『角館の桜が見たい!』
と、うきうき状態の老若男女8人が、600キロの東北路を駆け抜けて秋田まで来ました。旅には想定外の感動があったり、逆に期待が大きすぎて・・・・その半ばするところが旅の醍醐味かもしれません。今回もその様な旅でした。
この日、岩手と秋田の県境にある気温計は25度を表示していました。北の国に特有の清涼感はまったくなく、東北道の右に左に望まれるはずの山並みも、あるかなきかの佇まいで、あの岩手山も雫石の小岩井農場に立ったとき、初めてその優美な姿を見とめました。
それだけに、岩手山を背景にして牧草地に咲く一本桜には感動しました。
それから、農場に併設された観光施設「ま きば園」はお薦めスポットです。そこに身を置くと、なにか自然の中に優しく包まれている感じがするのです。そこで、オムライスを食べて、ソフトクリームを堪能した8人は、旅のモードに浸りだしました。そして、各人各様に、妻を、夫を、孫を連れてきたいと思うのでした。
角館の桜は、この暑さで精彩を欠いていました。武家屋敷の枝垂桜は葉桜になりつつありましたし、桧木内川堤のソメイヨシノは、色に艶がないのです。
そんな物足りなさを引きずりながら、日没間じかに、お世話になる西木町の泰山堂に着きました。もう庭先に、『けい子母さん』が出迎えていてくれました。そして真ん丸い顔に笑みを湛えながら仰るのでした。
「桧木内川堤に行こう!」。母さんは、車の中に、天ぷらを揚げる道具、品々の料理や一升瓶を積み込んで、我々を待っていてくれたのです。本当に予想外の展開になりました。(母さんは全てを読みきっていたのかもしれません)初体験に乾杯!!大感動でした。
闇の中で、母さんが揚げてくれる山菜の天ぷらを食しながら、見上げる桜は、街灯に映えて一気に精気が蘇ったようで、周囲は幽玄とでも言うべき雰囲気が漂っていました。
2日目は雨の日になってしまいました。それでも、計画通り、『秋田内陸縦貫鉄道』に乗って、ある区間を自分達の足で歩く事にしました。(八津→萱草、阿仁マタギ→八津乗車)
1両のみの車両は山裾を山奥へ山奥へと走りました。山また山の景色ですが、草木の芽吹きに目をやったり、「あの山中が熊の領分」などと思いを巡らすのも楽しい事でした。
森吉山の裾を走る辺りに十二段トンネルという長いトンネルがありました。トンネルに入るとディーゼルの音が一段と忙しくなって、そしてシフトダウンをして降っていきました。
後でわかった事ですが、そのトンネルの中に分水嶺があったのです。トンネルを出ると、沿線に沿う川は、北に向かって流れていました。なんでも、米代川に合流して能代市で日本海に注ぎ込むのだそうです。
雨の中の行動でしたが、秋の紅葉の頃、再び訪れたいと思うほど、『秋田内陸縦貫鉄道』の旅は余韻を残す事となりました。
3日目、八津のカタクリを見に行きました。やはり、時を逸したようです。地元のご老人に一週間早ければ良かったと言われてしまいました。
2泊3日の旅は「あ!」と思う間に終わりました。欲を言えば『天候』、がと空を仰ぎますが、泰山堂の父さんと母さんの親身なお世話で、「本当に良い旅だった」と思えるのです。
皆、土産品を一杯抱えて家路につきました。
(記録担当 美保)
蓮田サービスエリアと那須高原サービスエリアで休憩。昭さん、孝儀さん二人で仲良くどら焼きを食されている。私は大好きな鮎の塩焼きを頂く。400円 今まで食べた中でベストスリーに入るおいしさ。頭からしっぽまで食べられ残したのは串のみ。一度お試しください。この間紘正車は通過してしまい次のサービスエリアで落ち合うことに。阿武隈サービスエリアで休憩。車中、雪のある安達太良山を眺めながら気分は最高。蔵王パーキングエリア着。トイレしかないまったくシンプルなパーキングエリア。花を飾り、きれいなところでした。北上するごとに気温が上昇。盛岡では23度。紘正車ガソリン、危うし.紫波サービスエリアにて給油。
小岩井農場着。レストランでうわさのふわふわオムレツを全員食す。平日でも桜見学の人で大賑わい。その後さくらアイスクリーム 330円 またまた 全員で食べる。
農場から車で10分の一本桜を見学。人、人、車、車、岩手山をバックに満開の桜 見ごたえ充分。岩手めんこいテレビ放映中。
小岩井農場
創業者 小野義貞、岩崎弥之助、井上勝、それぞれの頭文字を取り小岩井となずけた。1891年(明治24年)、総面積 900万坪。
貞子さん「今度孫を連れて来たい。」 のびのび、のーんびり。食良し、風景良し、体験良し、本当に一日遊べる楽しい所でした。
角館着。途中水芭蕉を見ながらまさに花の旅。石黒家 見学、欄干の亀の彫り物 明かりが灯るとその影がかべに映り、あたかも亀が泳いでいるようになる。日本人の美への探究心に感嘆することしきり。武家屋敷の両脇のしだれ桜はさくらふぶきになっていた。残念。それでもけな気に旅行客に微笑みかけてくれる桜も残っていた。堤の桜は最高 2キロも続く、ほぼ満開。暫く散策。
泰山堂さんに到着。泰山堂さんは夕食は角館の夜桜花見を計画中。既に重箱、山菜の天ぷらの用意も完了。再び 角館へ。
宿の8人乗りワゴン車、孝儀車で出発。孝儀さん「飲めないのー」、心配無用 旦那さんが仕事先から駆けつけてくれる手配済。何からなにまで至れりつくせり、脱帽。
満開の桜の下にシートを広げお座敷出来上がり、ペットボトルで作ったランプを灯しながら郷土料理、山菜の天丼、美酒、夜桜に我々全員酔いしれる。特に邦子さん「夜桜の花見初めて、最高、嬉しい」を連発 乙女チックになっていて、とてもかわいかった。風もなく、最高の花見。桜は昼、と夜では随分雰囲気が違い、妖艶。泰山堂に戻る。明日の打ち合わせもそこそこに女性は入浴、男性は入浴せず、おやすみなさい。
- コースタイム(着/発)
二俣川農協前発(6:00)――蓮田SA(7:15/7:25)――那須高原SA(9:00/9:10)――阿武隈SA(9:26/9:31)――蔵王PA(10:40/10:50)――小岩井農場周辺(13:15/15:00)――角館着(16:47)――泰山堂(18:30/18:40)――夜桜花見・宴会(19:00/20:30)――泰山堂着(20:45)
(記録担当 邦子)
朝起きて散歩したときには降っていなかった雨も朝食後泰山堂を出発するときには予報通り降っていた。 今日は秋田内陸線に乗って車窓の風景をのんびりと眺めた後、温泉に入る予定。
8時半、泰山堂を出発、帰りにかたくりの群生地を見ることにして、かたくり館の駐車場に車を置く。小さな待合室だけの建物の八津駅よりかわいい1両電車に乗り萱草駅まで行く。この線はほとんどが無人駅で、社内は7?8人程で私たちが乗ってもまだ空席があった。最初は桧木内川に沿って田園風景の中、ところどころに満開のしだれ桜が咲き誇りとても美しい景色でした。昨年私たちが宿泊した星雪館のある羽後長戸呂を過ぎたあたりから車窓の両側に山々が迫り、柔らかい春の芽吹きにうっすら薄紅色の山桜が混じり何とも言えない美しさに魅了された。やがて長いトンネルを抜けると、なんと桧木内川が逆に流れていてびっくり!昭さんがこのトンネルが分水嶺になっている事を教えてくれました。
トンネルを抜け20分位で萱草駅に到着。雨の中を数軒の民家前を通り国道105号線の阿仁街道に出る。歩き始めて10分程で電車が通れば絶景ポイントとなる陸橋に着くが、電車は1時間に1本という少なさで諦める。丁度30分位のところに無人の自動販売機だけの峠のいっぷく茶屋に着く。が、少し手前の所で電車が走ってくるではないか!とても残念!!(多分回送車とのこと)ここでトイレ休憩後、再び街道を歩き、道端に咲く野の花を見ながらのんびりと進むこと30分位で、笑内(おかしない)という駅に到着。笑内の小さな待合室には小座布団が沢山置いてあり、村の人の温かさが伝わってくる。これからマタギの里の打当温泉に行くのだが、打当温泉は阿仁マタギ駅より送迎バスで10分位の山間の一軒宿である。この時期まだ残雪があり行けなかったが、安の滝という二段構造の有名な滝や熊が300頭もいる熊牧場があるとのこと。
電車時刻の都合で思いがけなく3時までゆっくり食事と入浴をすることになる。3時の送迎バスで阿仁マタギ駅に戻り、急行に乗車することになるが、八津駅には停車しないと分かり急遽、泰山堂さんに西明寺駅に送迎の車をお願いして電車に乗ると、なんと展望車付である。女性の車掌さんが切符の精算に来た時に相原さんが冗談に「八津駅に停めて下さいとお願いしたら?」と言うと、この時期はかたくりが見頃なので臨時停車するとのこと!
30分程で八津駅に着く。まだ雨が降っているので、かたくりの花は、明日の朝一番に見ることにして泰山堂に戻る。4時半に到着。その後、囲炉裏端で始めて自分でコーヒー豆を挽いて美味しいコーヒーを飲む。やっぱり挽きたては美味しい!夕食は泰山堂の奥様の心のこもった山菜づくしの二の膳付のお膳でとても美味しかった。食後お酒を飲んでいるところに、囲炉裏火を持ってきてくれたご主人も交えて、思いのほか大討論!気がつけばもう10時!就寝。
- コースタイム(着/発)
朝食(7:30)――泰山堂出発(8:30)――八津かたくり館駐車場(8:45)――八津駅(9:07)――萱草(10:07)――峠の一服茶屋(10:40/10:55)――笑内駅(11:15/11:52)――阿仁マタギ駅(12:12)――打当温泉(12:20/15:00)――阿仁マタギ(15:10/15:21)――八津駅(15:49)――かたくり館駐車場(16:00)――泰山堂着(16:30)――夕食(18:30)――就寝(10:00)
【3日目】4月25日(金)晴れ
(記録担当 貞子)
前日の雨も上がり、朝霧の中に山々の新緑が美しく見えます。朝食前に泰山堂のお庭を散策。たくさんの花々が咲いていて"これ夕べ食べた甘草ね""あれは何のお花かしら?"と楽しいひと時を過ごす。7時に朝食、毎回地元で採れる山菜や自家製の旬のお野菜をいただく。なんとヘルシーで贅沢なことでしょう。 今回もあかばね大根草や八重どくだみの苗をいただいた後で、全員で記念撮影。8時に出発。間もなく八津・鎌足かたくり群生の郷に到着。ここは、地元の人々が熱心にカタクリの保護活動を続けた結果、いまや群生は27ヶ所20halにも及ぶ日本一の規模をほこるようになったそうです。まだ朝が早いせいかお花は栗林の下で下を向いていましたが、辺りは赤いじゅうたんを敷いたようです。各所に札が立っており13番の所では幻の花といわれるシロバナカタクリを一本だけ見ることができました。この可憐な花も花が咲き終わり実が散ってこぼれ、実が花を咲かせるまでに約7年もかかるそうです。辛抱強いですね。とても愛おしく感じました。
9時半に出発、10分ほどで田沢湖到着。湖水は太陽に照らされて濃淡の青色がグラデーションのように奇麗でした。対岸にある県民の森は、ソメイヨシノはもちろん満開でしたが、更に20本以上のいろいろな桜が咲き競いまるで絵巻模様を見るようでした。感激!盛岡IC、前沢SA、国見SA、黒磯PAを経て、羽生PA着。ここで解散。1日で700km以上もの長距離を運転していただいた紘正さん、孝儀さん、昭さん、本当に有難うございました。更に自宅まで送って頂きまして感謝申しあげます。お陰様でとても楽しい旅になりました。
- コースタイム(着/発)
朝食(7:00)――泰山堂発(/8:00)――八津・鎌足かたくり群生の郷(8:15/9:30)――田沢湖(9:40/10:25)――盛岡IC(11:30) ――前沢SA(12:10) ――国見SA(14:35) ――黒磯PA(16:05) ――羽生PA着(17:15/)――解散 - 参加者:
三貴也、孝儀、美保、紘正、邦子、貞子、昭、幸子、以上計8名
臨場感溢れる紀行文や、写真の花々や皆さまの笑顔に、お花見旅の素晴らしさが伝わってきました。夜桜花見も本当によかったでしょうね。 洋子