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今年2月に健ハイに新しく入会された達也さん、茂子さんご夫妻が、今年5月から8週間かけて、フランス南西部リュピュイからピレネー山脈を越えてスペイン北西海岸に近い聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラまで1,520kmの巡礼の道と呼ばれるルートを旅行された。その貴重な経験を去る9月の月例会で紹介して頂いた。以下はそれを纏めたもの。
(写真の上にポインタをのせると、その写真の説明が表示されます。また写真の上でクリックすると拡大表示されます)
(記録 達也)
何故、巡礼の道に出かけたのか
家内が2年前にこの巡礼の道に出かけた時の話を聞き、
私も定年退職したらぜひ一緒に出かけたいと思い、退職後2年目にやっと実現した。目的は宗教的な事はさておき、自分の体力勝負への挑戦であった。私どもの場合は、出発地リュピュイから国境のピレネー山脈までフランス国内を740km、国境を越えてスペインの州都ブルゴスまで284km、都合1,024kmを48日間かけて連続踏破を達成したことで、大きな自信を持つことができた。残りの500kmはバスで移動して、目的の聖地サンティアゴに到達した。
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成田を出発したのが、5月4日、スイスのチューリッヒ、フランスのリヨンを経て、リュピュイを出発したのが5月6日、36日間かけてフランス・ルートを通過し、6月11日からスペイン・ルートに入り、13日かけて6月23日州都ブルゴスに到着、ここからバスで移動、3日後の6月26日、目的地サンティアゴに到着、スペインの最西端フィニステラ見学の後、マドリッド、チューリッヒ![]()
を経て7月1日、成田に到着した。教会関係を中心とした10幾つかの世界遺産見学(記述は省略)も含め、延べ58日間の旅だった。
一般的に「聖地巡礼」とは、宗教的に罪の癒し、心の癒しを求める旅とされるが、最近は、健康増進、自己啓発を目指す旅として人気が高い。
サンティアゴ巡礼の道とは
聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラは、ローマ、エルサレムとともにカトリック教徒の三大巡礼地の一つで、この地を目指してスペイン国内外の各所から巡礼の道がある。フランスからピレネー山脈を越えるフランス・ルートには、パリ、ベズレー、リュピュイ、アルルを出発地とする4つのルートがある。西暦951年にリュピュイの司教が行ったのがフランスからの最
初の巡礼と云われている。
サンティアゴはキリストの12使徒の一人聖ヤコブ(英語名セント・ジェームズ)のスペイン語名で、コンポステーラはラテン語に由来する「お墓」の意味。したがってサンティアゴ・デ・コンポステーラとは「聖ヤコブの墓」という意味。聖ヤコブはキリストの死後6年ほどスペインで布教活動をしていたが、西暦44年にエルサレムに呼び戻されて迫害を受け、12使徒最初の殉教者になった。遺体は小舟に乗せられ、スペ
インに漂着した後、行方不明になっていたが、西暦813年にある羊飼いによって星の野原―コンポ・デ・ステラ、でその墓が発見され、当時のスペイン王アルフォンソ二世が、スペイン北西部ガリシアの海岸から90kmほど内陸に入ったその地に教会を建立し、「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」を地名として命名した。それ以来聖地サンティアゴへの巡礼が始った。尚、サンティアゴはカトリック教徒が97%と言われるスペインの守護聖人。
12世紀ころ欧州はイスラムの支配下にあり、聖地エルサレムへの巡礼が困難であったため、サンティアゴへの巡礼が主流となった。当時は年間30万人から50万人の巡礼者がこの地を訪れた。昨2008年の巡礼者は年間12万5千人、うち日本人は412人。
スペイン・ルートは1993年、フランス・ルートは1998年、巡礼路として世界遺産に指定された。1998年には日本の熊野古道と姉妹街道になっている。
巡礼の道を旅して感じたこと
- 健康に恵まれ、1000Kmを超える長距離を無事に踏破出来て、感謝の気持ちでいっぱい。
- 出発前の十分な事前準備と巡礼経験者の話を良く聞く事がとても効果的。体力的には、出かける数カ月前から(時には12kg程度の荷物を背負い)、月に200km歩いて長距離歩行に対応できるように準備した。出発直後の数日は距離を短くし、宿では毎晩欠かさず足豆の手入れや筋肉痛の解除をしたので、私たちは何とか歩き通すことができた。足の痛みで最初の1週間で旅を断念する人が続出した。リュックの重さは体重の10~15%と云われるが、私が12kg、家内が8kgのものを背負って歩いた。少々重すぎたかも知れない。
- 私どもが歩いたのはフランス国内が4分の3。
フランスは国土が日本の1.5倍、人口が半分、国土の60%が農地でのどかな農業大国、食料自給率は128%(日本は39%)、自然豊かな国。広大な農場、牧場の間の巡礼路を5週間かけて歩いた。新緑の森を抜けると牛を放し飼いにした緑豊かな牧場が開ける。幾つもの牧場を通過し、柵を閉めて白い小花が地面を覆う松林を抜けると、次が羊の牧場、その次が馬の牧場と牧場が続く。ちょうど日本の春の様な季節であったため、野山はお花でいっぱいで、牧場一面に白や黄色の水仙が咲き乱れ、農道には赤いポピーやレースフラワーが飾り建てたように色を添えてくれた。
- 我々が歩いたルートはGR65と呼び、400~500mおき位に見かける白と赤の横線二本のペンキで表示された道標を確認しながら前進する。標識を見落としたら迷子になる。たまに出会う田舎の人たちは英語が通じないので、身振り手振りで話すと、どこでもとても温かく接してくれた。英語のわかる同行の巡礼者にたびたび通訳してもらった。
- 世界各地からの巡礼者との交流や対話を通じて、助けられかつ学ぶことが多かった。
踏破距離の4分の1を占めたスペインでは広大な麦畑の平原が広がり、時には延々と続くブドウ畑を通り抜けたが、我々が歩いた地域では森や林はあまりなく、晴れた日は日差しのきついところを長時間歩く毎日だった。脱水症状を防ぐためにこまめに給水する事が体力保持の秘訣であった。
- 食べ物では特にチーズ、バターがうまかった。広い牧場に放し飼いされているストレスのない牛の乳から作るので、日本とまったく味が違う。
- 私たちは巡礼の道を1,024km連続踏破したが、
最後の500kmをバスで移動したために、巡礼証明書を取得できなかった。徒歩の場合はサンティアゴまでの最終100km、自転車の場合は最終200kmを自力で移動したことを示す巡礼宿のスタンプ印を押した巡礼手帳を提示することが求められる。そのことは知っていたが、自力でどこまで歩けるかを確認したい為、今回は努力賞で我慢することにした。
標準的な巡礼の旅について
- 旅の計画
- 宿泊施設
- 巡礼者であることを証明する巡礼手帳(クレデンシャル)は必携。

- 巡礼宿(アルベルグ/スペイン語、ジット/フランス語)には公営と私営がある。中には修道院や、学校のように大きなものもある。公営は一泊だけなら予約できるが、長期にわたって体調を維持し、予定通りその宿に到着できるかが問題。又、2人なら予約できるが、団体の予約はまず不可能。
- 開門、門限、チェックアウト時間は場所によってまちまち。
- 夕食、朝食はついているところと、ないところがある。
- 部屋は4人用、6人用、大部屋などがあり、

ベッドは平置きか2段、又、ホテルとは異なり、個室はない。
- 修道院に泊まると、毎晩、祈りの儀式が行われる。かかる儀式への参加は自由ながら、夕べの祈りにはほとんどの巡礼者が参加し、その後夕食となる。
- 私たち2人は幾つかの例外を除いて、ほぼ全行程、巡礼宿を利用した。
- ほかにオスタル(簡易ホテル)、カサ・ルラール(民宿)、パラドール(公営ホテル)、アルベルゲ・ウベニール(ユースホステル)などがあり、個室がとれる。
- 巡礼者であることを証明する巡礼手帳(クレデンシャル)は必携。
- 食事
- フランスでは食事つきの宿があり民宿はお勧めどころ:

土地の産物を使った前菜、スープ、肉料理(牛、豚、チキン等 )、デザート(チーズ、タルト等)にワインが付く。新鮮なミルクをたっぷり使った出来たてのチーズのマリゴー(チーズ、マッシュポテト、ニンニクを混ぜて、打ちソバのように延した)は逸品。
山間部の村では食料店がないところや、休日や休憩時間で食料が調達できないことがあるので、要注意。尚、週末午前中の教会広場前の朝市場は興味を引かれる。 - スペインでは通常、宿で食事は出ない。自炊か、レストラン・バールを利用する。ほとんどの町・村にバールがあり、食品ケースから好みのタパス等を取りだしてもらい、カウンターで、ワイン、ビール、チーズ 等と共に楽しむ。
- タパス(いろいろな具を載せたパンで、店ごとに特徴を発揮して提供される)
- プルポ(ゆでダコ)
- ボカディージョ(ハムを挟んだパン)
- トルティージョ(オムレツとポテトのサンド)
などを購入できる。
レストランでは、
- ガスパッチョ(トマトベースの冷スープ)、焼き魚、パエリヤ等 ちょっと高めのスペイン料理が楽しめる。もちろん上等なワインと共に。
- タパス(いろいろな具を載せたパンで、店ごとに特徴を発揮して提供される)
- フランスでは食事つきの宿があり民宿はお勧めどころ:
- 巡礼の旅の1日
- 携行品

通常の山行の場合と大差はない。
基本:
- リュック(30~50リットル)
- 靴(十分履き慣らしたもの)
- ストック2本
- 寝袋(巡礼宿に泊まる場合は必要)
- ヘッドライト(消灯後、早朝出発時必要)
- 水筒(ペットボトルで代用可。チューブ吸引口付き1 ~2リットル袋が便利)
- ホタテ貝(巡礼者のシンボルマーク、リュックの後ろに吊るして歩く。昔は鉢代りに使ったそうだ)
- 巡礼手帳(投宿先のスタンプ帳)
- パスポート(身分証明書として常に提示を求められる)
衣類:
- 防寒具(フリース、ダウンなど。夏でも夜は寒い)
- 雨具上下(ゴアテックスなどしっかりしたもの)
- 帽子(日差しが強い、冬でも必要)
- 手袋(朝晩は寒い)
- 靴下3組(雨天に備え)
- ズボン2着(ジッパーで膝から下の長さが調節できるものが便利)
- 長袖シャツ1着(日差し避け)
- 半袖シャツ2着(速乾性のもの、パジャマにも代用)
- 下着3組(雨天に備え)
- サンダル(軽いもの、巡礼宿・シャワー室・外出用に便利)
衛生関係:
- 救急セット(マメの手入れ用に、消毒薬、テープ、針と糸、痛み止め、常備薬など)
- 歯磨きセット、入浴セット(シャワーがほとんど)
- タオル(速乾性のもの)
- ナイロン袋数枚(用途いろいろ)
- S字フック(シャワー使用時に着衣を袋に入れて身近に保管)
- 洗濯ばさみ8~10個(物干し型も便利)
- ピン4~6個(洗濯ものをリュックにつるす)
- 日焼け止め
- サングラス(現地の日差しは強い)
- 爪切り
- トイレットペーパー(混雑した巡礼宿では切れていることがある)
- 耳栓(他人のいびきが気になる場合)
その他:
- 国際キャッシュカード(ICチップ付き)
- クレジットカード(フランスではICチップ付きが必要、但し、巡礼宿ではほとんど使えない)
- アーミーナイフ(野外の食事用)
- 携帯電話(山間部では通じないが、大きな町、村ではOK)
- カメラと充電器(現地用)
- 筆記具
- ビニールシート(野外の食事、休憩用)
- 膝のサポーター
- ホカロン
- セカンドリュック(散策時に便利)
- ガイドブック
費用はどれくらい掛ったか
- 2人2カ月間の巡礼の旅の総経費は1ユーロ130円換算おおよそ890,000円。これにはお土産代、特に調達した衣類、写真集等の購入費用などは入っていない。
内訳:
- 交通費が392,000円。うち成田からの往復飛行機代が2人で340,000円、残りは現地の地方交通費。
- 生活費(宿泊費と食費)が合計495,000円。
このうち- 宿泊費は合計で257,000円、
- 食費が238,000円。
これが2人2カ月分の費用だから、国内の自宅で生活しているのと大差ない。フランスの巡礼宿(ジット)は
- 高い所:2食付き2人で73ユーロ(9,500円)、2段ベッド×3セット/部屋
- いちばん安い所:素泊まり2人で18ユーロ(2,300円)
スペインの巡礼宿(アルベルグ)は質素なところが多く、
- 2食付き2人で24ユーロ(3,100円)から
- 素泊まり2人でたった5ユーロ(650円)のところまであった。(寄付金ベース)
- 宿泊費は合計で257,000円、
- 朝食が6.71ユーロ( 872円)/22食平均、
- 昼食が11.53ユーロ(1,500円)/41食平均、
- 夕食は若干贅沢をして、ワインが入って31.83ユーロ(4,138円)/38食平均。
宿泊費に食事が含まれない場合の外食の費用は2人で1日平均
町や村のバールを利用して食料を調達したので、全体的にはかなり安く上がった。
しかも美味いワインやチーズ・バターもたっぷり食べて。 - 交通費が392,000円。うち成田からの往復飛行機代が2人で340,000円、残りは現地の地方交通費。
繰り返しながら、とても充実した旅を無事に楽しむ事が出来て、本当に幸せであったと実感し、お世話になった多くの方々に改めて深く感謝申し上げたい。
以上
主な参考資料:
- 日本国内での調達:
- フランス国観光協会資料:
- スペイン国観光協会資料
- 日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会 HP
- フランス国観光協会資料:
- イギリスからの取寄せ:
- 2009 Confraternity of Saint James
- Pilgrim Guides to Spain
- 2009 Confraternity of Saint James
- 現地調達:
- Miam Miam Dodo – Edition 2009
- Le Chemin de Saint Jacques de Compostelle
- La Voie du Puy & El Camino Frances etc
- Miam Miam Dodo – Edition 2009
- リュック(30~50リットル)
コメント (4)
達也さん、質問メールの回答をありがとうございました。
フランス側のリュビュイからサンジャン・ポーまでの巡礼道はサンジャン・ポーからサンティアゴまでの巡礼道と同じように道しるべ(矢印、帆立貝)やアルベルゲが完備していますか?
投稿者: 大石 一郎 | 2010年02月05日 22:56
日時: 2010年02月05日 22:56
大石一郎 様
`09/9 中旬から 1か月ほど掛けて、スペインを巡礼されたとのこと、お疲れさまでした。楽しい思い出が沢山たくさん残って居られる事と拝察いたします。
参考資料の入手先を、以下のごとくご連絡いたします。
①イギリスからの取り寄せ:
e-mail address: office@csj.org.uk
Address: Confraternity of Saint James,
27 Blackfriars Road,London SE1 8NY
U.K.
The Name of Book: 3. Le Puy to the Pyrenees
② フランスでの調達:
場所:Le Puy のInformation Center:
本: 3. Le Puy to the Pyrenees/Edition 2009
投稿者: 達也 | 2009年11月28日 15:01
日時: 2009年11月28日 15:01
静岡県磐田市の大石ともうします。
定年後、今年、9月12日よりSaint Jean Pied de PortからSantiagoまで31日間掛けて巡礼の道を歩きその後マドリードにでて美術館めぐりをして10月24日帰国しました。来年は大祭がありアルベルゲが混むとおもいますので再来年に再度挑戦を考えています。
今度はフランスのリュピュイからサンティアゴまでと計画しています。リュピュイからサンジャンまでのルートとアルベルゲの資料等がありましたら教えていただければ幸いです。
投稿者: 大石 一郎 | 2009年11月20日 13:33
日時: 2009年11月20日 13:33
達也さんの巡礼の旅、素晴らしいですね.
この、コンポステルの巡礼はヨーロッパの人たちの中でも人気があり、距離が長いので、いい季節に、何年かかけて、歩く人もいます。(わたしのフランス語の先生もその1人です。)ジュネーブにもこの巡礼の道ありますよ。
スイスは、プロテスタントと、カソリックが、半々で、スイスのほとんどの村々には、二つ教会があるのですよ。
それにしても、バイタリティーある会員が増えて、いい傾向ですね。私も主人も、定年してゆっくりと時間が取れるようになったらぜひ、この巡礼の道、走破してみたいです。でも、その前に、私は日本人だから、日本の四国にある、四国八十八箇所をやりたいです!!笑
ゆき
投稿者: yuki | 2009年10月02日 13:40
日時: 2009年10月02日 13:40