No.162 乾徳山(2031m)山行記録(2006.10.25)

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Kentoku_1.JPG(記録担当 才美)

 塩山駅前より予約済みのタクシーに5人乗車。

 ひび割れたコンクリーの悪路を幾度も曲がりまがり、大平牧場の奥深くの登山口まで運んでくれた相沢運転手さんに感謝! 料金5,700円。申し訳ないと思いつつも不要となったアイゼンを車に預かってもらい、かえりのお迎えも約束。

Kentoku_2.JPG 登山開始、スカッと快晴の秋空で紅葉が楽しみ。

 何種類もの木々の紅葉、黄葉の中を快適に高度を増していく。左には銀色に輝く富士の頂上が見え賊れする。僅かに流れ来る風が頬に心地よい。微かな音を感じてふと目を上げるとカラマツがすでに黄葉していて散り始めるところだった。

 足元に散り敷かれた落ち葉が厚みを増してくる。葉を振り落とした岳樺の幹の白が鮮やかだ。

 扇平に出た。国師が原からの登山道と合す地点で、多分原は扇形をしているのだろう、広々とした一面枯れカヤトの原で、ボーッと気の遠くなるような時が流れていた。前方に三角形の頂が覆いかぶさるように聳えているのが乾徳山(?)。カヤトを横切りやがてツガの湿った、深い樹林帯へと入った。

Kentoku_3.JPG 次第に大きな岩が目の前に立ちふさがるようになってきて、ステッキをたたむ。岩の苦手な私はすでに心臓がドキドキ、いやいやをし始めている。これからは腕力、握力、瞬発力そしてヤル気の世界。若いころに岩をやっておけばこんなに怖気づくこともなかったかと愚痴めいた心持になってくる。ヤルッキャナイさ。必ずうまくいくと自己暗示にかける悲壮な覚悟!

 どうやって取り付いたらよいのか見当がつかない岩、岩。けれど実際に足をかけてみるとホールドやスタンス、鎖が親切に程よく確保されていて、今にして思えば実に安全なルートになっていた。しかしそれとてこの年齢では集中力、注意力、緊張感、慎重さなど総動員しなければ安全に登り降りすることはできない。

 すぐ前を歩く3人グループはよたよたと危なっかしくて、下で待っていると今にも滑落してきそうで巻き添えになる危険すら感じ、自己の体力、技術力に合った山登りの大切さを他人事とは思えず目の当たりにした。

Kentoku_4.JPG 岩に取り付き、抱きつき、膝のバネも酷使し、手の指が白くなっているだろう程に力を入れたりと、動作が自然に岩に反応してくれて、声を掛け合いつつ累々たる眼前の岩に挑戦。梯子も鎖も慎重に。そして無事山頂。ちょっぴり達成感を味わった。頂上直下の最後の10mの鎖場は安全優先で私&リーダーはまき道とした。FAさん曰く。重い荷を背負っての登攀はかなり腕力がいった と。

 頂上からの眺望はぐるり360度の遠くは富士山(このときは見えない)、南ア、奥秩父連峰、道志山塊、丹沢などで眼下の低山はことごとく錦をまとい実に孫華な眺めだ。黄葉のカラマツ林に閃光が走りそのときだけ神々しい黄金の塊となって輝いていた。狭い頂上に数グループがすでにビールの乾杯をしていたが、そんなに酔っていて下りは大丈夫?

 私達は安全な場所での昼食を求めて記念撮影も早々に北へ下山路をとる。

 夢想国師が山頂南面岸壁で座禅の修行をしたとかいうらしいが、どの岩? またまた岩場。かろうじて人一人が踏めるほどの狭い箇所やアルミの梯子などを通過してやっと土を踏んでほっと息をつくとそこは水のタワ。12:10着。黒金山方面と国師が原・高原ヒュッテへの分岐点。高原ヒュッテへとモミの木林の急な下りをとる。板状の岩礫、太い木の根っこの連続でおまけに先ほど来の低い雨雲はこの辺に雨を降らせたらしく滑りに滑る。慎重にゆっくりと下るのだが、ほぼ全員が滑って転んでずずー ずずー。もう格好なんかかまっていられず腰を低くした姿勢で(シリモチスタイル)下る。斜面がやや緩やかになり左に大きく回りこむと高原ヒュッテの屋根が見え、この下りから解放された。

 大きなモミの木が1本だけある小屋前広場でやっと昼食。この辺は明るく開けていて花の季節にはさぞかしと思われた。ここから途中、湧出量豊かな錦晶水をたっぷり飲んで程よい斜面を足裏にカラマツの落ち葉の感触を心地よく受け止めながらぐんぐんと下った。3回ほど林道らしき道を横断し乾徳山登山口の標識のある林道に出ると今朝の運転手さんのタクシーがすでに待っていてくれた。

 5人も乗っているせいか、時折車の底がガリガリっと音を立てる。運転手の相沢さんは気にもかけず、道満山への道標を左に見ながらゆっくり下っていく。桃、柿、ぶどうなどの果樹に囲まれた徳和の里は今は一休みといったところか。

 塩山駅までのタクシー料金4,760円

 岩、黄葉、紅葉を一度に堪能した贅沢な山行でした。悪路にもかかわらず私たちの希望をかなえてくれた相沢運転手さんありがとう。塩山へ来ることがあったら又お願いしますね。

  • 日時:2006年10月25日
  • 参加者
    恒雄、勝巳、才美、紘正、昭、以上計5名
  • コースタイム: (着/発)
    塩山駅(8:15/8:20)......(タクシー)......大平牧場(9:05/9:10)......(登山開始)......扇平(10:25)......乾徳山山頂(11:45)......水のタワ(12:10)......国師が原・高原ヒュッテ(13:30/昼食/13:50)......錦晶水......乾徳山登山口林道(14:35)......(タクシー)......塩山駅(15:20/15:42)
  • 塩山タクシー(株) 塩山営業所 Tel:0553-32-3200 相沢運転手さん

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このページは、akirafが2006年10月30日 09:42に書いたブログ記事です。

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