)――(下山開始)――エコーライン分岐(/6:45)――南竜道分岐(7:40/7:55)――甚之助避難小屋(8:30/9:00)――別当覗(9:30/9:45)――水場――中飯場(10:20/10:50)――別当出合(11:30/13:30)――(バス)――金沢駅(15:45/)――アパ・ホテル(16:00/入浴/17:00)――(買い物・夕食)――金沢駅(18:00/18:23)――(はくたか25号)――越後湯沢駅(20:59/21:09)――東京駅(22:28/)(解散)
  • 参加者
    善右衛門、勝巳、才美、邦子、ちよ子、憲治、貞子、昭、達也、茂子、幸子、以上11名

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://kenhai2100.com/cp-bin/mt/mt-tb.cgi/201

コメントする

カウンタ

このブログ記事について

このページは、akirafが2010年8月27日 10:14に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「小出川に彼岸花を訪ねて(2010.9.22実施済み)」です。

次のブログ記事は「サロン No.40 第3回 男の料理教室(2010.8.12)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。