No.189 黒姫山(2053m)登山記録(2007.8.22-23)

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Kurohime_1.JPG雨の中、懐中電灯頼りに苦労した下りの4時間

【第1日】8月22日(水) 出発時は晴れ、午後から雨

(記録担当 昭)

 定刻7時15分には参加者8名が全員東京駅22番ホームに集合、自由席にゆったりと席を占める。長野・新潟方面は午後は雨との天気予報。「あさま505号」は大宮から上田までノンストップ、快調に走る。車窓から見える浅間や黒斑の山頂にも雲がかかり始める。長野駅で在来線に乗り継ぎ。

Kurohime_2.JPG 10時すぎ妙高高原駅に到着。駅前に宿の車が出迎え。早速車に乗り込み、今日の登山口、大橋林道入口に向かった走り始める。リーダーが車を運転する宿の主人と下山口について打ち合わせ。われわれの計画は、黒姫新道経由で山頂を往復するもっとも時間のかからないコースだったが、宿の主人は送迎と夕食準備の都合で、山頂からコスモス園に下りてくるコースにしてくれと言われ、変更することになった。登り4時間、下り3時間の予定だったが、下りはもう少しかかるだろう。懐中電灯が必要になりそうだ。途中で下山口の場所を確認してから、うねうねと続く細い道をたどって登山口に到着。ここの標高は1,150mほど。山頂との高低差900m。

 車を降り身支度を整え、車止めを抜けて出発。クマザサに囲まれたゆるい勾配の林道をリーダーを先頭に快調に進む。道端に咲くアザミやリンドウ、アキノキリンソウなどの鮮やかな花の色が目に付く。薄日が差している。

 1時間少々で新道分岐に到着。予定を上回るペースだ。ここで昼食。

 ここからはいよいよ勾配のある登山道。軽装で下ってゆく親子連れらしい3人と行き交う。この山ではほかに誰も出会わなかった。無理なくステップの刻める道で、歩きやすい。オオシラビソやコメツガの巨木の林の中を休憩を取りながら徐々に高度を上げてゆく。1時間ほど登ったところで雨が降り始め、急遽雨具を取り出して装着する。斜面で靴をつけたままズボンを履くのに苦労する。トップは善右衛門さんに交代。登るにつれ雨具の下で汗が噴出す。

 標高1,900mあたりで鞍部に出る。信濃富士の山頂部分になるのだろう。雨雲に煙り、眺望はほとんど効かない。アップダウンしながら長い鞍部を進む。

 大池への分岐を過ぎて、しばらく進むと最後の登りにかかる。「着いたぞ」との声に元気づけられて、標高2,053mの山頂に到着。時に14時45分。ほぼ予定通りのタイムだ。

 雨はやや小降りだが、山頂では落雷のおそれもあるので、記念写真を撮り、黒姫乗越(のっこし)を目指して15分ほどで下山開始。

Kurohime_3.JPG ここからが大変だった。道に張り出した巨木の太い根が雨に濡れて滑りやすいので、これを避けて慎重に歩を進める。下りの勾配はさほどきつくないが、ペースがぐんと落ちる。40分の行程を1時間かかって黒姫乗越にたどり着く。

 この先、越見尾根まで急な下りが続く。雨にぬかった赤土の斜面に足を踏み入れると、とたんにズルッと滑る。思わずストックを突くが止まらず、尻餅をつくメンバーが続出。顔面制動をかけた人もいたとか。

 やっとの思いで急な下りを終え、越見尾根に到着して小休止。ところが止まったとたんにブヨ?の大群の歓迎を受ける。顔の周りに群がるブヨを何度払いのけても、すぐまた寄ってくる。すでに時計は4時半を回り、霧もかかってあたりが暗くなってきたので、早々にこの場を立ち去る。

 スキー場のゲレンデまで抜ければ木立がなくなって明るくなるからと励ましあいながら、巨木の根をまたぎ、クマザサの切り株に足を取られないよう足元に神経を集中して、ほの暗い道を進む。勾配はほとんどないが、歩行速度は極端に落ちる。

 次のスポット、ゲレンデの最上部の姫見台にようやく到着して小休止。すでに5時を回っている。リーダーが宿に携帯で現在地を連絡する。

 ここからは一面草原に変わり、木立がなくなったので、足元がよく見えるようになる。しかしゲレンデ上部は上級者向けの急な勾配。草原の中の赤土の露出したジグザグ道をたどる。滑らぬように注意すればするほど足元が怪しくなり、ズルッと滑って尻餅をつく。

 リフト小屋で小休止。すでに6時に近く、あたりはすっかり暗くなり、取り出した懐中電灯で足元を照らしながら、はるか下のほうに見える灯りを目指して下り始める。ここからはやや勾配が緩やかになり、直滑降でも歩けるようになる。途中広い車道を横切り、さらに下るとコスモス園の柵にぶつかる。ここを大きく迂回し、柵沿いの草原を下る。

 やっと柵が切れ、コスモス園の建屋の横を抜けて、約束の駐車場入り口に到着。時計は6時58分を指していた。小さなテントに入って雨を避け、宿に連絡、迎えを頼む。待つ間にピカッと光り、遠雷を聞く。山の中でなくてよかったね、といい交わす。

 待つこと15分、その長かったこと。宿の奥さんの運転する車が到着。とりあえずストックは縮めたが、ずぶ濡れの雨具は脱ぐわけにも行かず、そのまま乗車させてもらう。

 宿に着くと濡れた雨具類は玄関前のベランダの柵にかけ、リュックを背負って2階の部屋に入る。階段を上る足が重い。時間も遅いので、入浴は後回しにし、着替えを済ませて1階の食堂に集合。

 今夜の食事はこの宿「ルーエ」の開業15周年記念だそうで、「夏の特別料理プラン」。まず最初にルーエ特製の地ビールで乾杯。ちょっと酸味があるフルーティな味で、ビールというよりは高級な果実酒。次いで岩の原白ワインを呑む人もいた。献立は、あわびのステーキ、野菜サラダ、マグロのマスタードソース和え、姫鯛の蒸し焼きアスパラ、夏野菜とレモンソース和え、牛のヒレステーキ温野菜添え、釜飯、香の物野沢菜わさび風味、三つ葉と卵のお吸い物、ピーチのシャーベットにコーヒーのフルコース。ボリュームたっぷりで食べきれず、釜飯は翌日のおにぎりにしてもらった。

 食後、入浴してそのままバタンキュウ。

 

【第2日】8月23日(木) 曇り時々晴れ

Kurohime_4.JPG(記録担当 勝巳)

 昨日の黒姫山は雨の中十分歩いたので今日は観光に徹する。ともかく、このあたりの山は有名だからといって甘く見てはいけない。結構な歩きでがあるし、雨でも降れば厄介である。下り道が最後の2時間近くスキー場だったので予定を遅れること1時間で何とかコスモス園入り口にたどり着いた。7時を過ぎれば当然雨の中、懐中電灯のお世話になる。

 そんなわけで今日も昨日の濡れた雨具を着てまた雨の中を何時間も歩く気力をなくしたこととして、笹ヶ峰周辺の7時間に及ぶトレッキングコースを諦めて、観光コースの野尻湖周辺に宿の車で送ってもらう。8時である。曇り空で朝夕はなんとなく秋めいている。神奈川は豪雨、猛暑と聞くと得をしている気分だ。ガランとした朝の野尻湖はまったく数十年間変わりない。早速一人900円の湖上遊覧船の交渉。8時40分発の湖上一周の船にムリを言って野尻湖の唯一の島である琵琶島で我々だけ下船させてもらい、次の船まで2時間近く島の散策をする。小さな島なのに「宇賀神社」が意外に大きく立派なので島を見直した。無人島だが、古びた売店があり元気な話好きなオバアサンが頑張っている。若い頃は野尻湖で水上スキーをしていたというだけにモダンバーサンだ。買ったソフトクリームを食べながら神社の大木に囲まれた石段を上がると意外や「宇佐美定行」の墓があった。76歳のとき謀反の疑いを持たれた長尾正景をお家のためと腰帯に抱きついて船から野尻湖に身を投げ共に湖底に消えた。忠臣の見本みたいな人だ。謙信が今にあるのはこの老人のおかげである。などと書いてあるのをやっとみんなの知恵とアテ推量で読み下す。

Kurohime_5.JPG 9時50分迎えの船が忘れずに来てくれた。さて、次はどうする。そこは好奇心旺盛な中高年集団、「ナウマン象博物館」に行く。なんだか小学生の遠足気分になる。知りませんでした。野尻湖のナウマン象はシベリアのマンモス象と違いキルサイトから出土した。そうです、野尻湖人という皆様がいらっしゃって、それは巨大な象やオオツノシカを追い詰める狩人たちでした。化石は皆様のその食べガラの、いわばゴミ捨て場なのです。5万年―4万年前のことですから全ては適当でしょうが実物のぎざぎざの歯の化石を手で実際に触ってみると俗人としては500円の入館料は安いと思いました。

Kurohime_6.JPG それでもまだ時間があるので野尻湖駅近くの「一茶記念館」に行くことにしました。一茶の墓は、小高い森の中に夏日に静かに簡素にたたずんでいました。こんな所にいたのですかと抱きかかえたくなるような墓でした。コペンハーゲンでアンデルセンの墓をやっと捜し求めたときも同じような想いをしました。なんでもないんです。ただ、そこに墓があるのです。質素な、俺はこれでいい、俺の前で泣くなといってるようでした。長き漂白の末やっとつかんだ安穏の棲家が「是がまあ、ついの栖か雪五尺」であって、自嘲だけではない人生を掛けた深い安堵を伴っているのです。52歳で結婚、子を次々に亡くし失意と絶望の中にあって「露の世は露の世ながらさりながら」と悲しみの歌をこの詩人は歌います。なんという悲しみでしょうか。嗚咽と子を亡くした親の苦しみの息遣いが今に聞こえてきます。

Kurohime_7.JPG この記念館は宝庫です。優しさと片隅で真実に生きた人間の息遣いに圧倒されます。一茶も、蕪村も、賢治も、中也も、みすずも、重吉も、みな同じです。しばらく離れていたこの世界を彷徨したくなりました。

 一茶の、数万年前の狩人達の、雨降る黒姫のおかげです。この旅のおかげです。また若き日々にかげり行きます。

  • 日時:2007年8月22日--23日
  • 参加者
    洋子、善右衛門、勝巳、才美、伊久枝、きみ子、昭、幸子、以上計8名
  • コースタイム:(着/発)
    • 【第1日】8月22日(水) 8時間行程
      東京駅(/7:28)......(あさま505号)......長野駅(8:53/9:23)......妙高高原(10:05/10:15)......(宿の車)......コスモス園経由......大橋林道入口(10:55/11:00)......(登山開始)......新道分岐(12:05/昼食/12:25)......黒姫山山頂(14:45/15:00)......黒姫乗越(15:55/16:00)......越見尾根(16:25/16:30)......姫見台(17:15/17:20)......コスモス園(19:00/19:15)......(宿の車)......ホテル・ルーエ(19:50/)(泊)
      ◎ホテル・ルーエ Tel:025587-2873 宿泊特別割引料金7,460円(一泊一人)他に、ルーエビール400円(旨い)。ワイン1,000円。とうもろこし600円。弁当300円(タップリの握り飯2個)
    • 【第2日】8月23日(木)
      ホテル・ルーエ(/8:00)......(宿の車)......野尻湖船着場(/8:40)......(湖上遊覧船)......琵琶島(9:00/島内散策/9:50)......船着場(10:00)......ナウマン象博物館......湖畔(昼食)......(タクシー)......一茶記念館......黒姫駅(12:30/12:57)......長野駅(13:17/13:45) ......東京駅(15:26/)(解散)
      ◎ナウマン象博物館 Tel:026-258-2323 (年中無休でナウマン象の声を聞かせてくれるようです)

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このページは、akirafが2007年9月27日 18:26に書いたブログ記事です。

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