No.227 東海自然歩道山行記録(2009.3.23-24)

user-pic
0

Tokaido_00.JPG 【第1日】3月23日(月) 快晴

 (記録担当 多摩江)

 昨日とはうって変わって素晴らしい天候となった。本日の記録係の私は、途中駅の八王子、集合場所の高尾駅でも皆さんと合流することが出来ぬまま、高尾発河口湖行きの電車に乗り遅れる。その間、何度も携帯電話を通してご心配を頂いた。ということで、富士吉田駅まで皆さんの後を追うこととなった。富士吉田駅9:50発のバスにはどうやら間に合いそうなのが唯一の救いだった。携帯で、大月駅で紘正さんが途中下車され私と合流して下さる連絡が入り、皆さんの心情に申し訳なさで一杯だった。

Tokaido_01.JPG 富士急に乗車している途中で、バスがキャンセルになりタクシーに分乗して紅葉台に向かうことになった旨、連絡が入った。

 富士吉田駅で待っていて下さった勝巳さんと合流し、3人で皆さんの待つ紅葉台入口に向かった。紅葉台入口でこれからの予定の説明を受ける。私自身は戒めのため、2日間の記録をすることとなった(後で、今日1日だけに免除される)。

Tokaido_10.JPG 紅葉台入口から鳴沢氷穴に向け、青木が原樹海の中を通る東海自然遊歩道に足を踏み入れる。青木ヶ原樹海は、富士山北西麓に広がる約30k?の広大な原生林で貞観6年(864年)の富士山の噴火で流出した溶岩流の上に樹齢300年を超えるツガ、ヒノキ等の大木が生い茂る。その樹海の中に氷穴はある。入場料280円を支払い見学する。鳴沢氷穴は、総延長153mの環状式縦穴で国の天然記念物に指定されている。江戸時代にはこの天然氷が幕府に献上された。洞窟内部の年間平均気温は0℃前後なので、とても寒い。

Tokaido_02.JPG 鳴沢氷穴を出発し、樹海の中の東海自然歩道を行く。間もなく樹海の真ん中を横切る富岳林道を見つけ、左に折れ歩を進める(11:05)。更に、鬱蒼とした森の中に分け入る感があり、足元も凹凸の激しい苔生した溶岩の上を歩くので自然と慎重になる。目印のビニール紐があるが、辺りを見回すと紐が方々にあるようで少々不安になる。快晴とはいえ、高い樹木の間越しに太陽光線が差し込んでくるが、やはり薄暗い。これが曇りや雨だったらと思うと寒気がする。進むにつれ道も定かでなくなり、更に足元も悪くなる。ここで、リーダーから引き返す判断が下る。一息ついてから元来た道を戻り始める。戻ろうとするが、どんどん右方向に反れていってしまった。吉生さんが携帯ナビを持ってこられていてその状況が把握できた。左方向に修正しながら元の東海自然遊歩道に出た場所は、少々後戻りした地点だった。樹海は磁場があり、携帯等が使えない様なことを聞いていたがそれは全くの風評で関係なかった。吉生さんの携帯ナビはこの後も大活躍する。遊歩道に戻れたことで皆ホッとして富岳風穴に向かった。

Tokaido_03.JPG 富岳風穴に到着し、各自はベンチで昼食をとった後、280円の入場料を払い見学する。富岳風穴は、氷穴と同様富士山の大爆発で出来た溶岩洞窟。全長200m(ロール状溶岩)や鐘乳石が神秘的な光景を作り出している。風穴内は年間約3℃前後と安定している為、明治時代までは蚕の越冬に使われた歴史があり、その面影が展示されている。

 風穴を後にして再び東海自然遊歩道の御殿庭を歩く。溶岩の上に樹木がある為に地中深く根を張ることが出来ず、倒木が多い。全体的に苔生しているが、シダ類は殆ど目にすることはない。富岳林道に交差する広い道にでる。標識で精進湖民宿村への道を確認し、一休み後出発する。

Tokaido_04.JPG 民宿"丸慶"に到着する。以前の民宿村は精進湖の畔にあったものを湖の南岸寄りに当たる青木ヶ原樹海の一部を切り開らいて作られたものである。住居表示は上九一色村となっており、オウムの事件が脳裏を過ぎる。

 宿に荷物を置き、一服した後精進湖散策に向かう。精進湖は、面積0.5k?、周囲約5kmで富士五湖で最も小さな湖。明治27年(1894年)に来日した英国人によりホテルが建てられ、リゾート地として早くから注目を集めた。北岸から富士山を仰ぐと裾野の大室山を抱き込んだ様に見える事から「子抱き富士の眺め」として親しまれている。

 樹木の芽も充分膨らみ、又足元のヨモギ等が既に顔を出している。蕗の薹はすでに花芽になっている。春の香りが漂い始め、冷んやりする風が頬を撫でていく。何か神聖な気持ちを感じながらの散策であった。

 夕食まで、お風呂に入ったり、お茶を頂いたりしながら過ごす。勝巳さんより夕飯の献立内容を期待しないように何度となく念を押されていたが、予想に反して十分な献立内容であった。特に、樹海で採ってきた蕗の薹や自家栽培の椎茸のてんぷら、大豆から育てて作った味噌を使った味噌だれのかかった揚げ出し豆腐などは、とても美味しかった。

 カラオケも無料で皆さんの美声にただただ感心し、10時頃には、床に就く。

 

 【第2日】3月24日(火) 快晴

 (記録担当 勝巳)

Tokaido_05.JPG 第1日の樹海は今回の主要目的だったので、「東海自然歩道」徹底ルートガイド(メイツ出版)、1/25,000地図「鳴沢」「人穴」「精進」(国土地理院)、「富士山」(昭文社版)など事前購入。

 樹海の情報は地元観光協会、役場など慎重を期したが、やはり「富岳林道」は見つからなかった。(役場でも名前も知らないようだった) 確かに、地図上の分岐は確認しているのに、樹海に入ると踏み跡らしきものが無数にあり、周囲の景色はどこも同じように見え、森は深く、溶岩の穴はいたるところにあり、歩きにくいことこの上もない。いつの間にか、道はなくなったと思うとまた突然出てくる。幸いに天気がよく時間もタップリあるのだが、何の意味か古いビニールテープはいたるところに無秩序に張られて、一層方向を混乱させ森を彷徨する結果になりかねない。昔誰かが張った壊れたテントに至ったのを幸いに、早々に富岳林道を諦めて広々とした東海自然歩道に戻る。やはり、樹海は只者ではない。磁石は使えるので方向はわかるが、どこも歩ける森のためたちが悪い。本当に迷い込みたいときは相当な準備と、野宿覚悟で踏み入るところだ。日本有数の自然林なのに変なイメージを作られて森もさぞかし残念だろう。

Tokaido_06.JPG 民宿は1泊2食6,000円だからひどいものと勝手に決め付けていたのが間違い。宿の人は朴訥だが親切。風呂は24時間入れるし、部屋は12畳以上の大きさ。料理だってこれで十分だ。食事時にそっともち込んでいた缶詰などをあわてて隠す。

 朝方小雨模様だったが出発する8時頃にはすっかりあがり青空さえ見える。キリットした高原の冷気が気持ち良い。宿の車で、本栖湖入口まで送ってもらい、そこから東海自然歩道にはいる。雑木林の中のゆったりした起伏の道をすっかり晴れ上がった冬空のもと歩くのは実に気持ちがいい。

Tokaido_11.JPG 小1時間もすると地図上では小さな池が実際はテニスコートに代わっていた。この辺の民宿の付随設備だろう。冬のクヌギ林は落ち葉の敷物を造り光の温かい斜面は、クマやシカの昼寝の場所に違いない。時折、富士が顔をだす。実に大きい。大沢崩れの右側は油のようにトロンと不気味に光っている。あんな角度の、あんな固い氷を下るのは命がけだろう。雄大で何一つ欠点はないが富士は裾野に樹海を抱え、今まさに朝霧高原を従えてそそり立つ姿にやさしさの中にも近寄りがたい畏怖を覚える。ゆっくりしたペースで春近い自然歩道を初老、中老の11人が進む。

Tokaido_07.JPG なんとなく登りもないのに割石峠だ。割石峠からは自然歩道を外し国道を少し歩き、根原の集落に至る。自然歩道を目指してここから水道貯水池に至るのだが、国道を渡る危険を避け、小学校専用の歩道橋を越えて無理に森を横切りシイタケ栽培の森を突っ切りなんとか貯水池に辿り着く。

 11時になり東海自然歩道と合流するA沢貯水池に至る。大きな水道用の貯水池で、あたりは森閑としているが陽光の雑木林と山で囲まれて小さな盆地を形成している。山々は毛無山に続いているのだろう。富士は左手に、正面に余すところなく、多少の雲を供にこれでもか、これでもかと迫ってくる。

Tokaido_09.JPG つり橋が突然出てくる。なぜ突然というかというと、道はそれほどまでに何事もなく、静寂な明るい森を縫っていたからだし、そのほかに書くことの何事もないという至福の景色の中にいたからだ。やたらに揺れる橋だ。5人以上乗るなと書いてあるがもとより2人が精いっぱい。ここからは元気のない涸沢を左に見てその先に朝霧高原の葦とすすきの荒涼とした原野を越えた富士に睥睨されて道行く。キジが何羽も足元から飛び立つ。熊に注意の看板が目立つ。きっとイノシシの足跡に違いない。獣道は縦横に斜面をたどっている。山深く自然道をいくわれら人生に行きついた集団。淡々として神そらにしろしめし、陽光の道は何事もない。昼食休憩は枯れ葉の絨毯に寝ころび青空にまぶしく雲を追う。空渡る風の音とて愛しい。昨日も、今日も他の登山者に誰もあっていないことを今更のように気づく。

 このころ、野球の放送が佳境に入る。日本が勝ってるらしい。この風景に馴染まないが爽快な気分がそれに勝る。やがて午後の寒さを感ずる頃、朝霧高原の道の駅に行くか、それともこのまま、麓の集落から朝霧高原のバス停を目指すか、本来多少は迷うところだが、1時間の短縮に誘惑され、まがいなく道の駅を選ぶ。

 余力があり、余韻を味わえるほうが残影がある。何事も「もう少し」の所で止めるのが中高年のエイチである。などと屁理屈をつけ2時には道の駅着、そこからタクシーで河口湖駅に戻り、すぐ発車する大月行きの電車に駆け込む。あとは、トントン拍子に帰れたが、大月駅での立ち食い「吉田うどん」360円の油揚げが変なにおいがしたが、もったいなから食べてしまった。腐った油揚げぐらいにめげない腹にしなければならないと反省している。

  • コース:(着/発)
    • 3月23日 快晴
      富士吉田駅(/9:50)――(バス)――紅葉台入口(/10:15)――(自然歩道歩行開始)――鳴沢氷穴(10:30/11:00)――青木ヶ原樹海(11:05/11:20/休憩/11:30/11:45)――富岳林道入口(11:05)――自然歩道(11:55)――富岳風穴(12:05/昼食・見学/12:50)――自然遊歩道御殿庭――精進湖民宿村分岐(14:30/14:40)――民宿"丸慶"(15:05/)――精進湖散策(15:30/16:40)――夕食(18:00)――就寝(22:00)
    • 3月24日 晴れ
      精進湖民宿(8:00)――(送迎)――本栖湖入口(8:10)――元は池、現テニスコート(9:00)――割石峠(9:40)――根原集落(9:50)――森を抜ける――A沢貯水池(11:00)――つり橋(11:20)――麓分岐(13:00)――朝霧高原道の駅(14:00/)――(タクシー)――河口湖(15:00)――大月(16:30)――八王子――町田(帰宅は18:00?19:00前後)
  • 宿泊 「丸慶」精進湖民宿村 Tel:0555-87-2326 1泊6,000円。送迎あり
  • 参加者
    多摩江(第1日記録)、善右衛門、美保(会計)、勝巳(リーダー、第2日記録)、伊久枝、紘正(写真)、貞子、吉生、達也、茂子、幸子(会計)、以上計11名
  • (注)有名な観光地の朝霧高原も冬は全くへき地。バス便一日1--2本、しかもそれすら平日はない。富士急バスに事前確認していたが結果的にタクシー利用に。
  • (注)最新の携帯ナビゲーターは1/25,000地図をインプットすれば有効である。古いのは実に使いにくいが、今回、吉生さんの持参したものはクラブとして購入検討に値するので安全対策担当として提案する。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://kenhai2100.com/cp-bin/mt/mt-tb.cgi/348

コメントする

カウンタ

このブログ記事について

このページは、akirafが2009年3月27日 04:29に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「多摩森林科学園ハイキング(2009.4.20実施済み)」です。

次のブログ記事は「釈迦ヶ岳(1,642m)(2009.5.28雨天中止)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。