初秋の風にススキがゆれる中、道了尊・明神岳・金時山・地蔵堂をめぐる
(記録担当 前半・文子 後半・邦子)
この日の朝、キンモクセイの香りに秋を感じながら空を仰ぐと、一面に小さな雲片が広がっていました。(お天気もよさそう・・・)久しぶりの山行に気持ちが昂ぶるのでした。
「お久しぶり!」
新松田で、また関本でご挨拶する皆様は、本当にお元気そう。来てよかった!
いつしか秋晴れとなって、道了尊最乗寺は静かに朝の時が流れていました。そんな清涼な空気の中で、才美リーダー、邦子リーダーが音頭をとって朝礼が行われました。
そして、今日の長丁場を乗り切る為のトップ役は孝儀さんご夫妻が指名されました。
8時15分、8時間に及ぶ行程に足取りも軽くスタートです。出だしから急な登りとなりましたが、まだ、杉林を見上げる余裕がありました。10分もすると緩やかな山道となってホットしたのですが、緩急の上り坂に汗がにじみ出るのでした。
(ヤバイ!不安が頭をよぎりました)そんな時タイミング良く休憩の指示がでたのです。 9時、休憩をしながら、梨・飴をいただく。この一滴一滴の甘味に生き返った心地。
途中の舗装道路をクロスしてヒノキが植林された登山道に入りました。皆様は黙々と登り詰めていくのですが、私の歩みはか細くなり、才美さんが背後でバックアップして下さるのですがピッチが上がらないのです。
9時45分、このコースの水場神明水で喉を潤す。
「此処からが登山だ!」
と、勝巳さんの言葉通り道が険しくなる。それでも、ススキが揺れる尾根道には秋の草花が咲き、涼しい風が身体をかすめて心地よいのです。
あと1時間弱で明神ヶ岳という所で、私は、主人を道連れにリタイアすることにしました。少し心臓の動悸がしてきたのと、前を行く逞しい4人連れの女性グループの動きを見たとき、これ以上皆様に迷惑を掛けられない、と思ったからです。
宮城野への下り道、主人に「今日の反省は!」と詰問されてしまいました。本当にすいませんでした。記録も未完となってしまいました。(ここまでの文責 文子)
紅葉にはまだ早い道了尊の境内を抜けると道はすぐに林の中をうねうねと登る。いまだ夏を思わせる気温だが、さすがにまつわりつく白銀のススキに囲まれ秋の気配は感じる。慣れ親しんだ道だからか、いつのまにかこんこんと流れる神明水につく。
一息入れてまた登山道をゆっくりと登り始める。やっとここまで来て日ごろの運動不足の体に調子が出てきた。そのせいか、道の両側のリョウブやマユミの木、ワレモコウ、オミナエシ、ノギク、ハギ、アザミなど秋の草花が今更のように涼しげに眼に入ってきた。明神と、明星の分岐はなんとなく右折する程度の曲がり角でウッカリすると見みのがしてしまう。右に意識的に地図を確認して進み、秋の強い日を浴びる平らな尾根を少し登るとそこは明神ヶ岳の山頂である。
今までほとんど登山者には出会わなかったがここに来るとさすがに人がいる。皆、申し合わせたように弁当を広げてくつろいでいる。遠く黒々とした箱根の外輪山を眺め、近くは強羅、仙石原の家並みが秋色の眼下にある。風が思い出したように心地よい。山頂の大きなフジアザミが周囲に溶け込んでいる。人ごみを避け、少し金時側に下り見晴らしの良いところで10人の昼食場所を確保する。
この辺の野菊は細い道を埋め尽くし道を薄紫に染めている。マツムシソウの清楚な花が秋の日に揺らぎ、ショーマもトリカブトもツルニンジンまでもが幽かな交響曲を奏でている。人知れず咲く草花の短い命が一層可憐さをます。
矢倉沢峠への途中、「火打石岳」を巻く。この山は古くから黒曜石が採れ、石器時代のこのあたり周辺の遺跡から多く鏃などが出土すると言う。その頃のこの山の周りはどんな風景だったのか。箱根の火山や温泉を古代人はどのような目で眺めたのか、この山奥に父親を先頭に弁当を持って家族みんなで黒曜石の採掘に来たのだろうか、やっぱりこんな花咲く秋の日に。
樹林帯の尾根道を矢倉沢峠に向かう。途中、あの独特の山容の金時山が見え始めた。明神山頂辺りから見たときはかなりの距離があったが覚悟していたこともあり「さもありなん」と受け止めたが、ここまで来てもまだ金時は遠いのはいささか疲れを呼んだ。矢倉沢峠は箱根独特の背の高い竹藪の中にある。遠くから見るとビロードのように美しく見えるが実際はこの竹の密集にはてこずる。下刈りしてある竹が道に落ちてすべる。風景はまったく邪魔されて見えない、風すらも通らない。ひたすら足元を見て歩き続ける。長く続いた尾根歩きの道も終り、やっと矢倉沢峠に到着して休憩。
一息入れて、ここから金時山への最後の登りにかかる。足並みもここまで来るとバラバラになって各自、自由に自分のペースで登ることとした。道も一本であるし心配は無い。3時金時山頂着。
予定より30分遅れたために当初の足柄峠経由のコースを変更し、直接地蔵堂に向けて出発。急な坂を注意しながら下ったところで休憩。途中暗くなった時に備えて懐中電灯をチェックする。ここからは全員無言で息をきって下り、何度かある沢渡りも無事通過、地蔵堂バス停にバスの発車5分前にピタリ到着。
呼吸も整えぬままにバスに乗車、すぐに出発した。関本に到着して、ここでリーダーから挨拶があり解散。
秋の夕暮れの爽やかな空気と、ゆっくりした休憩も無く9時間連続して歩いた満足感で心地よい。
今回の登山の目的が、どのくらい自分の体力持久力があるかのチェックであり、その目的は達成され、それぞれの自分の現在の力は再確認できたことと思う。それにしてもご苦労様といえる久しぶりの登山であった。
- 日時:2006.9.21
- 参加者:
三貴也、恒雄、孝儀、多摩江、勝巳、才美、伊久枝、紘正、文子、邦子、昭、幸子、以上計12名 - コースタイム:(着/発)
小田急新松田駅前(/7:30)......(バス)......関本......(タクシー)......道了尊(8:05/8:15)......神明水(10:00/10:10)......明神岳山頂(11:15)......尾根のガレ場(11:30/昼食/12:10)......火打石岳(12:40)......矢倉沢峠(13:45/13:55)......金時山登り口(14:00)......金時山頂(15:00/15:30)......急登下(15:55/16:00)......地蔵堂バス停(17:20/17:25)......(バス)......関本(17:40/解散)
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