No.234 富士登山に再度挑戦(2009.8.28--29)

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Fuji_1.jpg(記録担当 昭)

 健ハイの富士登山は2回目である。第1回は10年前の1999年8月27日--28日、例外会として実施。8名が参加している。

 今回の富士登山は私にとっては5回目。初めて登ったのは59年前の1950年、大学1年、18歳の夏だ。富士登山に参加すれば体育の単位をくれるというので、何の用意もなく参加した。

Fuji_2.JPG 当時はバスなどはなく、富士吉田駅をスタートして、御殿場駅がゴール。富士浅間神社の鳥居をくぐり、馬返から一合目、二合目と吉田口登山道を登り、八合目で仮泊、翌早朝頂上でご来光を仰ぎ、須走登山道の砂走りを走り降りて、御殿場駅まで約40キロを歩き通した。

 今回は富士宮登山口から登って御殿場登山道の新五合目まで14キロほどの一番楽なコースだったが、しんどかった。特に大砂走りの下りではすっかりへばり、今昔の感ひとしおであった。

【第1日】8月28日(金)晴れ

Fuji_3.JPG 善右衛門さんと一緒に三島駅に到着すると、駅前には勝巳さん、吉生さん、世義さんがすでに到着していた。バスの乗車券2,390円を購入。やがて一朗さんも長いストック2本を持って到着。勝巳さんの話では女性3名の参加予定だったが、いろいろ事情があって今回は男性6名だけの珍しい山行になったとのこと。

 10時15分発のバスに6名が乗車。途中「ぐりんぱ」と称する遊園地で15分休憩。富士宮口新五合目(標高2,400m)に12時20分到着。休憩所の裏手の通路の階段に腰掛けて昼食をとる。トイレを済ませ、12時50分いよいよ登山口の階段から富士山特有の砂礫の登山道を登り始める。

Fuji_4.jpg リーダーの勝巳さんがペースメーカー。歩幅を小さく、極めてゆっくりした歩調で一列になって進む。山のベテランの一朗さんも、富士山は初めてということで極めて慎重、最後尾からさらにゆっくりとした歩調で進む。最初は傾斜が緩く、もっとピッチを上げることもできそうだが、リーダーはあくまでもゆっくりした歩調。30分から15分ごとに短い休憩をとりながら進む。

 六合目の小屋(標高2,600m)をすぎた辺りまで約1時間が経過した。この辺りから山道は狭くなり、リーダーは下山する人たちを待ち合わせたり、最後尾が追い付くのを確認したりで、時折立ち止まる。これも全員が高山病にかからずに登頂できるようにとのリーダーの配慮らしい。元気のよい若者のグループを何組かやり過ごす。

Fuji_5.jpg 休憩で下界を見渡すと、越前岳など愛鷹山塊の山々が連なり、さらに左手のかなたには箱根金時山の尖った山頂が目に入る。先ほど出発した新五合目の小屋の屋根が眼下に小さく見える。道の左手にヤナギランが群生していた。富士山では珍しい高山植物。見上げると、3つ小屋が見える。一番上が今夜宿泊する八合目の小屋らしい。

 相変わらずゆっくりした歩調で、小刻みに休憩をとりながら上る。新七合目の小屋の次が元祖七合目の小屋(標高3,010m)。七合目の小屋が2つあるが、名前の付け方はいい加減らしい。さらにジグザグを繰り返し、休んでいる若者のグループを追い抜く。先ほどわれわれを追い抜いて行った連中だ。

Fuji_6.jpg 八合目の小屋「池田館」(標高3,250m)に到着したのが16時20分。予約を確認し、一番奥の2段ベッド上段の一角を割り当てられる。靴を脱ぎ、リュックと杖を持ってベッドスペースに陣取る。枕が8つ。混んでくるともっと詰め込まれるらしい。壁のフックにリュックを掛け、布団を広げて寝るスペースを作る。

 16時30分に夕食の案内。直立した梯子を踏みはずさないように降りて食堂に行く。メニューはレトルト?カレー、申しわけに福神漬。圧力不足のためか、ご飯は若干ガンタ。何とか腹に収めて、食器を戻し、再びベッドスペースへ。消燈は20時だが、何もすることがないので、布団の間に潜り込む。眠る前にサンダルを履いて別棟のトイレに行くと入口に番人がいた。宿泊客以外は利用料200円を徴収するためだそうだ。眼下の夜景が美しかった。富士宮あたりだろうか。

 

【第2日】8月29日(土)晴れ、昼ころから霧が出て、曇り。

Fuji_7.JPG 山頂でご来光を拝む人たちのため、小屋の室内は午前1時から20分間点灯。何組かの登山客が出発してゆく。

 4時起床。かなり長い時間横になっていたが、熟睡できず頭の芯に鈍い痛みがある。防寒用の上着と厚手の手袋を付け、支度を整えて、小屋の外に出る。ようやく東の空が明るくなり、日の出の時間が迫る。5時出発。小屋の少し上まで登り、ご来光の拝める場所に陣取る。たなびく雲間に顔を出した太陽は、見る間に丸く輝き、歓声が上がる。

Fuji_8.JPG まだほの暗い登山道を昨日と同じゆっくりしたピッチで登るリーダーの後に続く。見上げるとはるかかなたに鳥居が見え、その手前に小屋が2つ、その間を登山客がジグザグにつながって登り下りしているのが望める。15分ごとに小休止して呼吸を整えるペースで着実に高度をあげてゆく。息苦しくなって休んでいる若者もかなり見かけた。

 この辺になると頂上でご来光を迎えた登山客が続々降りてきて行き交うので、何度も待ち合わせで立ち止まる。1時間ほどで九合目の小屋(標高3,460m)を通過、間もなく九合五勺の小屋も過ぎて、富士宮ルート頂上(標高3,715m)に到着。時に7時35分。

Fuji_9.jpg 一休みして荷物を置いてから剣が峰(標高3,776m)に向かう。勾配が急な砂礫の斜面を喘ぎながら測候所跡のドームを目指して登る。階段手前に8時到着。階段には最高地点で記念写真を撮る人が数珠つなぎに並んでいる。吉生さんが代表で標識の写真を撮りにゆき、階段手前で全員の記念写真を撮って、下山することになった。

 下りは一番時間がかからない御殿場口経由。下山口の脇には銀名水と称する水場があるが、水は涸れていた。下山口で砂走りに備えてスパッツをつけたり、膝サポータをつけたりして下山の準備。下りは登りと違って息の切れる心配はないが、砂礫の上に不用意に足を出すとずるっと滑り、尻もちをつく。動かない石を選んで歩を進めるので、あまりスピードが上がらない。30分ごとに休みを取りながら降りたが、登りで2時間半かかった八合目まで1時間しかかからなかった。

Fuji_10.jpg このルートは八合目から七合目にかけて小屋が4つもあるが、御殿場口から登る人が少ないため、閉めるところもあるそうだ。七合目の日の出館(標高3,050m)わきで休憩。ここからいよいよ「大砂走り」。砂ぼこりがひどいので、前の人と5?10m間隔をあけ、踵から着地するように足を運べば転ばなくて済むとリーダーから注意がある。

 10時20分いよいよ大砂走りのスタート。最初はぎこちなかったが、徐々に踵から着地する足の運びにも慣れて、かなりのスピードで走るように下る。が、徐々に膝への負担が蓄積し、30分ごとの休憩が待ち遠しくなる。途中から砂ぼこりに加えて霧が出てきて、数メートル前方をゆく前の人の姿が見え隠れするようになる。何回かの休憩ののち、前方に新五合目に駐車する車列が目に入る。まだ2キロくらいはありそうだ。やっとの思いで大石茶屋(標高1,520m)に到着。時に12時50分。

Fuji_11.jpg 2時間半で1,500mを下ったことになる。はたきを借りてリュックやスパッツ、ズボンについた砂ぼこりをはたいたが、とても落としきれない。新五合目にタクシーを2台予約し、かき氷を食べる。砂礫の道をさらに500mほど下って新五合目にたどり着く。

 

 タクシー2台に分乗、勝巳さんご推薦の温泉プラス地ビールのスポットに向かう。ちょうど自衛隊のイベントが重なって大渋滞。迂回ルート経由のため、最初4,000円程度と言っていた料金が6,000円に跳ね上がった。「気楽坊」はかなり混んでいた。1日券もあったが、行水券1時間1,000円にする。30分でまさに行水。顔を拭うと真っ白なタオルが茶色くなった。風呂あがりでさっぱりして、隣接する高原ビール館へ。

Fuji_12.JPG ここも大混雑。奥の席に案内され、いよいよお目当ての地ビールで乾杯。いやー、うまかった。のど越しがよく、ぐいぐいと飲む。つまみはスペアリブと枝豆。スペアリブがなかなかいい味で、食べ応えがあった。1杯目の500mlはすぐに片付き、あとはピッチャーで注文。1時間もたたないうちにすっかり出来上がり、酔いをさましながらシャトルバス乗り場へ。御殿場駅で上下線に分かれ、解散。

 「富士山は世界遺産に登録できるか?」これが今回の山行の間の一つの関心事だった。われわれの結論は「No !!」。

 確かに一時に比べると登山客のマナーが向上し、散乱するごみは少なくなった。道標も英語・中国語・韓国語の入った国際的なものが整備され、緑の再生の標語が掲げられている。百年後を目指してとあるが。

 一番の問題は山小屋である。ニュージーランドのミルフォード・トラックほどでなくても、せめて国内の優良な山小屋程度でなければ登録は認められないだろう。

  • 参加者
    善右衛門、勝巳、世義、一朗、昭、吉生、以上男性6名
  • コースタイム(着/発):
    • 【第1日】8月28日(金)徒歩3時間30分(休憩を含む)
      三島駅(/10:15) ――(バス) ――富士宮口新五合目(2,400m)(12:20/昼食/12:50) ――六合目(2,600m)(13:50) ――七合目(3,010m)(15:20) ――八合目小屋(3,250m)(16:20/)(宿泊)
      宿泊先;八合目池田館0544-22-2235、宿泊費(夕食のみ)6,000円
    • 【第2日】8月29日(土)徒歩8時間10分(休憩を含む)
      八合目小屋(3,250m)(/5:00)――九合目小屋(3,460m)(6:00)――富士宮ルート頂上(3,715m)(7:35/)――剣が峰(3,776m)(8:00/)――銀名水、御殿場下山口(/8:30)――七合目(3,050m)(/10:20)――大砂走り――御殿場口新五合目(1,440m)(13:10/13:20)――(タクシー)――温泉「気楽坊」・御殿場高原ビール(14:10/16:10) ――(バス)――御殿場駅(16:30/解散)

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コメント(3)

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あきらさん、

富士山に始めて登ったのは、18歳の夏ですか・・・・。いまだ現役で5度目の登頂をされたとのこと、すばらしい!おめでとうございます!!
思い返すと・・・・私が富士山に始めて登ったのは、1992年の春だったとおもいます。まだ雪がいっぱいありました。ほとんど人に会うこともなく、プリムラ山の会の先輩と淡々と、黙々と登って、頂上でテントを張って数泊しました。(丸秘!!) ロシア遠征を控えて高度順応に富士に何度も通っていたので、あきらさんのように楽しんで登った覚えがありません・・・・。順応登山が終わる時、『もう二度と来ないぞーー』と思ったのを覚えています。笑

富士山は、登るよりも、やっぱり眺める山だなぁ・・・と思うのですが、どうですか?! あんな穏やかな美しい山は、あまりありませんよね。 ちなみに、一番楽しかった思い出は、あの『砂走り』。あの下りは実におもしろかった・・・・スピードがでてくると止まれなくなって、ものすごい勢いで駆け下りたスリル満点の下山でした・・・笑。

私も、あきらさんの原稿を読んで、また昔とはちがった想いで富士を登ってみたい気分です。勝巳さんお勧め温泉「気楽坊」・御殿場高原ビールが大事なポイントになりそうです。 ハハハ  ゆきより

本当に一回目の時も、二回目の時ももうこんな辛い思いは嫌だと思っていたのだけれども又来てしまいました、多分前二回は天候に恵まれなかったという事もあったからかもしれない。でも今回は大満足の登り下りだったので本当に最後の事と思っています。それにしても下山してのお風呂とビールは満足に満足を上乗せしたように気持ちにリラックス感を与えてくれました、大変有難う御座いました。 世義

富士登山記録楽しく拝見しました。全員無事に達成よかった♪ 母がまた倒れ、キャンセルをすることになり、ご迷惑をおかけしました。とっても残念ですが、参加していたら体力不足で途中ギブアップして、もっとご迷惑をおかけしたかも。
昭さん、写真CDを私にも分けていただけますか。 洋子

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カウンタ

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このページは、akirafが2009年9月 3日 08:07に書いたブログ記事です。

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