No.181 秋田県西木町田舎体験記録(2007.5.17--20)

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Inakataiken_1.JPG【第1日】5月17日(木) 小雨時々雨脚が強くなる。

(記録担当 多摩江)

 小雨降る中、待ちに待った「田舎体験」に向け二俣川農協前を出発した。今回、安田さんが紹介して下さった桜井さんと大洞さんが運転を担当される。保土ヶ谷バイパス本村インターより首都高速へ、そして湾岸へ入る。

 勝巳さんより旅行のオリエンテーションがある。

  • 農村の定義はない。
  • 農村の諸問題。
  • 食料自給率のこと。

Inakataiken_2.JPG 以上について説明があった。紘正さんからは旅行説明を受ける。大井料金所より中環C2へ。浦和料金所より東北道へ入る。間もなく伊久枝さんより4日間の部屋割の発表があった。泰山堂に男性3名、女性4名、星雪館に男性3名、女性5名となった。その後、紘正さんより東北地方の時代系譜の説明で西木町は戸澤氏の勢力範囲であるとの事。途中、雨脚が激しくなり先行き不安である。

 そうこうしているうちに佐野インターに到着し、トイレと水分補給をする。次の安積PAとの間、善右衛門さんより農家、農業の事の説明や厚生保険省からの年金の問題の話を聞く。窓外には眩しい位の新緑とフジが心を和ませてくれる。深層心理ゲーム、ヘキサゴン、漢字クイズ等をしていると安積PAに着く。雨は小降りになっている。又、鶴巣PAでトイレ休憩をとる。勝巳さんより先程の続きの

  • 農村の有する機能
について説明を受ける。

Inakataiken_3.JPG 次は前沢SAで昼食を摂る。皆さん思い思いの昼食を摂るが、前沢牛のメニューを戴く人が多かった。ガソリンを補給し、再び出発する。雨脚が酷くなる。きみ子さんがなぞなぞを出題したりしながら楽しく頭の体操をする。途中、盛岡南付近で岩手山が見える筈だが雨に煙り見ることが出来ない。岩手山SAに入り岩盤浴に備え車中で、女性陣は着替えをした。

 松尾八幡平で東北道を下りる。正面に沢山の雪を抱く八幡平が見える。道路両側には未だ芽吹いていないダケカンバの林が続く。八幡平に入っていくと松尾銅山の廃屋がある。それにしても間近に来るとその雪の多さに驚く。熊笹の原の中、ダケカンバが目立つ。奥羽山脈の山並みが多くの雪を抱いているのが、ぼんやりと見て取れる。道路両側には雪の間からフキノトウが花を付けて沢山顔を出している。1400m位になると両側が雪また雪で、雪の壁が出来大雪の中を走行しているようである。雲の中に入ると視界が悪い。後生掛温泉の横を通過する。標高が下がるに連れ新緑の林が続く様になる。又、上り始めると雪が目立つようになる。

Inakataiken_4.JPG そうこうしている内に玉川温泉に到着した。雨降りの為か、直ぐに温泉の前に駐車する事が出来た。各自、ゴザを持ち岩盤浴に向う。温泉地内の自然研究路脇に地熱のある付近一帯を「岩盤」と呼んでいる。そこで行う温熱浴を「岩盤浴」と称する。

 周辺一帯は国立公園内という事で手を加えず、自然のままを利用している。掘立小屋が3棟有りそれぞれ空いた所を探し、ゴザ、タオルをひき、身体の上にタオルを掛け熱を逃がさない様にする。熱い所だと40℃?50℃になる場所も有り、低温火傷を防ぐ為にも時折身体の向きを変えなければならない。加湿、保温による鎮痛効果や新陳代謝の促進が期待できるという。その後、汗を流すため温泉へ。泉質は酸性(含二酸化炭素・鉄(2価)・アルミニウム)塩化物泉。Ph=1.05と極めて酸性が強く遊離塩酸を多く含有する。温泉が98℃の熱水で無色透明、硫化水素臭がある。1ヶ所からの温泉湧出量(9,000リットル/分)日本一。微量な放射線を含有する、特別天然記念物「北投石」(ラジウム放射)を生成・産出する温泉へ。かけ湯で身体全体を馴染ませ、源泉100%の浴槽の入るがピリピリして入っていられないので、50%へ移動するがやはり入っていられない。そうそうに出て来てしまった。入浴料は600円でした。17時15分、温泉を後にし、一路西木町に向う。

Inakataiken_5.JPG 雨も上り始め、新緑が目にしみる。宝仙湖が左側の下に見える。細長い湖が地図上で見ると7kmは続く。新緑と湖は絵になる。心が洗われる様だ。途切れてからしばらく行くと右側に秋扇湖が表れた。途中、名水「茶立ての清水」で下車する。秋田の佐竹の殿様が巡視の折、茶を立てた事から名が付いた。雪を頂いた秋田駒ケ岳を雲間から見る事が出来た。右折し田沢湖方面(左折すると乳頭温泉)へと行き、田沢湖を眼前にした所で左折すると竜子姫、県民の森を通り105号線へ。潟野・佐曽田付近はカタクリの群生地。

 すでに西木町(田沢湖の東岸に接する町で、第三セクターの秋田内陸縦貫鉄道で西明寺駅から戸沢駅まで8つの駅が含まれる)に入っている。内陸線をくぐり、しばらく行くが暗くなり道がわからなくなり、泰山堂のお父さんに来ていただき案内して頂く。

 泰山堂に到着し、直ぐに食事となる。村の知恵者である佐々木茂徳さんのお話を聞きながら、泰山堂さんのエリアで採れた野菜をいろいろと工夫し料理したものやざっぱ汁、太巻寿司などを頂く。美味しいお酒と共に。

 21時15分星雪館組は泰山堂を後にする。真っ暗な田んぼ道を行くこと30分、桜井さんは一度も迷うことなく目的地星雪館に車をつける。星雪館の方々は待ちくたびれたのではと申し訳なく思う。外では蛙の大合唱がたけなわである。居間の大きな薪ストーブが柔かい暖かさを演出している。直ぐに明日の用意をし、就寝した。

 

【第2日】5月18日(金) 雨

(記録担当 多摩江)

Inakataiken_6.JPG 夜半から風雨共に強くなり、屋根や窓を打つ音が耳につく。6時半に起床するが風雨共に弱まっている。昨日は、夜、到着したため外の様子は全く分からなかったが、窓を開けると目の前には水の張られた田んぼが続き、その中程に田んぼを横切るように内陸線の単線の線路が走っている。更に奥には桧木内川が流れている。のんびりとした農村風景そのものである。家の反対側は山が迫っている。山の木々は芽吹きが始まったばかりである。

 7時半より朝食を食べ始める。朝からご馳走である。そのメニューは、秋田小町のご飯、鮭の塩焼き、うるいの味噌合え、蕨の生姜醤油、菊の花の梅肉合え、山葵味噌、ほうれん草の卵とじ味噌汁、沢庵と青菜の漬物である。おやつとして餡入りおやきを早朝より作って下さり泰山堂組の分まで持たせてくれた。

 星雪館を出発し、小雨降る中、30分ほどで泰山堂に到着する。雨が止む事もなく降り続いている中、泰山堂組も乗込み、なか志ま旅館に向かう。バスの中で各々宿泊した宿の様子を発表しあった。

Inakataiken_7.JPG 上桧木内のなか志ま旅館に着き、門脇正一さん(仙北連合猟友会会長、ほかさまざま兼任されている)の到着を待つ。星雪館のお母さんのおやきで、お茶を飲んでいる内に門脇さんも合流する。門脇さんは、昭和16年2月生まれで長年NTTに勤務され、現在103人の「またぎ」を束ねている。リーダーのことをシカリ(アイヌ語)という。

 「またぎ」として第一に要求される事は、

  1. 山の中で、火をおこすことが出来る。
  2. たんかを木で作る事が出来る。但し、紐は使わない。もし使うとしたら藤蔓を使う。
又、山の神は女性であるが、山の神を徹底的に怒らせない様に行動を律している。例えば
  1. 梅干のおにぎりは駄目。
  2. 歌、色気のある話はダメ。後、「またぎ」として避ける事は
  3. 味噌はみそをつけるから嫌う。
  4. 12人の人数を嫌う。
  5. 犬は使わない。
  6. 知っているルートしか行かない。
  7. 水を飲むときは澱みの水は飲まない。流れている水だけ。しかし、基本的には生水は飲まない。もし飲むとしたら、塩少々を入れて飲む。
  8. 12月と2月には1日中山に入らない日がある。動物が巣を作る日だから。
  9. 人家から300mの所では鉄砲は撃たない。
  10. 山菜を採る時必ず何本か残す。
Inakataiken_8.JPGおにぎりについては、ふんわりと握り、葱と味噌を合わせたものを舐めながら一緒に食す。寒い時はおにぎりが凍るので作らない。「またぎ」が熊を獲る時、まぶ(風の向きが木の倒れ具合で判る)を確かめ、熊ホイッスルを持ち歩く。アバラ三枚目が熊の致命傷である。仙北市あたりの熊は月山の熊とDNAが似通っている。又、渡り熊は群れから外れたオス熊で痩せている。小熊が3匹も産まれると育てられないので、オス熊が1?2匹を食べるという厳しい自然界の掟がある。捕獲した熊は「またぎ」達で均等配分の法則で分ける。熊の胆は、胃腸の薬でその本物を見せて頂いたが舐めてみると微量でも苦い。贋ものが多いとの事。

 門脇さんの話が終り、昼食となる。メニューは山菜てんぷら(あぶらめ、たらの芽など)、鮭の照り焼き、蕨と鰹節、独活の味噌合え、豆腐と根曲がり茸の味噌汁である。

 なか志ま旅館を出発し、小雨の中、乳頭温泉に向う。途中、田沢湖畔の辰子像を見る。田沢湖から田沢湖高原をぬけて乳頭温泉へと続く道を行く。温泉郷に入ればブナの新緑の林の中を抜ける、心からリフレッシュするような快適な道路である。乳頭温泉郷は、鶴の湯温泉、黒湯温泉、孫六温泉、妙の湯温泉、大釜温泉、蟹湯温泉からなる。途中、左折すると鶴の湯温泉、更に進んで休暇村を右折すると黒湯、孫六温泉である。黒湯温泉の駐車場に車を置く。後は歩いて谷を下って行く事5分で、橋の向こうに孫六温泉がある。泉質はラジウム含有泉。入浴料400円。内湯は岩盤をくり貫いた「石の湯」。ほんのり白みがかった湯の川沿いに建つ女性用露天風呂。立ち上がると橋の上から丸見えだったらしい。

 黒湯温泉に別れをつげ、鶴の湯温泉に向け車を走らせる。恩田夫妻は徒歩で鶴の湯にむかう。ブナ林が雨に濡れ、一層色鮮やかな若葉を演出している。実に清々しい。鶴の湯温泉方向に右折すると、水芭蕉の群生地が続く。鶴の湯温泉に到着する。泉質は、「白湯」は含硫黄―Na・Ca?塩化物・炭酸水素塩泉、「黒湯」はNa?塩化物・炭酸水素塩泉、「中の湯」は含重曹―食塩硫化水素泉である。中の湯は混浴露天である。女性用露天風呂は湯の華が少し大きめなのかざらついた感じがする。

 鶴の湯温泉を後にする頃には本格的に雨が降り出した。一路、星雪館を目指す。40分ほどで宿に到着。その後、車は泰山堂へと向った。17時よりお母さんと一緒にきりたんぽ作りをする。思ったより簡単で家でも充分出来ると思う。18時より夕食となる。メニューは、きりたんぽの汁仕立て(きりたんぽの一部は焼いて味噌を塗ったりした)、汁には隠し味として味噌が入っている事と具はうるいと芹、牛蒡(皮むき器で薄くスライス)。鮎の塩焼き(宿の近くの桧木内川で捕れるが、今回は養殖)、はんな・しどけと鰹節、栗の渋皮煮、蕪の酢味噌合え、春雨・胡瓜・みかんの酢の物、蕗とシラタキ・しめじ・人参の炊き合わせ、山葵の茎の醤油漬け、うるいとみず・胡瓜の漬物である。どの料理も材料の持ち味を生かしたものばかりだ。身体にも良いし、その上味も抜群である。21時には皆、床に就いた。

 

【第3日】5月19日(金) 雨

(記録担当 美保)

0630 泰山堂にて起床

0730 いろり端でお茶、コーヒー。伊久枝さんがおいしいコーヒーをいつも入れてくださいました。続いて朝食、メニューはごはん、味噌汁(あげ、ねぎ、白菜)、ししゃも、庭のアスパラガス、卵焼き、納豆、いぶりがっこ、いんげんの煮豆、煎り豆腐。
朝食後、星雪館に泊まった人達を迎えに行く。

1015 いろり端で佐々木茂徳さんから「村の風習」の話をして頂いた。

冠婚のこと・・
 結婚は若い人が町に出ていってしまい絶対数が少ないところに、農業改革で色んなことが変った。見合い結婚から恋愛結婚に変ってきた。結婚できない人も多く、50歳を越えても未婚の男性もいる。昭和50年頃からは結婚式は自宅で執り行うことがなくなり、今ではキリスト教式なども増えている。馬そりに乗って「七曲がり峠」から嫁に来るなどは昔話とか。式場は自宅から公民館、そして今では「結婚式場」になって、往時の「しきりばっちゃ」(指示を出す年配女性)が自宅で自然にまとめる婚礼が懐かしい。

嫁不足のこと・・
嫁がおらず、外国から特に中国からの嫁もこの地方にも来ている。なかなか旨くやっているようだ。この地域にも離婚は少しはあるようだが、熟年離婚は稀だ。
若い人はやはり恋愛結婚で、親が反対しても無駄だ。

葬祭のこと・・
「はなふきじっちゃん」と言う取しきりがやってくれる家族段取りの葬式はなくなり、やはり葬儀業者にまかせて、自宅で執り行うのが普通。20?30年前までは土葬が多かった。野辺の送りはお骨を墓まで送るのは今でもやっている。

厳しい農村・・
先ずは経済だ。農機具の代金支払いができずに自己破産する農家もある。
農民の体力即ち足、腰が弱くなっている。機械化した農作業、一人一台の自家用車などが原因か。用水路は完備されており、地域の農家全員で整備している。これが皆のコミュニケーションの場を作っている。

 懇談の後、泰山堂の庭にビニールシートのテントを配し、天ぷら昼食。山菜、こし油、柿の葉、うど、アスパラ、さつまいも、なましいたけ、菜の花、三つ葉、もみじ、うどの葉、たらの芽他にこんにゃく、ゆで卵、にしん、のびる、きゅうりぬか漬け、卵とじ汁など。

1250 全員車で天正寺、金峰神社を訪ね、雅児百合の群生を見る事ができた。徒歩で宿に戻る途中、道に迷い車で迎に来てもらう事と相成り、迎えの車を待つ間、散歩中のおじいさんがどうしたのかと尋ねてくれたり、心配そうに視線を送る車が通ったり、都会で失った人情にしみじみと感じ入る。

 それぞれの民宿に辿りつき夕食。肉じゃが、さけのホイル焼き、うぐいのかんろ煮、鶏肉ふき、ほうれん草マヨネーズ和え、大根ワインビネガー酢のもの、サーモン玉ねぎおろしサラダ、泰山堂の次男さんが作った豆腐、とば汁、フルーツと言う具合。

 

【第4日】5月20日(金) 雨

(記録担当 美保)

0715 朝食 白米、揚げ豆腐の味噌汁、卵焼き、春菊ぞえ、さけ、一年漬けたにしん、こうや豆腐、納豆、りんご甘煮。

0840 泰山堂を出発。この時女性は泰山堂の庭から、まいずる草、赤花大根草、黄色い花(名知れず)、おだまき等を頂戴する。

0856 角館着、安藤醸造を訪ねる。
倉座敷内は五月人形の展示、一見の価値なり。ここで皆さんお土産調達。

0935 武家屋敷を散策

1020 角館を出発。頂上が雲に掛かった岩手山を眺めつつ南下。

1130 矢巾で休憩 車中で「田舎体験」感想を皆一言づつお話。

1300 長者が原SAにて昼食、 泰山堂山のおにぎりの他それぞれラーメン、コーヒー。その後那須、蓮田で休憩。

1930 二俣川着。

  • 日時:2007年5月17日--20日
  • 参加者
    多摩江、善右衛門、恵美子、美保、勝巳、才美、伊久枝、紘正、文子、邦子、きみ子、謙司、幸子、以上計13名
  • コースタイム:(着/発)
    • 【1日目】
      二俣川農協前(/6:05)......大井料金所(6:35)......浦和料金所(7:10)......佐野IC(7:45/8:00)......安積PA(9:35/9:45)......鶴巣PA(11:10/11:20)......前沢SA(12:10/昼食/12:50)......岩手山SA(13:50/13:55)......松尾八幡平IC......玉川温泉(15:10/入浴/17:15)......茶立ての清水(18:00)......泰山堂(19:00/夕食/21:15)......星雪館(21:45/)......就寝
    • 【2日目】
      朝食(7:30)......星雪館(/8:15)......泰山堂(8:40/9:15)......なか志ま旅館(9:45/またぎの話/11:30/昼食/12:10)......田沢湖畔(12:30/12:40)......乳頭温泉郷黒湯温泉(13:20/入浴/14:25)......鶴の湯温泉(14:40/入浴/15:25)......星雪館(/16:10)......きりたんぽ作り(17:00/18:00)......夕食(18:00)......就寝(21:00)
    • 【3日目】
      朝食(7:30)......星雪館の人達を迎えに......「村の風習」の話(10:15/11:30)......昼食......泰山堂(/12:50)......天正寺・金峰神社......泰山堂/星雪館(夕食)
    • 【4日目】
      朝食(7:15)......泰山堂(8:40/)......角館(8:56/安藤醸造・武家屋敷/10:20)......矢巾 (11:30)......長者が原SA(13:00/昼食)......那須SA(休憩)......蓮田SA (休憩)......二俣川 (/19:30)(解散)

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このページは、akirafが2007年5月22日 08:44に書いたブログ記事です。

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